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2018/12/13

コーチング関連本を読んでるよ Week 5

コーチング関連本,122冊読了しよう企画をやっております。

◇「成功者に学ぶ「決断」の技術──夢をかなえる最強のコーチング」 鈴木義幸
人はどのようにして行動することを決めるのか…さまざまな企業のマネージャーにコーチングを行っている著者による,実際のコーチング場面で,クライアントがいかに決断したかを提示した本である。コーチである著者とクライアントによる,え,こんなことも言うの?とも思えるやりとりが載っていて,びっくりしながら読んだ。というのも,これまで読んできた本には,コーチがクライアントに対してあまり厳しいこと・耳が痛くなるようなことを言っていなかったから。なんというか,本気のやりとりを見せてもらったような感じである。
著者は,物事や言葉に付与されている意味が,その人の中で変わったときに人は新たな行動を起こすと考えている。例えば,「部下の話に耳を傾ける」ということに人はどんな意味付けをしているだろうか。「忙しくて時間がないし後回しでよい」と意味づけしている人,「自分の業績につながる」と意味づけしている人,いろいろいるだろう。このとき,前者のように意味づけをしている人は,いくら「部下の話に耳を傾ける」ということが大切だと人から説明されたとしても動かない。動くようになるには,意識的に,それ以上に ”無意識的にも” その人の中で意味付けが変わっていなければいけないのだ。頭ではわかっているけど行動できない,というのは,筆者から言わせれば,無意識においては意味付けが変化していないということである。この,クライアント自身の中にある意味付けを変えるためにも,著者は先に述べたような,本気のやりとりを繰り広げているように思う。

◇「実践・プレッシャー管理のセオリー ビジネスパーソン必修 メンタル・タフネス強化のセルフコーチング術」高杉尚孝
「~でなければならぬ」という思考を,「~であるのが望ましい」+「~でなければならぬ理由はない」という思考に変えていきましょう,ということがひたすら書いてある本。前半では,出来事→解釈→感情→行動の流れを説明していき,後半は,コーチと様々な悩めるクライアントの会話をいくつか取り上げ,どんな「ねばならぬ」思考をしていて,それをどう「~が望ましい」にしていくかのプロセスが描かれる。
著者は,出来事の受け取り方・解釈の仕方を変えれば,そこで生じる感情も変わり,その結果行動も変わり,パフォーマンスが向上すると考えている。「ねばならぬ」ことなどこの世にはなく,大抵はその人が「ねばならぬ」と思い込んでいるだけ……。論理的に考えるとそうであることが納得できるでしょうというスタンスだ。そして,「ねばならぬ」思考は,モチベーションを上げるとも限らず,プレッシャー等からむしろパフォーマンスを下げることがあるという。だから,「ねばならぬ」という絶対要求ではなく,「望ましい」という願望を!と説くのである。
ま,それは確かにそうなのだけれども……なんだろうね,この琴線に触れない感……
とにかく,理を全面に出している本です。

◇「本番に強い子に育てるコーチング---個性を活かし、集中力と潜在力をフルに引きだす指導法とは」児玉光雄
試合やテストというのは誰でも緊張するもの。そんなとき,いつも通り,あるいはいつも以上の力を発揮することのできる強さは,どうやったら身につけていけるのか…そして,親はそんな子にするためにどんなサポートをしていったらいいのか…それについていくつものtipsが載っている。あまり体系的には書かれてはいなくて,効果のあるものを集めてまとめた,という感じである。著者はスポーツ心理学を専門にしている方。ホンマでっかTVにも出演経験があるらしい。
印象的だったことをいくつか取り上げる。1つ目は正しい目標の立て方に関して。目標を立てることが自己成長において重要なことは言わずもがなだが,じゃあどうやって目標を立てるの?というと,さまざまな意見・方法が出てくる。著者は,とある研究を引用して「10%増しの目標,あるいは6割の確率で達成できる目標」が正しい目標であり,やる気を最大限に引き上げるものだとしている。なるほど,達成できるかもしれないし,達成できないかもしれない,というギリギリのラインのところで設定せよということなのだろう。
続いて,自己イメージの重要性。自己イメージによって人の行動は変わる,端的に言えば,できないと思っていればできないし,できると思っていればできるのである。このことに関して,英単語の試験成績が悪く,苦手意識のあった子に「英単語を記憶することを私は好きだ」と自己暗示をさせることで自己イメージを変化させ,試験成績が上がった例を紹介している。
また,努力は100%自分でコントロールできるが,結果はコントロールできないということ。だから,結果に左右されてはいけないし,自分でコントロールできないことには反応しないようにすること。ニーバーの祈りを思い出した。「変えられるものを変えることができる勇気を,変えられないものを受け入れる落ち着きを」…。つまりは努力することそれ自体にフォーカスせよということだ。
最後に,著者が開発した集中力を高めるライン追跡トレーニングを紹介。写真のラインを,目だけで右から左に追跡するというものである。週3-4回のペースでトレーニングすることで集中力が向上するらしい!

◇「キリカエ力は、指導力―常識も理屈も吹っ飛ぶコーチング」宿沢広朗,山口良治,山田久志,玉木正之,永井洋一,平尾誠二
スポーツ界でコーチをしてきた/スポーツライターをしている著者たちが,自信のコーチ論,経験について語っている本。内容も,文章が醸し出す雰囲気もそれぞれ違っていて,興味が分かれるかもしれない。昭和~の指導方法の変遷について触れ,今どんな指導が求められているかを述べている著者もいる。山口さんの伏見工業の話は,以前別の本
(アスリート・コーチングBOOK―日本一の指導者に聞いたコーチング術)で読んだことがあるが,相変わらずほろっとくるような内容だった。この方,感情に訴える文章を書く/話すのがうまいな…
個人的には,平尾さんの書いていた「コーチングで一番重要なことは何かというと,その選手がいかに前向きに取り組んでいけるか,意欲をどうつけてやるかなど,メンタルの部分にかかわってくると思います」が最も共感したところ。英語指導も同じこと。基本的に,やる人はほっといてもやるのだ。自分でどんどん調べて学習し,聞いてくることもはっきりしている。方法論など巷にあふれているのだから。だったらそういう人をいかに「やる,やりたい」方向に持っていくか,そこに注力すべき。

◇「コーチングの技術―組織が変わり成果が変わるコーチングとは?」ヒューマンバリュー
コーチングの世界的権威と言われているティモシー・ゴールウェイの理論を紹介しつつ,コーチングの歴史的背景,哲学,コーチに求められるスキルやコーチングプロセスが載っている。ティモシー・ゴールウェイに関しては,他の著書で名前とちょっとしたエピソードが載っていたので,なんとなく知ってはいたが,この本で彼がやっていたことの理解が少し進んだ。
ティモシー・ゴールウェイはテニスコーチで,自身の経験から,セルフ1とセルフ2に関する理論を提唱した。セルフ1はいわば意識的な監視・評価・命令さんで,セルフ2は非意識の潜在能力発揮さんである。私達は何かをするとき,たいていセルフ1が,評価や命令をそして干渉する。また,低い自己イメージを作り上げてしまうのもセルフ1。それによってセルフ2は自由に活躍できなくなってしまうのだ。彼は,最高のパフォーマンスが発揮されるのは,セルフ1が静かになってセルフ2が自由に力を発揮できるときだとわかった。それを生じさせるのが,「変数に意識を向けること」とのこと。つまり,生じている事象をありのままに知覚・認識できるように努めることである。そして,コーチはそのための手助けをクライアントにするわけである。
彼はまた,仕事のパフォーマンス向上のためには…ということで,パフォーマンスを高めようとするのではなく,学習と喜びを高めることで,結果的にパフォーマンスが上がっていくということを述べている。

◇「セルフ・コーチング入門<第2版>」本間正人,松瀬理保
タイトルどおり,初めてセルフ・コーチングするよ!って人にやさしい本。セルフ・コーチングと,コーチを雇うことそれぞれのメリット・デメリットや,セルフ・コーチングの仕方,ケーススタディ等が紹介されている。ケーススタディは,芸能人の名前をもじった人を登場させ,彼・彼女が仕事で今抱えている問題についてセルフ・コーチングする様子がひとり語りで語られている。しかも,あるあるな内容。思考の展開の仕方が把握できるから,自分で実際にやってみて,これでいいのかな?と思ったときの確認にも使える。
成長につながる行動を妨げる,5つの思考の罠についても紹介されている。どうして私ばかり…!に代表される「なぜなぜ回路」,愚痴の「ぐちぐち回路」,○○はどうなるんだろう…に代表される「心配回路」,きっと○○なんだろう…の「憶測回路」,思考があちこちに飛ぶ「散漫回路」である。これらの回路が自分の中で発生していることに気づいたら,すぐそこから離れることをおすすめする。

◇「イチロー選手の言葉に学ぶ セルフ・コーチング」庵里直見,鈴木信市
目的思考型心理学(初めて聞いた名称だが)を実践する著者の庵里さんによれば,イチローの言葉は,目的思考型心理学に即しているらしい。そこで,イチローの言葉や行動を紹介しながら目的思考型心理学のコミュニケーションを紹介していく。そして,そのコミュニケーションが,まさにセルフ・コーチングになるというわけだ。
そもそも,目的思考型心理学とは何なのか?著者によれば,「まず,手に入れたい結果を強くイメージします。そして,自分の長所をどう伸ばすかに集中する。言わばその相乗効果によって物事を成し遂げようとするのです。」とのこと。カウンセリング等でよく見られる,原因究明型のアプローチはとらない。
この本にはイチローの言葉がいくつも出てくるが,いちばん驚愕したのは,イチローが小学生のときに書いたという将来の夢に関する作文。具体的かつ詳細に書かれている。客観的な自己評価もしているし,根拠付も十分…なんだってあんなものを小学生で書けるのか…。

◇「コーチングが人を活かす」鈴木義幸
以前読んだ「図解コーチングスキル」とほぼ同じ内容。章立て(相手の中から答えを引き出す,安心感と自信を与える,未来への夢を抱かせる,新しい視点を与える,自発的な行動を促す)はコーチングの基本指針になっており,全部で50個のコミュニケーション法が載っている。箇条書きだから気軽に読める。著者の実体験も交えながらでわかりやすい。
50個の中に,「価値を見つける」という項がある。どの行動をしているとき,あるいはどの状態にいるとき,いちばん生き生きしているのか?という問いのもと,複数の動詞が並ぶ(探索する,輝いている,触れ合う,奉仕する,勝つ,達成する,説得する,つながっている,など)。コーチはクライアントが重きを置いている価値を知っておくことで,適切なアプローチができる。その価値をうまく使って行動を促せるからだ。また,コーチ自身にとっても,自分が重要視している価値を知っておくことは,自分を知る・自己コントロールするうえで役に立つだろう。さて,私は何に価値を置いているのだろうか?

◇「コーチングのプロが教える心を動かすリーダーシップ」鈴木義幸
またまた鈴木さんの本。今回のは,会社員から社長になったある男性を主人公とした物語調になっている。もともとは,銀行に勤務していた主人公。そんな主人公のもとに突然,父親が倒れたとの知らせが入り,父の経営していた会社を継ぐことを決意する。年商100億円,1000人の従業員を抱える企業である。しかし,500円の負債もあった…。父の会社に入社後1年間の猶予期間を経て,同会社の社長となるが…。物語には,コーチが主人公にどのようにコーチングを行い,コーチングを受けた主人公はどういう行動に出て,どう会社を変えていくか,が描かれる。ちなみに,この物語は,主人公の名前以外はすべて実話を元にしており,鈴木さんがあるクライアントと歩んだ3年半を描いている。
個人的にはすごく面白かった。最初は経営者の自覚もないまま義務感・なんとなく感の漂う経営者だった主人公が,「自分はどうしたいのか?」を何度も考え,「リーダーになること」を決め,行動を起こしていく。その過程で発生するたくさんの問題(主に社内の人間関係)にも懸命に対処し,自覚と責任のある経営者になっていく…。その様子が生き生きと描かれていた。
鈴木さんは,”人はリーダーに「なって」いくんだな”と言っている。”もちろん先天的にリーダーとして資質が高い人もいるでしょう。しかし,リーダーシップは後天的にも,十分獲得できると確信するようになりました”と述べている。

◇「カルロス・ゴーン流 リーダーシップ・コーチングのスキル」安部哲也,岸英光
最近話題のカルロス・ゴーン氏。著者によれば,彼のリーダーシップは,経営層→全社へのトップダウン型と,現場→経営層へのボトムアップ型をうまく融合させたものらしい。「リーダーが強力なリーダーシップを発揮して,日産復活というビジョンの実現に向けてすべてのメンバーを率いていく。と同時に,コーチング的な手法を用いて,社員とのコミュニケーションを徹底的に重視し,メンバーの能力を最大限,導き出していく。」とのことだ。ゴーン氏が実際にやったこと,ゴーン氏の手法をまとめている。コーチングというよりはマネジメントの本に近い。
ゴーン氏についても,日産のV字回復についてもほとんど知識がない状態で読んだので,へ~と感じるところが多かった。ゴーン氏の,多様性を活かす姿勢や,他人にフィードバックを求めそれを活かす姿勢,アンガーコントロールが印象的だった。

◇「決定版 部下を育てるコーチング 」菅原裕子
菅原さんの本も,もう何冊目になるだろうか。子育てコーチングに始まり,組織におけるコーチング論は2冊めかな。上司の仕事は,心理的報酬を得られる「場づくり」とする著者。仕事への情熱は,そこに参加しているという実感が持てることで高まるとし,部下の話の傾聴(部下の安心感につながる),部下を信頼して多くを求めること,良いときも悪いときもフィードバックすること,で「場」をつくるようアドバイスする。
また,ファシリテーターを置いた会議についてもページを割き,事前準備をしっかりした,目的のある,ブレない,結果の出る会議の仕方についても説明している。
著者は,「コーチはただ相手の考えを深めるために,質問する役割を担っていると考えましょう」という。私たちが普段何かを伝えようとするとき,言葉ですべてを言い表すことはなかなかできず,無意識のうちにかなり省略し,一般化してしゃべっている。つまり,私たちは「思考の概略」しか話していないのだ。だから「その概略が何を意味しているのかを質問することで,相手の無意識にアクセスし,より多くの具体的な情報を引き出すことができる」と言う。そして,省略している側も,意識的に省略しているわけではないので,質問されて答えているうちに,自分が何を考え,何を問題とし,何が解決策かに気づくことができるとしている。

62/122 読了