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2019/10/16

DUBの楽しみ ―「YURI !!! ON ICE」北米版

神アニメとして私の中では不動の地位を築いている「ユーリ!!! on ICE」が,今月~テレ朝土曜の深夜枠で再放送を開始した。今年は映画版の公開が予定されていたものの,公開は延期。でも再放送始まったってことは,公開はそう遠くないのかな?と期待しつつ,これまでに何度観たか分からない「ユーリ!!! on ICE」を,また久しぶりに見始めている。そして,久しぶりに北米版も見返してみよう!と思いたった。

※「ユーリ!!! on ICE」およびヴィクトルへの愛はこちらの記事でも書いています。
 大好きだー!「ユーリ!!! on ICE」https://yukiron.blogspot.com/2017/05/on-ice.html
 年の瀬企画-第一夜- 2017年が初めて記念年 https://yukiron.blogspot.com/2017/12/2017.html

こちらの埋め込みからだと再生が不可のようなので,一度YouTubeにとんで再生ください。
 

私は本当に「ユーリ!!! on ICE」が好きなので,日本版のブルーレイでは飽き足らず,北米版のブルーレイも購入している!その理由は,日本人の声優による日本語のセリフが,英語になったとき,どんな声優がどんなセリフで演じているのかを知りたかったから。日本語と英語は語彙も違うし,文法も違うし,それぞれの言語が生まれている土壌も違うから,一対一対応で翻訳できることはほぼない。たとえ日本語のセリフをがんばって直訳したとしても,それが英語話者にとって伝わりやすく解しやすいセリフかどうかは疑わしい。そんなわけで,「この日本語の表現は,どんな英語の表現に変わっているのか?」を発見しつつ,「あ,こんな言い回しできるんだ」とか「この表現を使うとイメージがこんなふうに変わるな」とか,はたまた「私だったらここはこうするかな」とか,そんなことを考えながら見るのが,楽しい。
北米版の予告編↓


というわけで,私の好きな場面の英語セリフと日本語セリフをいくつか拾っていこうと思う。とその前に,「ユーリ!!! on ICE」のキャラは国際色豊かだ。キャラたちの英語,けっこう癖があるように聞こえる。おそらく,ロシア訛り,イタリア訛りなど,そのキャラの出身に合わせた発音にしているのかな,という印象。でも日本人キャラは日本語訛りになってない(笑)。声質の違いでキャラの印象もけっこう変わるもんで,私の好きなヴィクトルは,日本版では諏訪部さんの透き通るような若めの声,でも北米版では少し年上感がある。どちらも優しい印象の声だけど。JJはね…やっぱり宮野さんに勝てる人はいない…うん。

では早速セリフに行ってみよう!ストーリー順に行こうか。日本語セリフ,英語セリフ,直訳,コメントの流れでそれぞれ紹介!コメントにはその場面の感想や英語表現から受ける私の印象を記しています。
ATTN: 英語・日本語ともにセリフは私の耳による聞き取りです。また,直訳も私がしています。不正確なところがあるかもしれませんがあしからず…。画像はDVDからのスクショです。

◆冒頭部
日:「彼はいつも僕をびっくりさせる。初めて彼のスケートを見たときからずっと,驚きの連続だった。」
英:"Over the years, he's never ceased to surprise me. From the first time I saw him skate till now, it's been one surprise after another."
→「何年にも渡って,彼は僕を驚かせるのを決してやめない。彼がスケートしてるのを初めて見たときから今まで,驚きが次から次へとある。」
コメ:第1話のOPが流れる前の30秒くらいのパートですが,これを見ただけで私は「ユーリ!!! on ICE」に惹きつけられた。このアニメは面白いに違いない!と。
まさに現在完了が本領発揮できるセリフ…そうか,ceaseが使えるのか,stopだとちょっと軽い感じ?になるのかな…

◆第3話 勇利が「愛について~エロス」でパフォーマンスすることが決まり,ヴィクトルがアドバイス
日:「世界中のみんなはまだ勇利の本当のエロスを知らないんだ。それは勇利だって気がついていない魅力かもしれない。それを早く教えてくれないか。」
英:"Unleash the Eros within you. Maybe no one 's seen it before, but I know it's there, smoldering deep down inside you waiting for. It's chance to come out."
→「勇利の中にあるエロスを解き放て。多分これまで,誰も見たことがないかもしれない。でも俺はそこにあるって分かってる。心の深いところでくすぶりながら待っているんだ。今こそ出てくるとき…」
コメ:けっこう変わってるよね。英語のほうが直接的で,より躍動感がある…!それらの言葉からヴィクトルの色気が倍増している。unleashとかsmolderとか,チョイスがいい!

◆第5話 グランプリシリーズに向けて,記者会見での勇利のスピーチ
日:「今年のグランプリシリーズで僕がテーマにするのは,愛です。今までのスケート人生,いろんな人に助けられながらやってきましたが,愛について考えたことは一度もありませんでした。恵まれた環境にいながらそれを活かしきれず,一人で戦っているような気持ちでずっといました。けど,ヴィクトルコーチが現れて,僕の見ていた景色は一変しました。僕の愛,それはわかりやすい愛や恋ではなくて,ヴィクトルとの絆や家族や,地元に対する微妙な気持ち,ようやく自分の周りにある愛のようなものに気づくことができました。初めて自分からつなぎとめたいと思った人,それがヴィクトルです。その感情に名前はないけど,あえて愛と呼ぶことにしました。愛を知って強くなった僕を,グランプリファイナルの金メダルで証明します。」
英:"We struggled to find this theme for Grand Prix. It was hard and in the end I chose love. There've been so many people who helped my competitive skating career. It's somehow I've never thought if it is love until now. I was lucky to have people supporting me, but I had hard time for accepting that support. So I was always like I was fighting alone. But since Victor came in my life and became my coach, I started to seem differently. This love isn't something like clear-cut or romantic love. It's more than abstract feeling and composites of my relationships with Victor, my family, and my hometown. It took a long time but I finally realize I'm surrounded by love every day. For the first time that somebody I want to hold on to, the person is Victor. I don't really have name for that emotion but I've decided to call it love. It's changed me. I'm stronger now. You know prove it the Grand Prix Final with a Gold medal. "
→「グランプリシリーズのためのこのテーマを見つけるのに奮闘しました。大変で,最後に僕は愛を選びました。僕の競技スケートを助けてくれた人はたくさんいます。でもなぜか,それが愛かどうか考えたことは今まで一度もありませんでした。僕はサポートしてくれる人がいて幸運でしたが,サポートを受け入れるのが難しかった。だから僕はいつも一人で戦っているようでした。でも,ヴィクトルが僕の生活に入ってきて,僕のコーチになって,僕は違ったように見始めました。この愛は,なにか分かりやすく,ロマンチックなものではありません。もっと抽象的な感情でヴィクトルや家族,地元との関係が混じったものです。長い時間がかかりましたが,ついに,僕は毎日愛に囲まれていることに気づきました。つなじとめたい誰かがいるのは初めてで,その人はヴィクトルです。その感情への名前はないけれど,僕はそれを愛と呼ぶことにしました。それは僕を変えました。僕は強くなっています。それをグランプリファイナルで金メダルをとって証明します。」
コメ:愛は「ユーリ!!! on ICE」の核となるテーマ。それを勇利くんが語っているので長めに引用。英語的にはけっこう直訳に近い印象。

◆第7話 プレッシャーにつぶされて号泣する勇利からヴィクトルへ
日:「僕が勝つって僕より信じてよ。だまってていいから離れずにそばにいてよ。」
英:"Just have more faith I'm going to win than I do. I order not to say anything, just stay close to me."
→「ただ僕が勝つってことを僕よりも強い信念を持ってて。何も言わないでただ僕のそばにいて。」
コメ:このセリフにはホント共感しかない…。英語的には,faithは宗教的なイメージがあったのだけど,こんな使い方もするんだ,と発見。faithを使うとbelieveよりも,もっと強いもの・確信めいたニュアンスが入り込む感じがある。そして,例のはなそばは,訳そうと思えばいろいろ言えるように思う,例えばBe with me always/all the time., Don't leave/let me alone. Stay with me. などなど。withではなく,close toを使っているのが,ヴィクトルという個と勇利という個がそれぞれ存在して,それらが互いに近くにいる,という個を意識した感が出るかな,という印象。

◆第7話 泣いた後のFS
日:「もっと強くなりたい。もっと強くなれる。僕はヴィクトルの想像を超えられる。」
英:"I want to become stronger. I'll become stronger. I can surpass the Victor's wildest imagination."
→「僕はもっと強くなりたい。僕はもっと強くなる。僕はヴィクトルの荒々しい想像を超えられる。」
コメ:いろいろ吹っ切れて…勇利くん,ガンバー!!なシーン。比較と助動詞のイメージがはまるセリフ。英語ではwildestを加えている。それによって,ヴィクトルの想像してることってダイナミックで荒々しくて普通とは違うんだよ,感が入ってくる印象。

◆第7話 次モスクワで戦うことになっているユーリから勇利へ
日:「モスクワでボルシチにしてやるよ。この豚野郎が!」
英:"In Moscow, I'll make you into Borscht, little piggy bastard!"
→「モスクワで,お前をボルシチにしてやる,豚野郎!」
コメ:ユーリは口が悪いロシアンヤンキーの設定なので,暴言がけっこう飛び出してきて面白い。本当は予告編にもある1話のトイレのシーンとかも切り取りたかったのだけど,いかんせん同じロシアのヴィクトルよりも発音が聞き辛く,何を言っているか不明瞭な部分があるため,断念。このセリフはこのセリフで素直に対抗心むき出しのユーリが現れてて好き。

◆第10話 グランプリファイナル直前,ヴィクトルから勇利へ
日:「いいよ。何も考えなくていいおまじない。明日は,勇利がいちばん好きだって言えるスケートを見せてね。俺が知ってる金メダルの近道なんてそれくらいだ。俺は勇利の決めたことを絶対信じるよ。」
英:"OK. I'll tell you something that you won't have to think about tomorrow. Skating the way that's true to yourself. Show me a program that makes you proud. There's only way to a gold medal that I know and that's it."
→「いいよ。勇利が明日何も考えなくていいようなことを話すよ。自分に正直なスケートをして。自分が誇りに思えるプログラムを見せて。俺が知っている金メダルへの道はそれだけだ。それしかない。」
コメ:あ,おまじないはspellとか使わないのね!?どういうスケートをしてほしいかについては,英語のが詳しい。でも最後の文章では英語ではthat's it.の一言で完結している。シンプルで,ヴィクトルの決心というか腹をくくった感というか,そういうのをより出してるのかな?

◆第12話 グランプリファイナルでのFS
日:「終わりたくないよ,ヴィクトル。ずっと一緒にスケートを続けたい。でも,僕のコーチでいることは競技者としてのヴィクトルを少しずつ殺しているのも同然だ。僕の中にいるヴィクトルを見てて。ヴィクトルがコーチになってくれたことは無駄じゃない。それを証明できるのは,世界中で僕しかいない。」
英:"I don't want it to end here. I wanna skate with you forever. But the price of keeping him as my coach would be killing you slowly as a competitive skater. Look at the Victor who lives on inside me. Becoming my coach wasn't waste of time. I'd be only one who can prove it and that's what I'm doing now."
→「僕はここで終わりたくない。ヴィクトルと一緒にずっとスケートをしたい。でも彼を僕のコーチにし続ける代償は,競技者としてのヴィクトルをゆっくり殺していくだろう。僕の中で生きるヴィクトルを見て。僕のコーチになったことは時間の無駄じゃなかった。僕だけがそれを証明できるんだ。僕が今それを証明しているんだ。」
コメ:後半,助動詞would(婉曲用法かな)と現在進行形を使って意味を強めている。勇利くんの今まさに感じている気持ちが反映されている印象。I don't want to it to end. はあまり目にしたことのない表現。I don't want to endじゃないんだと。it を挟むことでスケートをヴィクトルとするというコンテンツがはっきり現れ,また to end という前置詞+名詞で終わりまでそれを持っていく,みたいなニュアンスが加わるのかなという印象。いずれにしても,単純にwant to endにするよりも凝っている,具体性が増している表現になっているように感じる。

そんなわけでセリフ紹介はひとまずこの辺で。随分たくさん書いてしまった…。やっぱり好きな作品については,その他の素材よりも熱量多いよね…。というわけで,まだ「ユーリ!!! on ICE」を観たことのない皆さんにはぜひ観てほしい…!
DUBは英語学習にも使えるので,今度別記事でやり方など書こうと思います。

追記:ちなみに北米版は,ブルーレイとDVD(どちらも全話収録)のセット販売。それに特典のミニイラスト集みたいなのと缶バッジがついて$63.74だった。配送料と手数料は$12.97。計$79.52で購入した(Right stuf Animeから直輸入)。配送料は安かった分,到着まで発売から1ヶ月弱かかったが(トラッキングによれば,アメリカからヨーロッパ経由でうちに届けられていた…),にしても日本のブルーレイに比べてずいぶん安くてびっくりだ。日本版は,そもそも全話収録で売っていない。2話分×6本で全話となり,1本分で既にだいたい北米版と同じくらいの値段…まあ,その分特典もたくさんついてたりするのだが。この差は一体何なのか。

日本語版は,Amazon プライム・ビデオ で見られます!
ぜひ!

2019/07/02

私もがんばろっ! -漫画記 たなかマルメロ「俺たちマジ校デストロイ」,モリエサトシ「星空のカラス」

久しぶりの漫画レビュー。今日は最近読んだ漫画を2つ紹介したい。たなかマルメロさんの「俺たちマジ校デストロイ」と,モリエサトシさんの「星空のカラス」だ。読後感はどちらの作品も「私もがんばろっ!」。主人公たちがやりたいこと,成し遂げたいことに向かってガシガシ突き進んでいく姿はかっこよく,読んでいてパワーをもらえる。

・たなかマルメロ「俺たちマジ校デストロイ」
ネオアイドルとしての活動に精を出す,男子高校生の物語。平凡な日常を過ごしていた男子高校生のトモは,道端でもらったチラシに書いてあった”ネオアイドル”(アイドルのようなもの)に興味を持つ。アプリに登録さえすれば,誰でもネオアイドルとして活動できるということで,幼馴染のニーナと友達のメグを誘って早速登録。登録したはいいものの,ネオアイドルって何するんだ!?状態の3人。グループ名を決めることに始まり,学校でライブしたり,隣のクラスのキスケにグループの作曲家になってもらうべく粘ったり,体力つけるのにトレーニングしたり,テーマ別で開催される一般公開ライブに出たり,別のクラスのネオアイドル経験者のミユとジュンや風紀委員長のユッキーを誘ってメンバーを増やしたり,別のネオアイドルと仲良くなったり,と彼らの日々を綴っていく内容だ。
アプリ「pixivコミック」で
一部無料で読めるよ
 登場人物は主要メンバーだけでも十分多い(トモたちのグループ「マジ校デストロイ」で既にメンバー6人+プロデューサー1人)が,誰もが誰かの影に隠れることなく,それぞれがキャラ立ちしている。見た目も性格も全然違うが,誰もがなんかしら弱いところや,心のもやもや・キズを持っていて,でもみんなそれぞれにいいところがあり,それらが絡み合って一つのストーリーになっている。それが本当に面白い。問題が起これば解決し,なんだかんだありつつも前向きに進んでいくメンバーたち。そして,それぞれが持っているもやもややキズは,別のメンバーの発言や行動によって癒やされたり,そこから解放されたりもする。お互いがお互いを想って大切にしているさまがよく伝わってくる。彼らが彼ららしく,みんなでゼロからネオアイドル「マジ校デストロイ」を作り上げていくさまは,本当に応援したくなる!!!メンバー全員好きなのだけど,私はトモとニーナ推し!トモはスマホの待ち受けに,ニーナはスマホキーボードの背景に画像をセットしたよ!そして!マルメロさんといえば絶対笑顔!キャラたちの笑顔が本当に素敵なのだ。もうなんだろうね,全てがクリアになって晴れ渡ったような,それこそとびきりの笑顔を見せてくれるんですよ!!スクショした笑顔,貼っときます!
ジュン
トモ
ちなみに,「マジ校デストロイ」以外のネオアイドルたちのキャラも濃ゆい。たくさんのキャラを立たせ,描き分け,まとまったストーリーへと展開するマルメロさん,ホントに尊敬しかない。
そうそう,「マジ校デストロイ」はツイッターアカウント(https://twitter.com/majiko__23)も持っている。メンバーがつぶやいているという体で,日常のつぶやきや彼らの写真(実際は彼らのイラスト)をツイートしているのだが,そこにもそれぞれのキャラの性格が反映されていて,「マジ校デストロイ」本当は実在してるんじゃないか?と思うくらいだ。
実は,作者のたなかマルメロさんは,おげれつたなか名義でBL作品も描いている。というより,おげれつたなかのほうが知れ渡っているかもしれない。私はおげれつさんの作品もすごく好きだ。やはり,ちょっとこじらせているような男性がよく登場するのだが,それらは相手からの愛情で少しずつ癒やされていったり,落ち着いていったりして,最終的には,あぁ素敵な2人だな,よかったねー!!と,2人を見守る隊の1人としてとても幸せな気分にひたれる。もちろん,マジ校同様,キャラたちの笑顔も本当に素敵なのだ!BLに抵抗ない方は,「エスケープジャーニー」,「怪物」シリーズ(ほどける怪物,はだける怪物),「ヤリチン☆ビッチ部」もオススメ。

・モリエサトシ「星空のカラス」 
全8巻
囲碁のプロ棋士,さらにはその上を目指す女子中学生の物語。プロ棋士だったおじいちゃんに小さい頃囲碁を教わった烏丸和歌は,囲碁が大好きな女子中学生。いつものように碁会所で囲碁を打っていた和歌はプロ棋士の男子高校生プロ棋士,鷺坂総司と出会う。和歌の総司に対する最初の印象は最悪だったものの,彼の名人戦の試合を見て,彼の強さや勝利に対する執念に強く惹かれ,彼と勝負できるようになるために強くなることを決意。彼を「ししょー」とし,親からの反対や挫折,幼馴染や院生仲間との勝負などを経て,和歌は成長し,総司もまた名人戦で勝利し名人となるなど,腕を上げていく。和歌も総司も,囲碁バカと言われるくらい囲碁のことしか頭にない。それくらい囲碁に魅せられ,囲碁に苦しめられ,囲碁を愛し,強くなることを求め続けるさまはカッコいい。囲碁試合自体の描写は少なめだが,登場人物たちの囲碁に対する姿勢や囲碁を打つときの気迫は十分に伝わってくる。
2巻より
和歌は総司に対して恋心を抱いていて,総司も和歌のことを気に入っているのだけど,2人の関係は恋愛というよりも,師匠と弟子,あるいは囲碁の同志という感じである。囲碁を通して相手のことを理解するし,囲碁が2人の関係を深く特別なものにしている,という感じだ。
和歌はまっすぐ素直で負けても折れない強さがある。よく笑うしよく泣く。ちなみに総司はひねくれ者だ。そんな和歌はときおり,とても大人びた発言をするのだが,私がぐっときたシーンはこれ。「といつめたってひとの心は動かせないんだよ。変えられるのはその人の本当にカッコいい所なの」。読んだ瞬間,うん,そうだよ,ほんとにそのとおりだよ…と,この和歌に打ちのめされている少年のようになた。そして,もし自分が誰かを変えたい,変わってほしいと願うなら,自分がその人に対してカッコいい姿を見せ続けなければならないのだろう,と思った。
アプリ「マンガPark」と
「LINEマンガ」で全話無料で読めるよ
囲碁について,この漫画を読んで興味が湧いたので,ルールややり方を調べてみた。そういえば,私の好きな織田信長も囲碁が強かったとかなんとか……。早速囲碁アプリをインストールして,何度かコンピューターと対戦してみたが,いちばん下のランクにも勝てる気配が全くない。こりゃ先に詰碁をやるべきかな?という感じである。日曜日などによくEテレで放送されてる囲碁番組は,相変わらず見てもよく分からんのだが,昔はこんなん何が楽しいんだろう?と思っていたものが,今は高度過ぎてよく分からないな?に変化した。漫画をきっかけにして興味関心が広がることは私はよくあるのだが,囲碁の世界を私に開いてくれたことがまた嬉しい。

ちなみに,7巻の表紙の総司はスマホのロック画面に設定されてるよ!
以上2作品,とてもオススメなのでぜひ読んでください!

2018/05/26

漫画記 花田陵「デビルズライン」

「デビルズライン」がめっちゃ面白い。ここ数ヶ月,はまってます。もうこの漫画は,何度も読み返したい漫画ランキング(私基準)トップ3に入る。なぜなら,読み返すたびに感情が動くし,何かしら発見やら思うところが出てくるから…。読み応え大の漫画です。既刊は現在11巻,雑誌はモーニング・ツーで連載中。続きがめちゃくちゃ楽しみだー!

私は漫画が好きでよく読んでいるのだが,好きになる漫画に傾向があることが分かってきた。ざっくり分けると2つ。からっと笑える恋愛漫画と,人間関係,人の気持ち,感情についてどこまでも考えさせられる漫画である。「デビルズライン」は,完全に後者。ストーリーに深みがあると思う。世の中で常識とされていることに「そうなの?」って問いかけてくるような感覚。最初の1話はけっこうなスピード感と衝撃を伴って話が展開し,その後数話は,主人公とヒロインの恋愛話が進んでいくのかなーと思いつつ読んでいると,登場人物がどんどん増えてきて,しかもその登場人物たちはそれぞれの背景のもと,社会を変えようと行動を起こし,人との関係をそれぞれのやり方で築いていこうとする…。割り切れるような答えじみたものはなく,複雑に話が進んでいきます。それに登場人物たちの心情描写がとても丁寧(個人的にはココ重要!)。彼・彼女たちが,今何を考えていてどういう気持ちでいるのかがリアルに伝わってくる。それは,それぞれが発する言葉(登場人物同士での会話もそうだし,それぞれのモノローグもそう)からはもちろんだし,表情からも伝わってくる。作者の花田さん,切ない気持ちを抱える男性の表情を描く天才なんじゃなかろうか…。けっこう多い主要メンバーのキャラ設定,作り込まれていると思います。

好きな漫画には好きなキャラが必ず存在するよね!ということで,「デビルズライン」に関しては,私は,主人公の安斎さんがとても好きです。彼は少し不器用ですが,本質的にはまっすぐで優しい。それに外見もイケメンですし…。それに設定上,電柱から電柱へ跳べるのですが,それもかっこよくないですか!

興味を持った方!ぜひぜひ試し読みを。講談社の公式サイトで3話分読むことができるほか,http://morning.moae.jp/lineup/151 LINEマンガでも公開中。こちらは,1話を2つに分けて公開しているので,17話分無料で読めます。https://manga.line.me/product/periodic?id=0000auem
ちなみに現在,アニメも放送中。http://devilsline.jp/ アニメも面白いし,主要人物の声がキャラと合っていていいですね!個人的には,李さんの声(CV:木村良平さん)がとても好きだ…。でも,原作よりも話の進み方が早く,はしょっている場面も多いので,個人的には漫画を読んでいただきたい!

2018/05/11

愛おしきモブたち in ウォーリーをさがせ!

先日まで銀座松屋で開催されていた「ウォーリーをさがせ!展」(http://wally30.jp/)がめっちゃ楽しかった!ウォーリー誕生から30年間…代表的なウォーリー作品と,作者マーティン・ハンドフォードが若い頃に描いた作品,合わせて150点の作品が展示されていた。彼の作品を観るのはなぜこうも楽しく興奮するのか!


私は子どもの頃からウォーリー作品が大好きだ。今でもはっきり覚えている。小学生のとき,子どもの手には少し大きめのウォーリーの本を開いて,隅から隅まで必死で眺めて,ウォーリーとその仲間たち(ウェンダ,ウーフ,しろひげ,オドロー)を探していた。さらには彼らの落とし物(鍵,カメラ,骨,巻物,双眼鏡)や巻末のリストに難易度高なものまで探していた…。そして私のウォーリー探しは,本の中だけにとどまらなかった…!数年前,スマホアプリ「Wald & Friends」(https://www.playstoresales.com/app/waldo-and-friends/)をダウンロード,こちらでもウォーリー探しに勤しんだ。その結果,公開分は全てクリア。さらに,今年のエイプリルフールあたりに,Googleマップで展開されていたウォーリーとその仲間たち探しももちろん全部クリア。「どんだけウォーリー探してんだ,我!」と自分にツッコミを入れたくなってくる。

さて,なんで私がこんなにウォーリー作品が好きなのかといえば,もちろんウォーリーたちを探すのも楽しいのだけれど,モブたちを観るのがすごく楽しい,というのも理由の1つ。珍奇な格好してる人や、何かと何かを組み合わせたような不思議な生き物、言葉遊びをベースにしたモノなど、よくぞこんなに思いつくな!というくらい,作者の想像力が弾けてるイラストがたくさん載っているのだ。

そこで今回,少々前置きが長くなったが,そんな愛おしきモブたちを少し紹介しようと思う。だいぶ多いが,これでも絞っている(汗)写真は,展示会で購入した図録に掲載されていたイラストを撮ったものだ。ここで紹介するにあたり,図録に掲載されているイラストをじっくり眺めたが,ウォーリー作品は「観る度に新しい発見が必ずある!」といっても過言ではないほどに細かく凝って描かれている。なので,見逃してしまった愛おしきモブもいるかも…とういう少しの不安を抱えたまま紹介する。写真をクリックすると拡大されるので,ぜひご覧ください!それぞれの写真には、イラストのタイトルと渾身の(?)一言を添えました。お楽しみあれ!!

In Town Again!
牛さんとライオンさんの驚愕の表情!

In Town
この人のヴァイオリンはひどいものなのだろう。
草で首がしまっている子が…!
Once Upon a Saturday Morning
人が熊をつかまえ,熊が人をつかまえる…
Airport
時計隠しすぎ!

A Sporting Life
卓球(table tennis)にかけてる!
絵画組,算数組の傍らで虫?たちも参加…
The Riddle of the Pyramids
ミルクをゴクゴク。
ミイラさん,生きてるの!?
逆さのピラミッドもいいよねー!
The Future
乗り心地最高!な惑星。ポセイドンもご満悦。
ミルクが並んでいるのは,milky wayにかけているそうで。

The Railway Station
両手の荷物からいろいろ出ていますよ!
指一本でかばんを持ち上げる強者も!
Safari Park
シマウマがしましまの横断歩道を渡る。
角自慢の動物たちも!
The nasty Nasties
魔女さんたち,ドラキュラさんの交通整理に従ってます。
ほうきだけ飛んでいってしまった魔女さんも。
岩の男性,目にほうきが刺さってイテててて…
The nasty Nasties
ボウリング,楽しいよね!
On Tour with the Vikings
この舟,先に進まないよね… 
The Land of Wallies
靴が脱げて,しましまの靴下が!
この作品中の本物のウォーリーです。
A Great Moment of Romance
ドットのお洋服ウォーリー!
Being a Pirate
僕たち,前掛けかけてお食事を待ってます!
The Wonderful Portrait Puzzle
髪の毛がおヒゲに,おヒゲが髪の毛に…
Horseplay in Troy
盾は,ルールを示すのにも使えます。
Horseplay in Troy
笑い声の盾の隣で,苦悶の表情を見せながら落ちる人と盾。

Museum
スタイルいい人にお客さんをとられてしまって,なんか可哀相…
Museum
寄りかかったら崩れるほど脆い柱。
力こぶがでないよー!
あれ,本物が絵の中に?


The Deep-sea Divers
手型のさんごと,親タコに睨まれる狩猟者たち。

The Deep-sea Divers
塩をまく人魚にお魚アート!
ノコギリザメや,あしか(sea lion),なまず(catfish),ツノザメ(dogfish)…




The Monster Masterpiece
さ,お着替えお着替え…

The Monster Masterpiece
怪物だって恋します。皆に見守られながら…

The Monster Masterpiece
あの娘の夢を…人でも怪物に恋します。




2018/04/23

言葉のお話

「言葉」にはいつも困らされる。「この言葉の意味ってなんだ?」「この言葉ってこういうとき使えるんだっけ?」「どの言葉を使えば言いたいことを的確に伝えられるんだ?」「どの言葉を使ったら相手に理解してもらえるんだ?」「どういう文章にすればおさまりがいいんだ?」「こういうふうに言ったら/書いたら面白いと思ってもらえるかな?」…とまぁこんな具合に,挙げだすとキリがない。私はちょくちょく「言葉」に悩まされ,ときにイライラし,たまには喜びも得ている。

そのせいなのかもしれない。私が「言葉」に関心があるのは。以前のエントリで書いたこと「言葉」という便利で不都合な存在にも少々関連するが,コミュニケーションの場では,言葉自体の性質と,言葉に対する自分と相手の認識のズレによって,摩擦が生じやすい。だからこそ,使う言葉を丁寧に選び的確に使わなくてはならない。そうすれば,多少なりとも摩擦は減らせる。最近はそんなことを意識させられる毎日である。

そんな日々を送る矢先,ある講演を聞く機会に恵まれた。三省堂で国語辞典を作っている,飯間浩明氏による「ことばが変化するってどういうこと?~国語辞典をつくる視点から~」いう講演だ。非常に分かりやすい内容の講演だった。主な内容は,ことばの意味の変化とそれによって起こりがちなコミュニケーショントラブル。それに私たちはどう対処していくのがよいか,また,それに辞書はどういう解決策を提示するか,であった。飯間さん,本当に言葉を一つ一つ吟味しながら話していたように思う。ゆっくり考えながら,落ち着いたトーンで終始お話されていて,言葉を選んでいるというのがよく伝わってきた。

 飯間さんが挙げていたコミュニケーショントラブルの例で思わず食いついてしまったのが,「おもむろに」と「せいぜい」いう言葉にまつわるもの。どちらの言葉も,世代によって認識している意味が違うらしい。「おもむろに」は,年配者はその漢字「徐に」の通り「ゆっくり」と認識しており,若者は逆に「突然,急に」の意味で認識している。ちなみに私は例に漏れず後者の意味しか知らなかった。「せいぜい」については,年配者では主に「精一杯」と認識しており,若い人では「(どうせたいしたことはできないだろうけど)」というニュアンスを出したいときに使っている。こちらも私は後者の使い方しか知らなかった。そういうわけで,同じ言葉の意味を異なって認識している人同士が会話をすると意思疎通が図れなかったり,トラブルが生じたりするわけである。そういう状況に陥ると,人は相手の認識に対する批判に走りやすい。そこで飯間さんは,「新しい意味や使い方があるという可能性を考えましょう」というようなことを提案していた。また,そのような言葉の意味の変化に対して,辞典では,意味の正誤を書くのではなく,いつ頃から,またはどのような集団の中で使われる意味なのか,を明記するようにしている,ということを話されていた。

辞典づくりの話は,三浦しをんの「舟を編む」(http://yukiron.blogspot.jp/2018/02/blog-post.html)で少し学んでいたから,その大変さはなんとなく理解してたつもりでいたけど,今回飯間さんの話を聞いて,本当に本当に大変な作業だということがリアルに伝わってきた。いつ頃から,どのような集団の中で使われる意味なのか…それについての信憑性・妥当性のある答えを導くために,一体どんだけのことを調べなくてはならないか…。想像しただけで気が遠くなる。

ところで,なぜ言葉の意味は変わるのだろう。「おもむろに」はなぜ「突然,急に」の意味でも使われるようになったのか。「せいぜい」はなぜ,マイナスのニュアンスが伴うようになったのか。おざっぱに言ってしまえば,誰かが何かのきっかけで使い出して,それが別の人からも認知されるようになり,そう使うのかということでどんどん広まっていった,というのが定番のルートだと思われるが,その詳細なプロセスが気になる。講演後の質問の時間が短くて,飯間さんに聞くことはできなかった。でも,これこそ調べて答えが出てくるのか難しいところである。結局,言葉の意味の変化というのは,気づいたときにはもう変わっているのだ。つまり,紆余曲折を経たあと。しかも,言葉が変化する場は複雑な人間社会。複雑な人間社会での紆余曲折をどうやって辿るというのか…。これもまた気の遠くなる話である。

ところで今回の講演は,町田市民文学館ことばらんどで開催された。少し前,ここでは本の装丁展をやっていて,それも観てきたのだがとても興味深かった。明治〜戦前に出版された本‥夏目漱石とか、谷崎潤一郎とか、近代を代表する日本文学の面々の本に,竹久夢二とか、棟方志功とか、東郷青児とか、これまた日本美術を代表する面々による装丁が施されている。今の時代の装丁は、カバーのデザインが凝っていて本の表紙は質素,というのをよく見るが、当時カバーはなく、表紙に直接デザインされていた。

「本は、書かれた中身だけでなく、装丁も含んで1つの作品」といったことが,誰かの言葉として展示してあったけれど、本当にそんな感じであった。表紙からでもいろいろなことが伝わってくる。面白いなと思ったのは、齋藤昌三の「げて装本」シリーズ。白樺の樹皮や、新聞紙型、酒袋、竹の皮など、紙以外の素材で表紙を作っている。書物としては扱いにくそう‥でもコレクションには楽しいし、なんといってもアイディアがステキだ。

2018/03/08

谷川俊太郎展にて

谷川俊太郎展(http://www.operacity.jp/ag/exh205/)に行ってきた。谷川俊太郎の作品はもちろん,彼の生活スタイルや好きなモノ・コトも垣間見ることができる展示になっていて,だいぶ昔に教科書の中で知った「谷川俊太郎」を,肉をもつ,血の通った生きている人間として感じる,そんな時間だった。

この展示会は大きく2つに分けられる。1つは,入り口から入ってすぐの音と映像を用いたインスタレーションで谷川俊太郎の詩を紹介する展示。その空間を抜けたところにあるもう1つは,谷川俊太郎の作品と日常を様々なモノを使って紹介する展示だ。1つめのインスタレーションもけっこう衝撃的だったのだが,そこを抜けて次の展示会場に入った瞬間,これはすごい,やばい,こう来るのか…と度肝を抜かれた。展示会場内のキュレーションがものすごくステキだったのだ。
ステキなキュレーション
「自己紹介」
そう,彼の「自己紹介」という詩の一行一行にちなんだモノを展示しているのだ!展覧会のHPで読んだ詩がこんな形で展開されているとは…これだけでめちゃくちゃ興奮!!

詩を紡いでいます
「ばか」音で遊んでいるよう
展示品も心ゆさぶられるもの,グッとくるものがたくさんあった。例えば,そういうふうにして彼の詩は生まれるのだな…を見せる2つの展示。
1つは,谷川俊太郎が即興で詩を作っている様子が映し出されたワード。一文字一文字ゆっくりゆっくりタイピングされるていく。途中,タイプミスをけっこう犯し,一度入力した言葉を思い直して消去し,別の言葉を紡いでいく…。そのプロセスを観ていたら,妙に人間くさくて愛おしくなった。彼は何を思って言葉を変えたのかな。もう1つは,言葉の促音と韻で遊んでいる詩の制作過程の自筆メモ。アイウエオを縦横に一字ずつ書いた表を使って,使える言葉を探しているように見えた。そういうのの結晶が,インスタレーションで発表されていた詩や「ばか」につながっているんだろう。耳になじんで心地いい。

「朝のリレー」
バカボンのパパの詩
彼の作品もたくさん展示されていた。詩はもちろん,取扱説明書や国語の問題文,辞書の表記,英語からの翻訳作品,歌詞,子ども向け科学本の文章などなど。「春に」という詩を読んだとき,身震いした。「朝のリレー」という詩を読んだとき,心に何か滲みていくような気がした。バカボンのパパの詩を読んだとき,涙が出そうになった。
私は誰

「見る」というところに展示してあった作品は,何度も見返した作品の1つ。自分からみる自分と他者から見る自分が違うということを,これほど分かりやすく表現したものはこれまであっただろうかと思った。私は私。でも他者から見た私は,あくまでもその人の世界のどこかに布置される。その人の視点が反映される。「ジョハリの窓」よりも,もっと具体的に直感的に理解できるし,絵付きということもあって想像しやすい。

彼の作品を全部理解することは叶わなかった。日本語だから読めはする。でも,自分の中にストンと入ってこない谷川俊太郎の感性,思想,言葉があった。けれどそれでも,それぞれの作品に,訴えてくる何かはあって,何も感じないとかつまらないと感じるものは1つもなかった。

そういえば展覧会中,日本語の文字が放つニュアンスの多様さ,豊かさを感じていた。日本語ではひらがな,カタカナ,漢字を使う。ある言葉を詩の中で用いるとき,ひらがな,カタカナ,漢字のどの表記を使うか,これはけっこう重要じゃないか。例えば先に紹介した「ばか」の詩。この詩は全てひらがなで書かれているが,もし漢字が使える言葉を漢字にしたら,この詩のリズム感や遊び心みたいなものはひらがなのときに比べて伝わりにくいんじゃないだろうか。また,バカボンのパパの詩はカタカナと漢字のみで書かれている。もしカタカナの部分がひらがなに変わったら,バカボンのパパっぽくないよなぁ…。音で聴く分にはどんな表記でも気にならない。でも紙に文字として書くと,その文字のもつ雰囲気も読む人に伝わっていく。表記によって内容に色付けができるのだ。その分,表記の選定に気をつかうことにはなるが。緻密な計算,センスがいるだろう。

谷川俊太郎のひとこと

最後に…
先に紹介した「春に」は合唱曲の歌詞としても知られている。うろ覚えだった「春に」の合唱を家に帰ってから聴いてみた。うん,いい…(泣)また震えた。
それから,展示の軸になっていた詩の一行一行が書かれていた棚。裏側には谷川俊太郎の直筆ひとことが貼ってあった。その中で一番いいなと思ったのがこれ。

3/25まで新宿オペラシティで開催中です。ぜひ足を運んでみてくださーい!