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2019/02/21

げに便良きかな,音声入力

私は冷え性だ。冬になると指先が冷たくなって,パソコンのキーボードを打つのが正直しんどい。 手が冷たいと,キーボードを打つスピードも遅くなる。 だからどうしても, 長い文章を書くことが億劫になりがちだ。とはいえブログも更新したいし, 月1-2回ペースでやり取りしている海外の友人にも長めのメールを書きたい。どうにかならんもんかな,と考えていた矢先,そうだ,私も音声入力やってみるか!と思った。というのも,私が購読しているメルマガの著者が,音声入力でメルマガを書いていると言っていたからだ。そのメルマガには,毎日3000字~4000字超の文字が書かれているが,音声入力で書き,キーボードはちょっとした修正をするときに使う程度のため,負担が少ないという。

そういうわけで,先週から私も音声入力を始めた。 今も音声入力でこの記事を作っている。とりあえず今私が持っているデバイスは,Windows PC と Android スマホ。それぞれで音声入力ができる方法を早速 Google先生にask。で暫定的に,PC では Google Chrome 上で使用できる Googleドキュメントと dictation.io を,スマホではスピーチノートというアプリを使うことにした。より使い勝手の良いものが見つかったら,変えていくつもりだ。ちなみに,これらはすべて Google の音声認識システムを利用しているので,どれを使っても精度に遜色はほとんどない。

さて,音声入力を始めて驚いたことは,その精度の高さである。私はこれまでに,日本語と英語,ドイツ語の音声入力を試したが,普通にしゃべれば確実に認識してくれる。しかも正しく。1文を一気に話してもほとんど問題ない。話してから入力されるまでのスピードは,やや遅い感はあるが,許容できる範囲である。

日本語については,もちろん漢字,カタカナ変換も勝手にしてくれる。同音異義語に関しては,たまに間違った変換をするが(本記事の精度は最初,制度と変換された), イライラするほどの頻度ではない。 また,そういうときに1回修正をすると,恐らく Google はその修正を学習するのだろう。 次にまた同じ間違いの変換をしてくることはなくなっていく。 少し面倒なことといえば,句読点や改行,かっこなどの記号を音声で入力してくれないことである。 Google ドキュメントにおいては,英語に関しては,指定のワードを話すと(ボイスコマンド),ピリオドやカンマ,改行などを入れてくれるらしいが,日本語だとその機能は今のところないらしい。dictation.ioも然り。スピーチノートに関しては, Google Play 内のアプリ説明のところで,ボイスコマンドが使えると書いてあるが,いまいちやり方がわかっていなくて使っていない。なので基本,句読点や記号を入れたいときには,キーボード入力となる。 スマホでも同様で,都度入力している。

英語の音声入力に関しては,海外の友人にメールするときに使用している。 音声入力はある意味,私の発音チェック機能を備えているわけで,ちょっとドキドキしながら話してみた。結果,ほとんどちゃんと認識してくれた。正しく認識をしてくれないときは,私の発音がよろしくないというメッセージ…ということで,精進することにする。

ドイツ語の音声入力に関しては, 数年間ドイツ語を学習していたので遊び半分でやってみた。自分で文章を作るのは時間がかかるので,とりあえずドイツ語の記事を読んでみたが,やはり私のドイツ語読みはたどたどしく,正しく認識してくれた単語数は英語に比べて格段に下がった。こちらも精進が必要である。

音声入力を始めてもう1つ気づいたことがある。 記事やメールを書き上げるまでの時間は,キーボード入力のときとそんなに大きくは変わらないということである。私は元々キーボード入力がそれほど遅くない。だから,音声入力でシステムが文字化してくれている時間と,私が同じ内容を書くためにキーボードを叩く時間は,大きくは変わらないのである。とはいえ打ち間違えや変換ミスを私もするから,それを考慮すれば,音声入力の方がやや早いくらいだろうか。 私の場合,記事やメールの内容を考えるのに時間を要する。 考えながら喋るし考えながら書く。記事やメールを書こうとすると,構えてしまうのだろうか?すぐに言葉が出てこない。だから結局,音声入力を使っても仕上がるまでの所要時間は大きく変わらない。

だが,キーボードをそれほど使わなくていいというのは非常に楽だ。冷たく固まった手を頑張って動かす必要がないし,基本マイクに向かって喋ればいいだけなので,パソコンの前に座る必要すらないのかもしれない。そう思えば,スマホを使った音声入力は,パソコンよりも気軽に使える。 ということは,いつでもどこでも好きなときに,ながらですら文書を書けるということだ。

何か行動しようとするとき,その行動を起こすのに1つでも面倒なことがあると,人はその行動をやらなくなるようだ。全くその通りである。「手が冷たいからキーボードを打ちたくない」。もちろん記事やメールの返信を書いたりはしたいのだが,ついつい億劫になってしまいがちだった。でも音声入力を始めてから, 億劫さはだいぶ減った。 今から10年くらい前,卒論やインタビュー記事をまとめるのに,必死にテープ起こしをしていたあの頃を思えば,無料で,しかも精度も高く,様々な言語に対応している音声入力を使えるなんて,なんて便利な世の中になったものだろうか。

音声入力生活を今後も続けてみようと思う。


以下,参考までに…
◆dictation.io
◆Speechnotes スピーチノート - 音声から文字へ

2019/02/19

コーチング関連本を読んでるよ Week 14

コーチング関連本,122冊読了しよう企画をやっております。

◇「コーチングの教科書-「最高の能力」を引き出す」本間正人
本書は,教育現場でコーチングをどのように使っていくか,を中心に書かれている。集団指導が中心の学校教育では,個人に合わせた教育をすることは困難。とはいえ,ひとつの方法が万人に通用するわけではない。そこでコーチングの手法を使い,集団指導では賄えない部分を補おうというわけだ。コーチングは,基本的には個に向けたものである。個人が持つ力をより引き出し,高めていくことを目的とする。
また本書には,複数の事例が載っている。うまく自分を表現できない生徒,すぐに人を頼る生徒,勉強しない生徒など,対応に少し工夫が求められる生徒像を設定し,長めの会話例を用いて実際どうコミュニケーションをとるかを提案する。

◇「コーチング入門 第2版 」本間正人
コーチングの世界ではおなじみの,本間正人さんによるビジネスマン向けのコーチング本。 部下の能力をいかに引き出すか,を念頭に置き構成されている。コーチングの基本スキルと3つのケーススタディを掲載。コーチングにはたくさんのスキルがあるが,今回紹介しているのは核となるスキルである,傾聴・質問・承認。また,コーチングを実際に進めていく上で,参考となるGROWモデルも掲載。GROWモデルは目標設定~達成までのプロセスをモデル化したものなので,初心者にとっても案内役として機能し,使いやすい。ケーススタディに関しては,相変わらず面白い。彼の本はこれまで何冊も読んでいるが,フィクションとして載っているケーススタディに登場するキャラクターはなんとなくおかしくて,なんとなく親近感がわいてしまう人たちばかりだ。そして,キャラクターの名前は,必ずと言っていいほど,芸能人の名前をもじっている。
今回,本間さんはあとがきに「学習学」について記載している。その名の通り,学習に関する学問で,彼が専門的に取り組んでいる分野でもある。本間さんは,教育と学習,コーチングを明確に分けている。教育は個人の外側から内側への働きかけ,学習は個人の内側から外側への働きかけ,コーチングは学習をサポートする役割,である。昨今,教育業界ではアクティブラーニングにシフトしようという動きがあり,また,成長スピードで考えても,知識を方法を教えてもらう受け身的な学習よりも,自分に必要なことを考え,主体的に学び,自らの学びをベースに実際行動するほうが成長スピードが早いのは明らかである。つまるところ,教える側が教わる側にどれだけ与えたとしても,成長量は教わる側に依るところのが多い。教わる側つまり生徒側を,いかに学習させ行動させるか,重視すべきはここだと思う。
文庫サイズで持ち運びもしやすく,200pくらいの本なので気軽に読める本である。

◇「子どもの心に届く言葉、届かない言葉―教師力・親力をアップする教育コーチング」
小山英樹
学校や家庭,塾等で,大人はどのように子どもたちと関わっていくべきか,どのように会話を進めていけばよいのか……と思っている方に適した本。全国の実際にあった会話を元にしたケーススタディ集であり,様々な生徒が登場。学校や塾の先生が,母親や父親がこんな風にコミュニケーションをとりました!というのが,超短編小説のようにたくさん載っている。コーチ自身が関わり方を変えて生徒との関係が改善したケースもいくつか紹介されており,変化前と変化後の対応の仕方の違いも感じることができるだろう。
ちなみに著者は,愛情・信頼・尊重をベースに,人は育とうとする生き物である,人は自分の中に答えを持っている,人はそれぞれ,という信念を持ち,クライアントの自立を教育コーチングの究極目的とする,としている。
印象に残ったところは,ペーシングについて書かれたところである。ケーススタディの中では,授業中に教室を徘徊したり漫画を読んだりし,誰の言うことも聞かない生徒が登場した。その生徒に対して,とある先生は,生徒を他の生徒や自分に合わさせるのではなく,自分がその生徒に合わせて行動をしてみた。つまり,生徒が漫画を読んだらその先生も漫画を読み始める,生徒が足を机に投げ出して座ったら先生も足を机に投げ出して座ってみる。そんなことをしたわけだ。すると何週間後かに,その生徒は,鞄から漫画ではなく教科書を取り出すようになり,机に足を投げ出さず着席するようになった。生徒をいくら変えようとしても,生徒は自己を否定されたと思って,反発を繰り返す。そして,「自分」と「相手」,合うと落ち着くし安心する。でも,ズレると落ち着かない。生徒は先生の姿を通して,自分が何をしているか客観的に見ることができたのだろう。

◇「7デイズ・コーチング」近藤直樹
セルフコーチングのための本。自分のやりたいことを実現していくプロセスを7つに分け,1日1つずつ進めていき,達成させましょう,という趣旨である。1日目は意図を明確にすること,2日目は意図を宣言すること,3日目は成果を測るための目標を決めること,4日目は行動計画を立てること,5日目はただ行動すること,6日目は成果を振り返ること,7日目は完了・次の創作である。である。1日ごとにワークシートがついており,このワークシートに沿って進めていくと良い。ワークシートは,自分がやりたいことを実現するために必要な行動を促すためのものである。行動しないと何も変化が起こらない,だから行動し,そこからフィードバックを得て,次の行動へと進む……それをやりやすくするためのワークシートである。
著者は,行動や結果を促進するために,現実で起こった出来事とそれに対する自分の反応を明確に区別することを推奨する。例えば自分が書いた文章について,上司から批判されたとする。その時,私には能力がないのかなとか,いつも自分は失敗ばかりしているとか,今度は一発 OK だと思ったのにとか,うるさい上司だとか思うのが反応の代表例である。その反応に捕らわれてしまうと,改善は起こらない。反応は反応としてその時生じた自分の感情を味わう。味わわないと,その感情に引っかかって行動の障害になり得る。そしてその一方で,感情から離れて,批判された文章を練り直す,という行動も行う。
また,何か新しいことを始めたり挑戦したりするとき,自分の中で抵抗が生じる。その抵抗に捕らわれてしまうとやはり行動はなされない。抵抗を脇に置いて,行動することにフォーカスする必要がある。
つまり,行動するために,自分の思い込みや感情から離れよ!ということだ。

◇「会話から始めるコーチング―最強のチームをつくるコミュニケーション力」伊藤守
上司・部下の関係においてどのように会話を進めたらいいかについて,コーチングの理論に基づいて書かれた本。上司が部下にしてしまいがちな質問や,上司の部下に対する悩み,なぜ部下がそのような行動をとるのか,について触れ,コーチングを取り入れた会話や,相手のタイプを考慮した接し方を通じて,お互いにとって良い関係を構築することを目指す。
見開きで1項目を扱い,左側のページでは,その項目に関するイラストを提示。平易で読みやすい。

◇「ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズとの対話」生島淳
著者と,ラグビーのコーチであるエディー・ジョーンズ氏の対話をまとめた本。ジョーンズ氏がどのような思想をベースにコーチングを行っているかや,日本の選手と他国の選手の違い,スポーツにおける日本と世界のメディアの報道の仕方,各国のラグビーチームの戦略などがまとまっている。
ジョーンズ氏はコーチングをアートだという。「選手一人ひとりにとって何が必要なのか見極めるのがコーチングにおけるアート」,「選手個々の能力を引き出すためには,どのようなコミュニケーションを取るべきなのか,それこそ数限りないケースが考えられるわけで,その見極めにこそアートが生まれる余地がある」としている。また,ハードワークの中にも楽しむ要素や柔軟性があることを求め,最終的な到達点をイメージして,日々,判断・決断していく。日本社会や教育にも触れ,選手のマインドセットを変え,勝つチームを作っていく。
巻末には,読書家であるジョーンズ氏の推薦図書を15冊掲載。

◇「「聞き方」ひとつで人は育ち・人は動く―聞いて、理解して、やる気を引きだし、大きく育てる「実践コーチング」の技術! 」石川和夫・伊藤敦子
「聞くこと」に焦点を当て,聞くとはどういうことか,どう聞くか,聞くことの効用などについてまとめた本。人は相手に受け入れられることを求め,安心すると行動を起こせる。話を聞くということは,話を聞かれる側を安心させる行為そのものだ。聞くだけでスムーズにことがすすむこともある。聞くことは,相手との信頼関係を築く第1歩とも言えよう。
相手を励ますときには,ただ「頑張れ」と言うのではなく,過去の成功体験や強みに焦点を当てて,相手の視点を変えるよう促す……。それをするには,相手のことをよく見て,知っておく必要があるということだが,取り入れてみよう。そして,未来に向かっての問いかけもしてみよう。

◇「弱さを強さに変えるセルフコーチング 」辻秀一
スポーツ心理学とスポーツ医学をベースにコーチングを行う著者による,アドバイス本。自身が主催するスポーツ塾やチームに所属する子供たちから寄せられる質問に答える形でページが進んでいく。そして,子どもたちからの質問は,抽出化すると社会人がこぼす悩みや愚痴の内容と共通するものも多く,それらへの回答としても提示している。回答は,日本や世界で活躍するスポーツ選手の態度や言葉を取り入れつつまとめている。
著者は,スポーツにおいて勝利することは重要だが,それ以上に,当人たちが力を出し切ることを重視する。その思想の元,自身のスポーツ塾を主催している。子どもたちに一生懸命,楽しく堂々とスポーツさせる,大人はその価値観を受け入れ,子どもにそれを促していく。その中で,「勝ち」につながる思考パターンや行動を身につけさせようとしている。

◇「中学の部活から学ぶ わが子をグングン伸ばす方法 」大利実
中学校で部活を指導する8人の教師たちの指導法をまとめた本。生徒の技術向上のための指導法ではなく,いかに生徒と接するか,生徒に対してどのような思いを抱いているか,が全面に溢れている内容である。
どの教師も生徒の未来を想い指導しているのが印象的だった。社会人としてたくましく生きることができるように,自立して生きることができるように,あえて理不尽で厳しい指導もする。また,部員同士が互いに高め合っていけるような関係をつくれるよう,場を設計する。そして,いつも本気で生徒と向き合う。そんな姿勢が描かれていた。

83/122 読了

2019/02/12

コーチング関連本を読んでるよ Week 7~

コーチング関連本,122冊読了しよう企画をやっております。

◇「コーチングの神様が教える「できる人」の法則」マーシャル・ゴールドスミス
原著のタイトルは「What Got You Here Won't Get You There」。翻訳タイトルよりはるかに本の中身に適したタイトルなのであえて紹介しているが,英語らしく,そして,興味を引きつけるタイトルだ。
―あなたをここまで連れてきたものはそこには連れて行かない。この本はここからスタートする。つまり,ここ(今)へとあなたを導いたものに頼っていては,そこ(より良い未来)へは行けないのだよ,と。
というわけで、そこに行くために,何をなぜ手放すべきかを教えてくれる。手放すことで得られるものは,そこへの近道となるようなスキルである。しかも,おそらくこれがこのコーチの手法の肝と思われるが,手放し,手放した状態をデフォルトにするために,他人からのサポートを最大限利用する。その方法に関しても述べた本である。
アメリカで何人もの大企業の経営者のコーチをしている著者だけあって,具体的かつ現実的な情報にあふれた内容だ。手放すべきものは明快だし(多くの人にとって手放したほうがよいこと20個が提示されている),どのように他人に協力してもらうかの手順(フィードバック,フィードフォワード)や,他人の協力に対してすべき反応(ありがとう)も指南してくれる。そして,自分を客観的に分析すること,自分の力だけで自己変革を起こすことの難しさを承知しているがゆえ,他人を巻き込み自分と他人でwin-winの状態にするという現実的な解決策を提示する。他人の手を借りるという点がネックになる人もいるだろうが,あなたに誠実に接してくれる他人と共にこの本の内容をやっていけば,変われることは大いに期待できそうだ。もちろん,あくまでも他人ではなく,自分が主体的にやっていくことが重要なわけだが。
何かを始めることも変わることだが,何かをやめることもまた変わること。まずは1つ,悪癖と早々にさよならしよう。

◇「イッセー尾形の人生コーチング」朝山実
尾形イッセーの一人芝居の演出家による,一般人向けの演劇ワークショップのルポ。4日間だけのワークショップは,演劇のプロを目指すためのものではなく,「気づく」ことに主眼が置かれているように思える。普段自分がどんな行動をしているか,他人をどれだけ見ているか/見ていないか,自分はどれだけ他人と違っているのか,追い詰められたら自分はどんな力を発揮するのか,など。
演じ方の1つとして,気持ちは全く考えずに徹底的に演じるものの形や動きを真似するというのが面白いと思った。それが見る人にとって自然な演技になるようだ。真似に徹することで,自意識からも解放される。自分が自分を認識しているように,他人はあなたを認識していないことを示す例でもある。

◇「エンパワーメント・コーチング」マイケル・シンプソン
エグゼクティブ向けにコーチングを提供する著者。7つの習慣で知られているフランクリン・コーヴィー博士らが設立した企業でコンサルタントも務めている。
著者が考えるコーチングの原則は,信頼,潜在能力,コミットメント(決意),実行。コーチとクライアント間にはまず信頼があり,だからこそクライアントの潜在能力を信じ,見つけ,伸ばすようコーチは動く。それによって,クライアントは何かを行うことを決意し,実行する。クライアントがコーチを使って目標を達成していくとき,そういうプロセスをたどる。そして本書では,このプロセスにおけるコーチングスキル7つ,信頼を築く,パラダイムを疑う,戦略を明確化する,完璧に実行する,効果的なフィードバックを提供する,才能を引き出す,中間層を押し上げる,についても書かれている。
フォードバックに関する章では,人が耳に痛いFBを受けたときの反応モデルSARAHフィードバックモデルが書かれていた。Shock→Anger→Rejection→Acceptance→Humility, Helpという流れで人はFBを受け止めるらしい。自分の反応の仕方を思い返せば,納得の流れである。

◇「部下を伸ばすコーチング―「命令型マネジメント」から「質問型マネジメント」へ」榎本英剛
90年代から,コーチングの普及に取り組む著者。米国で組織論,変革論等を学び,コーチングの資格の1つであるCPPC(Certificated Personal & Professional Coach)を取得している。
本書では,コーチングとは何か,時代の変化によるコーチングの必要性,東洋医学の人間観と照らし合わせながらコーチングを捉える,5つのコアスキル(質問のスキル,傾聴のスキル,直観のスキル,自己管理のスキル,確認のスキル),コーチングを導入することによって生じる個人の働き方の変化,それに続く社風の変化,さらにはそれが売上増への貢献に続くことが紹介されている。

◇「ハッピーになるための恋愛コーチング<」近藤直樹,土井英里佳
恋愛指南本。恋人との関係や夫婦関係が終わりをむかえるときのパターンを提示し,お互いにとって心地よい関係を育むにはどうするかを説く。自分を見つめ,受け入れる,相手と率直に話し合う,そのままの相手を受け入れる,現実と解釈を分ける,今に過去を持ちこまない,のアドバイス的なものが書かれており,一人でできるトレーニング・ワークのやり方も掲載。恋愛関係だけでなく,人付き合い一般に応用可と思う。

◇「恋愛コーチング」平本相武
恋愛指南本。傾聴することや自分の求めるものをはっきりさせる,答えは本人が知っているなど,コーチングの枠組みにおける基本的なスキルや精神を恋愛をする自分や相手へのサポートに応用することと,満足する恋愛関係を保つための工夫やテクニックの紹介で成り立った内容。

◇「元気をつくる「吉本流」コーチング」大谷由里子
吉本興業で横山やすしさんや宮川大助・花子さんらのマネージャーをしていた著者によるコーチング本。マネージャー業での経験や,その後立ち上げた企画会社における社長業での経験をふまえ,書かれている。
大谷さんといると元気になれる,と言われる著者。彼女の本ですら読んでて元気になる!大変なこともたくさんあったとのことだが,それでも物事にプラスの要素を見つけて前へ前へと進んでいく著者はとてもエネルギッシュ。そして率直。相手に合わせて自分の出方を変える柔軟さ,適応力から来るtipsとして書かれている。
彼女の人柄がよく伝わってくる本であった。

◇「メジャー初コーチの「ポジティブ・コーチング」」立花龍司
人を活かすには,ということに関してどう考え,人を活かすために何をしてきたか,していくか,を綴った本。著者は,プロ野球球団やメジャーリーグ球団でコンディショニングトレーナーとして活躍した人で,彼の哲学と経験が書かれている。
著者は,「心が動いた人間は成功する」というのがコーチングの核だと述べる。よって,相手の心を動かすために複数の手を考え,実践する。人間は一人一人違う。だから,その人にカスタマイズした方法でコミュニケーションをとり,トレーニングを行っていく。
著者がこのような結論に至ったのは,日本の野球界における選手の指導方法に疑問を持ったからだった。アメリカやキューバにおける指導方法と全く違っていた。著者が見てきた日本の野球界は,画一的で,選手に無理を強い,それをやるとどうなるのかが明確になっていない練習が横行しており,選手を疲弊させるものだった。でも,アメリカやキューバでは,そもそも野球は遊びでもあり,それぞれが自主的・主体的に練習するのが基本。強くなりたいから,うまくなりたいから,自分で考えて練習に取り組むのだ。

◇「「話し方」の心理学―必ず相手を聞く気にさせるテクニック」ジェシー・S・ニーレンバーグ
質の高いコミュニケーションを実現するために知っておくべき人間の性質のこと,言葉のこと,そして具体的なコミュニケーション法が丁寧にわかりやすく書かれている。原著は60年代に出版されているが,今読んでも全く古さを感じない。それだけコミュニケーションにおける普遍的な内容がまとめられている。
言葉は,私たちが伝えたいことの断片しか伝えない。だから,言葉で表現しきれていないことを汲み取り,感じながら相手の意図・思いを理解することが求められる。逆に,自分が言葉で何かを伝えるときにも,相手が自分の思ったとおりに理解してくれることはほぼない。相手には相手の解釈の仕方があるし,そもそも人の話を集中して考えながら聞くことは大変なことだから,そんないつもやってられない。だから,正しく理解してもらうためには相応の工夫をしたほうがよい。
生産的なコミュニケーション,自分も相手も満足するようなコミュニケーションの一歩のために,活用できる内容が満載だ。

74/122 読了

2018/12/31

2018年 納め

流されて過ごすことが多い日々を過ごしているが,「どう生きたいか」という問いは,ことあるごとに主張してくる。フィクションであれ,ノンフィクションであれ,他の人の生き方,人との関わり方を知ることで,この問いに向き合わされることの多い1年だった。
BLとデビルズラインに沼落ちし,人を好きになることとか,人とどういう関係を築くことを望んでいるのかを考えさせられた。能町さんの契約結婚コラム(http://webheibon.jp/pursuit-of-marriage/)とか,アルテイシアさんのJJ入門コラム(https://www.gentosha.jp/series/artesia_jukujo)を読んで,結婚とか,いわゆる,おひとりさまについて考えさせられた。
また,学生生活が終わり,口に糊するために何をするか,少しでも満たされた1日を過ごすためにどうするか,そんなことも考えざるを得ない1年だった。
結局答えらしい答えは出ていないけれど,昨年よりも少しだけ自分の望むことが分かったかもしれない。
来年もまた1歩1歩……

2018/12/23

コーチング関連本を読んでるよ Week 6

コーチング関連本,122冊読了しよう企画をやっております。

◇「9タイプ・コーチング―部下は9つの人格に分けられる」安村明史
エニグラムを使って部下の気質を知り,その気質に応じたコミュニケーションを行うことで,部下を生かし成長させていきましょう!という内容。エニグラムを使うことでどんなメリットがあるかを,体験談を交えて書いている。また,自分がどのタイプかを判断するエニグラムのテストもあり。9タイプ全てについて,その特徴とコミュニケーションのとり方も載っている。
エニグラム,心理学を長年やっていたので存在は知っていたが,著者がいうほど信頼性の高いテストだとはまったく思っていなかった。著者によれば,エニグラムは,古代アフガニスタン王家に端を発し,最近では,9タイプはそれぞれ,脳内の神経伝達物質(ドーパミン,ノルエピネフリン,セロトニン)の活性の高低を反映しているということが分かってきた(そういう研究がある)。また,通常エニアグラムは質問紙法が用いられるが,著者たちは,絵を描かせてその絵からタイプを判断する,投影法の判断法も紹介している。同じタイプの人は,同じ傾向を持つ絵を描くらしい。
質問紙法をどうにも信用できない私としては,投影法による診断を受けたい気分だが。
興味のある人は,著者の会社のホームページへ。質問に答えると,無料で自分がどのタイプか教えてくれます。http://www.enneacoach.com/wp/

◇「カウンセラーのコーチング術」市毛恵子
臨床心理士の著者によるコーチング論。カウンセリングで用いられる考え方も取り入れつつ,クライアントとのコミュニケーション法を述べている。
ところで,日常生活において,コミュニケーションがストレスを生じさせることはけっこう多い。どんなコミュニケーションがストレスになるのか。著者によれば,未完了感の残るコミュニケーションである。自分の投げた言葉を相手に受け取ってもらえない。相手の投げた言葉を受け取れない。会話はよくキャッチボールに例えられるが,キャッチボールがうまくいかないとき,その人の中では未完了感が残り,イライラが募っていく。未完了感のある人がとる行動は,人の基本的な行動パターンであるfight or flight。攻撃的になって怒りっぽくなったり,批判的になったり,相手の話をきかなくなるか,内にこもって口数が減ったり,人との接触を避けたり,他のものに依存したりしていくようになっていく。未完了感を減らすには,しっかり自分の話を受け止めてくれる人が必要なのだ。とはいえ,人の話を聴くのは難しい。なぜなら,人は忙しいから。それに自分が未完了感を抱えていたり,会話において相手より優位な立場に立とうとすると話は聴けなくなる。だからこそ,人の話を聞くことが商売になるということなのだろう……。
その他にもこの本には,タイプA, B, Cパーソナリティに対するコミュニケーション法や,気に食わない相手と関わるにはどうするか,などが記載されている。

◇「クライアント満足を10倍にする カウンセリングとコーチングの合わせ技」倉成央,谷口祥子
臨床心理士とコーチ兼カウンセラーによる共著。カウンセリングとコーチング,重なる部分もあるけれど,その目的は違っている。カウンセリングは,病んでいる状態や落ち込んでいる状態,いわばマイナスの状態を改善してゼロの状態へ引き上げようとするが,コーチングは現在からさらなる成長を求めて,つまり,ゼロからプラスの状態へと引き上げることを目的とする。よって,クライアントの状態に応じて,カウンセリング的手法とコーチング的手法を使い分け,クライアントを効果的に導いていきましょうと説く。
カウンセリングでは,著者が取り組むインナーチェンジングセラピーと愛着カウンセリングが紹介されている。インナーチェンジングセラピーとは,小さい頃に取り入れてしまった思考・感情・行動のパターンを変化させることを目的とする。そのために,そのパターンを取り入れてしまった出来事を掘り起こし,そのとき感じた感情を十分に体験する,ということを行う。このようなプロセスを経て感情が処理されることで,理屈だけで変化させようとするよりも,自然な納得感を伴った変化を生じさせることができるという。愛着カウンセリングでは,理想的な愛着対象から十分に愛情を受けていることを想像させることで自己の安定を図っていくようである。
コーチングについては,それほど目新しい内容は書かれておらず,会話例は単純で,ホントにこんなふうにいくの?……という感じであった。後半は冗長気味。
全体的に誤植が多いのが気になった……

65/122 読了

2018/12/13

コーチング関連本を読んでるよ Week 5

コーチング関連本,122冊読了しよう企画をやっております。

◇「成功者に学ぶ「決断」の技術──夢をかなえる最強のコーチング」 鈴木義幸
人はどのようにして行動することを決めるのか…さまざまな企業のマネージャーにコーチングを行っている著者による,実際のコーチング場面で,クライアントがいかに決断したかを提示した本である。コーチである著者とクライアントによる,え,こんなことも言うの?とも思えるやりとりが載っていて,びっくりしながら読んだ。というのも,これまで読んできた本には,コーチがクライアントに対してあまり厳しいこと・耳が痛くなるようなことを言っていなかったから。なんというか,本気のやりとりを見せてもらったような感じである。
著者は,物事や言葉に付与されている意味が,その人の中で変わったときに人は新たな行動を起こすと考えている。例えば,「部下の話に耳を傾ける」ということに人はどんな意味付けをしているだろうか。「忙しくて時間がないし後回しでよい」と意味づけしている人,「自分の業績につながる」と意味づけしている人,いろいろいるだろう。このとき,前者のように意味づけをしている人は,いくら「部下の話に耳を傾ける」ということが大切だと人から説明されたとしても動かない。動くようになるには,意識的に,それ以上に ”無意識的にも” その人の中で意味付けが変わっていなければいけないのだ。頭ではわかっているけど行動できない,というのは,筆者から言わせれば,無意識においては意味付けが変化していないということである。この,クライアント自身の中にある意味付けを変えるためにも,著者は先に述べたような,本気のやりとりを繰り広げているように思う。

◇「実践・プレッシャー管理のセオリー ビジネスパーソン必修 メンタル・タフネス強化のセルフコーチング術」高杉尚孝
「~でなければならぬ」という思考を,「~であるのが望ましい」+「~でなければならぬ理由はない」という思考に変えていきましょう,ということがひたすら書いてある本。前半では,出来事→解釈→感情→行動の流れを説明していき,後半は,コーチと様々な悩めるクライアントの会話をいくつか取り上げ,どんな「ねばならぬ」思考をしていて,それをどう「~が望ましい」にしていくかのプロセスが描かれる。
著者は,出来事の受け取り方・解釈の仕方を変えれば,そこで生じる感情も変わり,その結果行動も変わり,パフォーマンスが向上すると考えている。「ねばならぬ」ことなどこの世にはなく,大抵はその人が「ねばならぬ」と思い込んでいるだけ……。論理的に考えるとそうであることが納得できるでしょうというスタンスだ。そして,「ねばならぬ」思考は,モチベーションを上げるとも限らず,プレッシャー等からむしろパフォーマンスを下げることがあるという。だから,「ねばならぬ」という絶対要求ではなく,「望ましい」という願望を!と説くのである。
ま,それは確かにそうなのだけれども……なんだろうね,この琴線に触れない感……
とにかく,理を全面に出している本です。

◇「本番に強い子に育てるコーチング---個性を活かし、集中力と潜在力をフルに引きだす指導法とは」児玉光雄
試合やテストというのは誰でも緊張するもの。そんなとき,いつも通り,あるいはいつも以上の力を発揮することのできる強さは,どうやったら身につけていけるのか…そして,親はそんな子にするためにどんなサポートをしていったらいいのか…それについていくつものtipsが載っている。あまり体系的には書かれてはいなくて,効果のあるものを集めてまとめた,という感じである。著者はスポーツ心理学を専門にしている方。ホンマでっかTVにも出演経験があるらしい。
印象的だったことをいくつか取り上げる。1つ目は正しい目標の立て方に関して。目標を立てることが自己成長において重要なことは言わずもがなだが,じゃあどうやって目標を立てるの?というと,さまざまな意見・方法が出てくる。著者は,とある研究を引用して「10%増しの目標,あるいは6割の確率で達成できる目標」が正しい目標であり,やる気を最大限に引き上げるものだとしている。なるほど,達成できるかもしれないし,達成できないかもしれない,というギリギリのラインのところで設定せよということなのだろう。
続いて,自己イメージの重要性。自己イメージによって人の行動は変わる,端的に言えば,できないと思っていればできないし,できると思っていればできるのである。このことに関して,英単語の試験成績が悪く,苦手意識のあった子に「英単語を記憶することを私は好きだ」と自己暗示をさせることで自己イメージを変化させ,試験成績が上がった例を紹介している。
また,努力は100%自分でコントロールできるが,結果はコントロールできないということ。だから,結果に左右されてはいけないし,自分でコントロールできないことには反応しないようにすること。ニーバーの祈りを思い出した。「変えられるものを変えることができる勇気を,変えられないものを受け入れる落ち着きを」…。つまりは努力することそれ自体にフォーカスせよということだ。
最後に,著者が開発した集中力を高めるライン追跡トレーニングを紹介。写真のラインを,目だけで右から左に追跡するというものである。週3-4回のペースでトレーニングすることで集中力が向上するらしい!

◇「キリカエ力は、指導力―常識も理屈も吹っ飛ぶコーチング」宿沢広朗,山口良治,山田久志,玉木正之,永井洋一,平尾誠二
スポーツ界でコーチをしてきた/スポーツライターをしている著者たちが,自信のコーチ論,経験について語っている本。内容も,文章が醸し出す雰囲気もそれぞれ違っていて,興味が分かれるかもしれない。昭和~の指導方法の変遷について触れ,今どんな指導が求められているかを述べている著者もいる。山口さんの伏見工業の話は,以前別の本
(アスリート・コーチングBOOK―日本一の指導者に聞いたコーチング術)で読んだことがあるが,相変わらずほろっとくるような内容だった。この方,感情に訴える文章を書く/話すのがうまいな…
個人的には,平尾さんの書いていた「コーチングで一番重要なことは何かというと,その選手がいかに前向きに取り組んでいけるか,意欲をどうつけてやるかなど,メンタルの部分にかかわってくると思います」が最も共感したところ。英語指導も同じこと。基本的に,やる人はほっといてもやるのだ。自分でどんどん調べて学習し,聞いてくることもはっきりしている。方法論など巷にあふれているのだから。だったらそういう人をいかに「やる,やりたい」方向に持っていくか,そこに注力すべき。

◇「コーチングの技術―組織が変わり成果が変わるコーチングとは?」ヒューマンバリュー
コーチングの世界的権威と言われているティモシー・ゴールウェイの理論を紹介しつつ,コーチングの歴史的背景,哲学,コーチに求められるスキルやコーチングプロセスが載っている。ティモシー・ゴールウェイに関しては,他の著書で名前とちょっとしたエピソードが載っていたので,なんとなく知ってはいたが,この本で彼がやっていたことの理解が少し進んだ。
ティモシー・ゴールウェイはテニスコーチで,自身の経験から,セルフ1とセルフ2に関する理論を提唱した。セルフ1はいわば意識的な監視・評価・命令さんで,セルフ2は非意識の潜在能力発揮さんである。私達は何かをするとき,たいていセルフ1が,評価や命令をそして干渉する。また,低い自己イメージを作り上げてしまうのもセルフ1。それによってセルフ2は自由に活躍できなくなってしまうのだ。彼は,最高のパフォーマンスが発揮されるのは,セルフ1が静かになってセルフ2が自由に力を発揮できるときだとわかった。それを生じさせるのが,「変数に意識を向けること」とのこと。つまり,生じている事象をありのままに知覚・認識できるように努めることである。そして,コーチはそのための手助けをクライアントにするわけである。
彼はまた,仕事のパフォーマンス向上のためには…ということで,パフォーマンスを高めようとするのではなく,学習と喜びを高めることで,結果的にパフォーマンスが上がっていくということを述べている。

◇「セルフ・コーチング入門<第2版>」本間正人,松瀬理保
タイトルどおり,初めてセルフ・コーチングするよ!って人にやさしい本。セルフ・コーチングと,コーチを雇うことそれぞれのメリット・デメリットや,セルフ・コーチングの仕方,ケーススタディ等が紹介されている。ケーススタディは,芸能人の名前をもじった人を登場させ,彼・彼女が仕事で今抱えている問題についてセルフ・コーチングする様子がひとり語りで語られている。しかも,あるあるな内容。思考の展開の仕方が把握できるから,自分で実際にやってみて,これでいいのかな?と思ったときの確認にも使える。
成長につながる行動を妨げる,5つの思考の罠についても紹介されている。どうして私ばかり…!に代表される「なぜなぜ回路」,愚痴の「ぐちぐち回路」,○○はどうなるんだろう…に代表される「心配回路」,きっと○○なんだろう…の「憶測回路」,思考があちこちに飛ぶ「散漫回路」である。これらの回路が自分の中で発生していることに気づいたら,すぐそこから離れることをおすすめする。

◇「イチロー選手の言葉に学ぶ セルフ・コーチング」庵里直見,鈴木信市
目的思考型心理学(初めて聞いた名称だが)を実践する著者の庵里さんによれば,イチローの言葉は,目的思考型心理学に即しているらしい。そこで,イチローの言葉や行動を紹介しながら目的思考型心理学のコミュニケーションを紹介していく。そして,そのコミュニケーションが,まさにセルフ・コーチングになるというわけだ。
そもそも,目的思考型心理学とは何なのか?著者によれば,「まず,手に入れたい結果を強くイメージします。そして,自分の長所をどう伸ばすかに集中する。言わばその相乗効果によって物事を成し遂げようとするのです。」とのこと。カウンセリング等でよく見られる,原因究明型のアプローチはとらない。
この本にはイチローの言葉がいくつも出てくるが,いちばん驚愕したのは,イチローが小学生のときに書いたという将来の夢に関する作文。具体的かつ詳細に書かれている。客観的な自己評価もしているし,根拠付も十分…なんだってあんなものを小学生で書けるのか…。

◇「コーチングが人を活かす」鈴木義幸
以前読んだ「図解コーチングスキル」とほぼ同じ内容。章立て(相手の中から答えを引き出す,安心感と自信を与える,未来への夢を抱かせる,新しい視点を与える,自発的な行動を促す)はコーチングの基本指針になっており,全部で50個のコミュニケーション法が載っている。箇条書きだから気軽に読める。著者の実体験も交えながらでわかりやすい。
50個の中に,「価値を見つける」という項がある。どの行動をしているとき,あるいはどの状態にいるとき,いちばん生き生きしているのか?という問いのもと,複数の動詞が並ぶ(探索する,輝いている,触れ合う,奉仕する,勝つ,達成する,説得する,つながっている,など)。コーチはクライアントが重きを置いている価値を知っておくことで,適切なアプローチができる。その価値をうまく使って行動を促せるからだ。また,コーチ自身にとっても,自分が重要視している価値を知っておくことは,自分を知る・自己コントロールするうえで役に立つだろう。さて,私は何に価値を置いているのだろうか?

◇「コーチングのプロが教える心を動かすリーダーシップ」鈴木義幸
またまた鈴木さんの本。今回のは,会社員から社長になったある男性を主人公とした物語調になっている。もともとは,銀行に勤務していた主人公。そんな主人公のもとに突然,父親が倒れたとの知らせが入り,父の経営していた会社を継ぐことを決意する。年商100億円,1000人の従業員を抱える企業である。しかし,500円の負債もあった…。父の会社に入社後1年間の猶予期間を経て,同会社の社長となるが…。物語には,コーチが主人公にどのようにコーチングを行い,コーチングを受けた主人公はどういう行動に出て,どう会社を変えていくか,が描かれる。ちなみに,この物語は,主人公の名前以外はすべて実話を元にしており,鈴木さんがあるクライアントと歩んだ3年半を描いている。
個人的にはすごく面白かった。最初は経営者の自覚もないまま義務感・なんとなく感の漂う経営者だった主人公が,「自分はどうしたいのか?」を何度も考え,「リーダーになること」を決め,行動を起こしていく。その過程で発生するたくさんの問題(主に社内の人間関係)にも懸命に対処し,自覚と責任のある経営者になっていく…。その様子が生き生きと描かれていた。
鈴木さんは,”人はリーダーに「なって」いくんだな”と言っている。”もちろん先天的にリーダーとして資質が高い人もいるでしょう。しかし,リーダーシップは後天的にも,十分獲得できると確信するようになりました”と述べている。

◇「カルロス・ゴーン流 リーダーシップ・コーチングのスキル」安部哲也,岸英光
最近話題のカルロス・ゴーン氏。著者によれば,彼のリーダーシップは,経営層→全社へのトップダウン型と,現場→経営層へのボトムアップ型をうまく融合させたものらしい。「リーダーが強力なリーダーシップを発揮して,日産復活というビジョンの実現に向けてすべてのメンバーを率いていく。と同時に,コーチング的な手法を用いて,社員とのコミュニケーションを徹底的に重視し,メンバーの能力を最大限,導き出していく。」とのことだ。ゴーン氏が実際にやったこと,ゴーン氏の手法をまとめている。コーチングというよりはマネジメントの本に近い。
ゴーン氏についても,日産のV字回復についてもほとんど知識がない状態で読んだので,へ~と感じるところが多かった。ゴーン氏の,多様性を活かす姿勢や,他人にフィードバックを求めそれを活かす姿勢,アンガーコントロールが印象的だった。

◇「決定版 部下を育てるコーチング 」菅原裕子
菅原さんの本も,もう何冊目になるだろうか。子育てコーチングに始まり,組織におけるコーチング論は2冊めかな。上司の仕事は,心理的報酬を得られる「場づくり」とする著者。仕事への情熱は,そこに参加しているという実感が持てることで高まるとし,部下の話の傾聴(部下の安心感につながる),部下を信頼して多くを求めること,良いときも悪いときもフィードバックすること,で「場」をつくるようアドバイスする。
また,ファシリテーターを置いた会議についてもページを割き,事前準備をしっかりした,目的のある,ブレない,結果の出る会議の仕方についても説明している。
著者は,「コーチはただ相手の考えを深めるために,質問する役割を担っていると考えましょう」という。私たちが普段何かを伝えようとするとき,言葉ですべてを言い表すことはなかなかできず,無意識のうちにかなり省略し,一般化してしゃべっている。つまり,私たちは「思考の概略」しか話していないのだ。だから「その概略が何を意味しているのかを質問することで,相手の無意識にアクセスし,より多くの具体的な情報を引き出すことができる」と言う。そして,省略している側も,意識的に省略しているわけではないので,質問されて答えているうちに,自分が何を考え,何を問題とし,何が解決策かに気づくことができるとしている。

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