自己紹介

自分の写真
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2018/03/08

谷川俊太郎展にて

谷川俊太郎展(http://www.operacity.jp/ag/exh205/)に行ってきた。谷川俊太郎の作品はもちろん,彼の生活スタイルや好きなモノ・コトも垣間見ることができる展示になっていて,だいぶ昔に教科書の中で知った「谷川俊太郎」を,肉をもつ,血の通った生きている人間として感じる,そんな時間だった。

この展示会は大きく2つに分けられる。1つは,入り口から入ってすぐの音と映像を用いたインスタレーションで谷川俊太郎の詩を紹介する展示。その空間を抜けたところにあるもう1つは,谷川俊太郎の作品と日常を様々なモノを使って紹介する展示だ。1つめのインスタレーションもけっこう衝撃的だったのだが,そこを抜けて次の展示会場に入った瞬間,これはすごい,やばい,こう来るのか…と度肝を抜かれた。展示会場内のキュレーションがものすごくステキだったのだ。
ステキなキュレーション
「自己紹介」
そう,彼の「自己紹介」という詩の一行一行にちなんだモノを展示しているのだ!展覧会のHPで読んだ詩がこんな形で展開されているとは…これだけでめちゃくちゃ興奮!!

詩を紡いでいます
「ばか」音で遊んでいるよう
展示品も心ゆさぶられるもの,グッとくるものがたくさんあった。例えば,そういうふうにして彼の詩は生まれるのだな…を見せる2つの展示。
1つは,谷川俊太郎が即興で詩を作っている様子が映し出されたワード。一文字一文字ゆっくりゆっくりタイピングされるていく。途中,タイプミスをけっこう犯し,一度入力した言葉を思い直して消去し,別の言葉を紡いでいく…。そのプロセスを観ていたら,妙に人間くさくて愛おしくなった。彼は何を思って言葉を変えたのかな。もう1つは,言葉の促音と韻で遊んでいる詩の制作過程の自筆メモ。アイウエオを縦横に一字ずつ書いた表を使って,使える言葉を探しているように見えた。そういうのの結晶が,インスタレーションで発表されていた詩や「ばか」につながっているんだろう。耳になじんで心地いい。

「朝のリレー」
バカボンのパパの詩
彼の作品もたくさん展示されていた。詩はもちろん,取扱説明書や国語の問題文,辞書の表記,英語からの翻訳作品,歌詞,子ども向け科学本の文章などなど。「春に」という詩を読んだとき,身震いした。「朝のリレー」という詩を読んだとき,心に何か滲みていくような気がした。バカボンのパパの詩を読んだとき,涙が出そうになった。
私は誰

「見る」というところに展示してあった作品は,何度も見返した作品の1つ。自分からみる自分と他者から見る自分が違うということを,これほど分かりやすく表現したものはこれまであっただろうかと思った。私は私。でも他者から見た私は,あくまでもその人の世界のどこかに布置される。その人の視点が反映される。「ジョハリの窓」よりも,もっと具体的に直感的に理解できるし,絵付きということもあって想像しやすい。

彼の作品を全部理解することは叶わなかった。日本語だから読めはする。でも,自分の中にストンと入ってこない谷川俊太郎の感性,思想,言葉があった。けれどそれでも,それぞれの作品に,訴えてくる何かはあって,何も感じないとかつまらないと感じるものは1つもなかった。

そういえば展覧会中,日本語の文字が放つニュアンスの多様さ,豊かさを感じていた。日本語ではひらがな,カタカナ,漢字を使う。ある言葉を詩の中で用いるとき,ひらがな,カタカナ,漢字のどの表記を使うか,これはけっこう重要じゃないか。例えば先に紹介した「ばか」の詩。この詩は全てひらがなで書かれているが,もし漢字が使える言葉を漢字にしたら,この詩のリズム感や遊び心みたいなものはひらがなのときに比べて伝わりにくいんじゃないだろうか。また,バカボンのパパの詩はカタカナと漢字のみで書かれている。もしカタカナの部分がひらがなに変わったら,バカボンのパパっぽくないよなぁ…。音で聴く分にはどんな表記でも気にならない。でも紙に文字として書くと,その文字のもつ雰囲気も読む人に伝わっていく。表記によって内容に色付けができるのだ。その分,表記の選定に気をつかうことにはなるが。緻密な計算,センスがいるだろう。

谷川俊太郎のひとこと

最後に…
先に紹介した「春に」は合唱曲の歌詞としても知られている。うろ覚えだった「春に」の合唱を家に帰ってから聴いてみた。うん,いい…(泣)また震えた。
それから,展示の軸になっていた詩の一行一行が書かれていた棚。裏側には谷川俊太郎の直筆ひとことが貼ってあった。その中で一番いいなと思ったのがこれ。

3/25まで新宿オペラシティで開催中です。ぜひ足を運んでみてくださーい!

2018/02/20

本レビュー ルー・タイス「アファメーション」

ルー・タイスの「アファメーション」を読んだ。いわゆる自己啓発本。どうしたら人生をもっと豊かにできるか,どうしたら自分の夢が叶えられるか,どうしたら自己成長できるか…そんな類のことが書かれている。本によれば,ルー・タイスはコーチングの祖と呼べる人らしく,アメリカで多くの実績を出した(現在は亡くなっている)コーチだ。彼の理論は,心理学徒にはおなじみの認知的不協和理論をベースにしている。これまで自己啓発本は何冊か読んできたけど,認知的不協和理論をベースにしたものは初めてではないかな。

認知的不協和理論(cognitive dissonance theory)Festinger, L., 1957
さまざまな対象に対して自らが持っている知識や信念,意見が互いに矛盾するとき,人は不快な緊張状態に陥り,それを解消しようとして矛盾のない状態(協和)にしたり,矛盾(不協和)を増大させるような状況や情報を積極的に回避するように動機づけられる
参考:「現代心理学入門〈4〉社会心理学」

ルー・タイスの理論の骨子は明快である。認知的不協和理論における「不協和」状態を自分に起こす。そうすると,その人は「不協和」状態を解消したくなる。それを利用して「なりたい自分になりましょう」ということである。

では,どのように不協和を起こすのか。具体的な目標(現状を考慮する必要は全くない。将来こうありたいという姿,ほしいものを手にした自分,したいことをしている自分など)を設定し,それを強く,鮮明に,感情を伴いつつイメージしたり,言葉にしたりする(アファメーション)。イメージしたり,言葉にしたりを繰り返していくと,そうなっていない今の自分との間で次第に不協和が生じる。そうなると,人はその不協和の解消を試みる。つまり端的に言えば,こうありたい将来の自分に向かってつき進むか,こうありたい将来の姿を改変したり,帳消しにしたり,妥協したりして今の自分を肯定していくかするわけである。不協和解消のためとなれば,人はとてもクリエイティブになるらしい。

この本でルー・タイスは,読者が,不協和解消の方法のうち前者をとるように導いていく。①自分を偽らない,②進歩的である,③有効な行動をとる,という基本原則,前者をとるのに有効なマインドセットや思考,言葉,アファメーションのプロセスなどが書いてある。実に400ページ超に渡って,重複する内容も多々見られるが,目標を決めて鮮明にイメージ化/言語化し,自分の中に強く深く染み込ませよ(その状態になっていないなんておかしい!!!と感じるくらい)と訴えてくる。というのも,ルー・タイスによれば,人は自分が考えているものにしかなれないらしい。だからこそ,将来ありたい姿を明確かつ鮮明に思い描き,自分の中に浸透させていくことで,現状を打破する可能性が開けるのである。

以上が本の概要である。なるほど理論は分かった。あとはやるだけ。と意気込んだのもつかの間,これ実行するのけっこう難しい。のっけから苦戦だよ…。あなたは将来どうありたいのですか?具体的に,偽りなく,明確に,鮮明に,イメージ化/言語化してください………

!? (*_*)...

2018/02/14

「レアンドロ・エルリッヒ展 見ることのリアル」に行ってきた!

先日,「レアンドロ・エルリッヒ展 見ることのリアル」
https://www.mori.art.museum/jp/exhibitions/LeandroErlich2017/)に行ってきた!彼のことよく知らないまま,友人に誘われるまま,これといった先入観も持たずに行ってみたのだが,あっと驚くようなユニークで凝った作品が集まっていて,すごくすごく楽しい時間を過ごした。

「反射する港」
今回展示してあった作品は,「そうくると思ったでしょ?でも実は違うんだよねー」というのが多い。私たちは日常生活で実際に目にしたものをたくさん記憶に残している。作品を見ると,それらの記憶が呼び起こされて,私たちは見たものが何なのか理解する。でも,よくよく見ると,実際に触ってみると,思っていたのとは違うことに気づく。なぜならそれらは,意図的に,人工的に作られたものだからだ。
例えば,最初の展示物の「反射する港」。普通に見ると,水面に浮かんでいる手漕ぎボートだ。それこそ井の頭公園にありそうな…。しかも,少し揺れていて,じっと見ていると,風のせいで揺れているように思えてくる。でも,このボート,本当は水に浮いていないし,会場に風も吹いていない。水面に反射しているように見える部分は作られたもの。ボートの形や色だけでなく,オールまで,反射したらどう見えるかが再現して作られている。揺れがどのように起こされていたのかは私には分からないが,それも人工的に作り出されたものだ。
「美容院」
「美容院」もそんな作品の一つ。普通に見ると,美容院のよくある光景。施術椅子とその前にある大きな鏡,鏡の前の台にはタオルやボトル,ブラシなどの美容院グッズが置かれている。でもこの場所,実は鏡がない。ただ枠があるだけなのだ。枠を隔てた向かい側に,鏡に写ったように見えるように椅子やタオル,ボトル,ブラシなどが置いてあるだけ。作品内には施術ブースがいくつかあるのだけれど,一部は先に書いたような鏡のないブース。でも,ちゃんと鏡があるブースもある。どっちがどっちか,見ていると混乱してくる。さて,写真に写したのはどちらのブースでしょう?

「眺め」
「反射する港」や「美容院」とは少し作風が違うのだけど,「眺め」という作品も好きになった。ブラインドがかかっている窓を覗くと,窓のようなもの(実際はスクリーン)がいくつかついているアパート(マンション?)のようなものが現れる。そこのスクリーンで流されているのは,アパートの一室で繰り広げられる光景。その部屋で何が起こっているのか,住人たちが何をしているのか,覗き見できるというわけだ。ある部屋では夫婦が卓球を楽しみ,ある部屋ではヌードモデルがベッドに横たわって画家に絵を描かせ,また別の部屋では,口論しているカップルがおり,空き巣に入られてる!?みたいな部屋まである。どの映像も違うから,がんばっていろいろ見ようとするのだけど,ブラインドが邪魔をしてよく見えないのがまたもどかしい…。覗くのって楽しいのねと思った瞬間だった。

他にもいろいろな作品があるので,ぜひぜひ足を運んでみてほしい!それぞれの作品にはいろいろ仕掛けがされているから,作品を見たり体験したりしながら,驚いたり発見したりできること間違いなし!!そぅそぅ,「試着室」では迷わないように注意してくださいね…

全部の作品を鑑賞し,改めて本展示会のロゴを見ていたら…あっ!彼の作品にちなんだシンボルがロゴにいろいろ含まれているではないか!なんてオシャレで可愛いロゴなのだ…!作品を思い出しながらニヤニヤしてしまった。
雲,階段,ボートが!
エレベーター,プール,階段が!

ちなみに,「レアンドロ・エルリッヒ展」のチケットを購入すると,その下のフロア(52F)にある東京シティビューにも入場できる。こちらは,展望台になっていると同時に,いくつかのアート作品も展示されている。天気がとても良かったので,これぞ東京!って感じの贅沢な眺めを堪能できた。見渡すかぎりビル,ビル,ビル!
東京タワーとビル!
遠くにスカイツリー,そしてビル!

アート作品は,テクノロジーを使ったものが多かった。ピアノの鍵盤をたたくと,その音に紐付いた香りが漂う仕掛けの楽器とか,地球に見せた球体の中心部をストローで吸うと水も緑もなくなって,荒廃してしまうのとか。
人がいっぱいだよ!
平面だよ!
視覚トリックを使った作品(右)と人形の光が動いていく作品(左)が印象的だったかな。右の作品は,平面に映像を流して,山の季節の移り変わりを表現したものなのだけど,そもそも山に何本も線が引いてあって,その線同士の幅の違いや線同士が作る形を利用して山を立体的に見せてもいる。左の作品は,光を使ってネットの筒(多分)のようなものに人形を映している(多分)のだけど,光の当て方によって,人形が筒の形状に沿って動いていく。大きくなったり,小さくなったり,人が増えたり減ったりして,ちょっと幻想的な光景だった。

本当にいろんな人がいろんな作品を作っているなと思った。いろんなアイディアに触れられた。

※レアンドロ・エルリッヒのインタビュー記事と作品のいくつかが見られます。
https://numero.jp/interview67/

2018/02/07

読書記 三浦しをん「舟を編む」

久しぶりに小説を読んだ。三浦しをんの「舟を編む」。暖かく優しい気持ちが漂う読後感。そして,だんだん自分が使っている言葉が気になり始める…そんなお話だった。

「舟を編む」は,ある出版社の辞書編集部の面々が,『大渡海』という1冊の辞書を作り上げていく過程を描いたお話だ。企画から完成までに15年。たくさんの人が執筆,校閲,製本,販売戦略に携わって『大渡海』が完成する。辞書がどのように作られるかなんて考えたこともなかった私には,辞書づくりのプロセスを知ること自体とても新鮮だった。そして,辞書づくりに真心を込める登場人物たち。彼らが本当に愛おしい。

登場人物たちの会話には穏やかな時間が流れていて,でもときに滑稽で,笑いを誘う。主人公は,言葉に敏感で辞書作りに抜群のセンスを発揮するも,人間関係は不器用で失笑を買うことも多い男性。言葉を聞いて,言葉を見て,その言葉の語義や似た意味の言葉とどうニュアンスが違うのかを思い巡らしては,自分の世界に入っていってしまうような人だ。彼が後に結婚する女性に宛てたラブレターは,実際もらったらとまどうだろう…,というくらいにおかしい。でもお話を読んでいると,彼が,不器用でも一生懸命なことや,誠実なことが伝わってくるから,私も彼が好きになった。そんな彼を,いつでもどこでも用例採集を欠かさない先生や,辞書編集部を退職した主人公の元上司,対外交渉には頼もしいちょっとチャラい同僚,挫折しそうになりながらも辞書づくりにはまっていく新人さん,ちょっと辛口だけど思いやりある女性などが支えながら辞書づくりは進んでいく。

チャラい同僚や新人さんが,主人公と関わり辞書づくりに関わっていく中で変化していく様もステキだった。何かに一生懸命なこと,何かをとても愛していることをどこかで憧れつつもごまかしていた同僚は,そんな自分に終止符を打っていく。花形のファッション編集部から辞書編集部に異動させられ,これまでとは全く異なる同僚,仕事内容,環境にとまどって新人さんは,辞書づくりを,言葉を大切にするようになっていく。

「舟を編む」の登場人物たちは,辞書を利用する人たちのことをとてもよく考えているのも印象的だった。掲載語の選定,語釈はもちろんのこと,辞書に使う紙の選定や装丁まで,『大渡海』を使う人がそれを読んだらどう感じるか,『大渡海』を使いやすくするにはどうしたらいいかなど利用者の身になって考え,改善していくことを決して疎かにしない。最近めっきり紙の辞書を使わず,電子辞書ばかりの私だが,辞書に使う紙の選定や装丁の場面を読んでいるときには,利用者への配慮や『大渡海』のアイデンティティのようなものを感じられ,小中学生の頃使っていた紙の辞書のことを思い出した。

また,「舟を編む」には聞いたことのない言葉(私が知らないだけかもしれないが…)やいくつかの言葉の辞書の語釈も出てくる。聞いたことのない言葉は,都度都度辞書を引きながら読み進め,語釈については,へーそういうふうに定義するのか,そういう意味もあったのか,と興味をひかれながら読んだ。

人に何かを伝えるとき,何かを考えるとき,言葉を正確に使うことはとても大切だ。言葉が違えば,どんなに意味が似たものであってもそこには差異がある。言葉のもつそのニュアンスを汲み取るには,辞書の助けを借りつつ,自分で咀嚼し,実際にその言葉を使いながら身体に染み込ませていくことなのかなと思う。簡単なようで難しい「言葉」。言葉を大切にしよう!と思い始めている。

少し前にアニメが放映されていたようなので,今度見てみよう!
http://www.funewoamu.com/

2018/01/26

拡散的思考傾向とOpenness特性の関連

少し前に,思考方略と性格特性の研究を行った。拡散的思考傾向は,Openness特性とどれくらい関連があるかである。

背景
拡散的思考(divergent-thinking)とは,1967年にアメリカの心理学者Guilfordが提示し思考方略の1つである。彼は,彼は思考方略を,拡散的思考(divergent-thinking)と,収束的思考(convergent-thinking)の2つに分類した。拡散的思考は,解を1つに絞ることなく,さまざまな解決可能性を探索していく思考だ。

Openness特性とは,Big Five理論で提示されている性格特性の1つで,馴染みのものにとらわれず,経験を積極的に求め楽しむような特性を指す。ちなみに,Big Five理論は近年の性格研究においては主流となっている理論で,外向性(Extraversion), 調和性(Agreeableness), 誠実性(Conscientioiusness),神経症傾向(Neuroticism), 開放性(Openness)の5つの特性で性格は構成されている,とする理論である。

方法
拡散的思考傾向とOpenness特性の関連を調べるにあたり,拡散的思考傾向を調べるテストと性格調査への回答を被験者に求めた。思考テストは,アイディアの量,多様性,独自性の観点から評価して,それぞれの回答について得点を算出した。性格調査は,被験者の回答から,Openness特性を創造性,賢さ,感情の豊かさ,好奇心,に下位分類した。これらを用いて,相関を調べた。

結果
拡散的思考傾向とOpennessの間には,有意な正の相関があり,Openness特性の中でも創造性と関連があるということが分かった。また,拡散的思考の指標であるアイディアの量,アイディアの多様さ,アイディアのユニークさのいずれにおいても,Openness特性と関連があり,その中でも特に創造性と関連があることが示された。

もう少し詳しい内容は下記にて。ファジィ学会のワークショップhttp://kanto.j-soft.orgでの発表の際に使った資料(改)です。


参考文献
Guilford, J. P. (1967). The Nature of Human Intelligence. McGraw-Hill Book Company.
和田さゆり(1996). 性格特性用語を用いたBig Five尺度の作成 心理学研究, 67, 61-67.
藤島寛・山田尚子・辻平治郎(2005). 5因子性格検査短縮版(FFPQ-50)の作成 パーソナリティ研究, 13, 231-241.
佐藤三郎・恩田彰(1978). 創造的能力―開発と評価― 東京心理
住田幸次郎(1966). 創造性検査尺度の構成と吟味 京都大学教育学部紀要, 12, 29-45
西康隆(2001). 小学生の創造的態度についての研究―体験・学力・創造的思考との関連を通して― 兵庫教育大学大学院,14
下仲順子・中里克治・権藤恭之・高山緑(1998). 日本版NEO-PI-Rの作成とその因子的妥当性の検討 性格心理学研究, 6, 138-147
矢野正晴・柴山盛生・孫媛・西澤正己・福田光宏(2002). 創造性の概念と理論  国立情報学研究所

2018/01/10

2018年ことはじめ


2018年が明けて早1週間…。昨日やっと今年最初の大仕事?である論文の執筆を終えた。執筆を始めてから1ヶ月弱,提出日3日前にしてようやく,ようやく形になりました。とりあえずホッとしている。

今回論文にしたのは,企業ロゴの印象について。いくつかの外国企業の企業ロゴを調査参加者に提示し,それぞれのロゴに対して,質問項目にあるような印象をどの程度感じるか評定してもらった。また,各企業ロゴを色や形,フォント,大きさなどのいくつかのルールに基づいて評価した。そして,それらのデータを因子分析&ラフ集合分析して,どのようなデザインがどのような印象を人に与えるか,をまとめた。
本研究の個人的なハイライトは,ラフ集合分析をやってみたことだ。因子分析は何度かやったことがあったが,ラフ集合分析は聞くのもやるのも今回が初めて。本を読んで基本をおさえ,かなり付け焼き刃な状態で取り入れた。企業ロゴの評価データ最初にしっかり用意しなかったせいで何度も分析をやり直すことになったが,そのおかげでラフ集合分析はけっこう使えるようになったし,因子分析のみで明らかになったこと以上のことが明らかになったので,やってよかった。

にしても,今回の論文執筆,振り返れば長い道のりだった…。テーマの選定から絞り込みまでに紆余曲折しまくり,結局収拾がつかず,先生の研究テーマの一つである企業ロゴについてやることになり,やることは決まったもののモチベーションは浮上せず,よってなかなか執筆は進まず,分析をしてもいまいちピンとくる結果は出ず,分析対象絞ったらいい感じになりそうだと気付いてまた分析をやり,結果が出たところで書き始めたら今度は規定どおりの図表を作るのにまた時間を要し,図表を完成させて考察を書き始めたら,データにボロが出てきて分析をやり直し,さらに考察も書き直し…という感じで完成した代物である。完成したとはいえ,今回の顛末については反省し学習しなければいけないことがたくさんあるので,そうしたい。

この1~2ヶ月間,主にゼミ室で分析や執筆を行っていたのだが,同じく論文を抱えてゼミ室に詰めていたM2の皆さんには本当に助けられた。分析や論文のストーリー展開のヒントとなるような助言をたくさんもらえたし,サブカル話や世間話でも大いに盛り上がり,ものすごい息抜きになった。サンリオピューロランド行こうとの突然の誘いにも付き合ってくれた。それに,なんといっても頑張っている人が近くにいるというのはとてもいい。私もやろう!って気になれるから。一人だとすぐ気が散ったりくじけたりしてしまう状態だったので,ゼミ室とM2の皆さんの存在は本当にありがたかった。感謝!

ところで,私の今年のテーマは「消費から生産へ」だ。論文が完成したことでとりあえず1つ生産できた。でも普通に生活していると,消費のほうが多くなりがち…。今後も生産がんばろー!