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2019/02/19

コーチング関連本を読んでるよ Week 14

コーチング関連本,122冊読了しよう企画をやっております。

◇「コーチングの教科書-「最高の能力」を引き出す」本間正人
本書は,教育現場でコーチングをどのように使っていくか,を中心に書かれている。集団指導が中心の学校教育では,個人に合わせた教育をすることは困難。とはいえ,ひとつの方法が万人に通用するわけではない。そこでコーチングの手法を使い,集団指導では賄えない部分を補おうというわけだ。コーチングは,基本的には個に向けたものである。個人が持つ力をより引き出し,高めていくことを目的とする。
また本書には,複数の事例が載っている。うまく自分を表現できない生徒,すぐに人を頼る生徒,勉強しない生徒など,対応に少し工夫が求められる生徒像を設定し,長めの会話例を用いて実際どうコミュニケーションをとるかを提案する。

◇「コーチング入門 第2版 」本間正人
コーチングの世界ではおなじみの,本間正人さんによるビジネスマン向けのコーチング本。 部下の能力をいかに引き出すか,を念頭に置き構成されている。コーチングの基本スキルと3つのケーススタディを掲載。コーチングにはたくさんのスキルがあるが,今回紹介しているのは核となるスキルである,傾聴・質問・承認。また,コーチングを実際に進めていく上で,参考となるGROWモデルも掲載。GROWモデルは目標設定~達成までのプロセスをモデル化したものなので,初心者にとっても案内役として機能し,使いやすい。ケーススタディに関しては,相変わらず面白い。彼の本はこれまで何冊も読んでいるが,フィクションとして載っているケーススタディに登場するキャラクターはなんとなくおかしくて,なんとなく親近感がわいてしまう人たちばかりだ。そして,キャラクターの名前は,必ずと言っていいほど,芸能人の名前をもじっている。
今回,本間さんはあとがきに「学習学」について記載している。その名の通り,学習に関する学問で,彼が専門的に取り組んでいる分野でもある。本間さんは,教育と学習,コーチングを明確に分けている。教育は個人の外側から内側への働きかけ,学習は個人の内側から外側への働きかけ,コーチングは学習をサポートする役割,である。昨今,教育業界ではアクティブラーニングにシフトしようという動きがあり,また,成長スピードで考えても,知識を方法を教えてもらう受け身的な学習よりも,自分に必要なことを考え,主体的に学び,自らの学びをベースに実際行動するほうが成長スピードが早いのは明らかである。つまるところ,教える側が教わる側にどれだけ与えたとしても,成長量は教わる側に依るところのが多い。教わる側つまり生徒側を,いかに学習させ行動させるか,重視すべきはここだと思う。
文庫サイズで持ち運びもしやすく,200pくらいの本なので気軽に読める本である。

◇「子どもの心に届く言葉、届かない言葉―教師力・親力をアップする教育コーチング」
小山英樹
学校や家庭,塾等で,大人はどのように子どもたちと関わっていくべきか,どのように会話を進めていけばよいのか……と思っている方に適した本。全国の実際にあった会話を元にしたケーススタディ集であり,様々な生徒が登場。学校や塾の先生が,母親や父親がこんな風にコミュニケーションをとりました!というのが,超短編小説のようにたくさん載っている。コーチ自身が関わり方を変えて生徒との関係が改善したケースもいくつか紹介されており,変化前と変化後の対応の仕方の違いも感じることができるだろう。
ちなみに著者は,愛情・信頼・尊重をベースに,人は育とうとする生き物である,人は自分の中に答えを持っている,人はそれぞれ,という信念を持ち,クライアントの自立を教育コーチングの究極目的とする,としている。
印象に残ったところは,ペーシングについて書かれたところである。ケーススタディの中では,授業中に教室を徘徊したり漫画を読んだりし,誰の言うことも聞かない生徒が登場した。その生徒に対して,とある先生は,生徒を他の生徒や自分に合わさせるのではなく,自分がその生徒に合わせて行動をしてみた。つまり,生徒が漫画を読んだらその先生も漫画を読み始める,生徒が足を机に投げ出して座ったら先生も足を机に投げ出して座ってみる。そんなことをしたわけだ。すると何週間後かに,その生徒は,鞄から漫画ではなく教科書を取り出すようになり,机に足を投げ出さず着席するようになった。生徒をいくら変えようとしても,生徒は自己を否定されたと思って,反発を繰り返す。そして,「自分」と「相手」,合うと落ち着くし安心する。でも,ズレると落ち着かない。生徒は先生の姿を通して,自分が何をしているか客観的に見ることができたのだろう。

◇「7デイズ・コーチング」近藤直樹
セルフコーチングのための本。自分のやりたいことを実現していくプロセスを7つに分け,1日1つずつ進めていき,達成させましょう,という趣旨である。1日目は意図を明確にすること,2日目は意図を宣言すること,3日目は成果を測るための目標を決めること,4日目は行動計画を立てること,5日目はただ行動すること,6日目は成果を振り返ること,7日目は完了・次の創作である。である。1日ごとにワークシートがついており,このワークシートに沿って進めていくと良い。ワークシートは,自分がやりたいことを実現するために必要な行動を促すためのものである。行動しないと何も変化が起こらない,だから行動し,そこからフィードバックを得て,次の行動へと進む……それをやりやすくするためのワークシートである。
著者は,行動や結果を促進するために,現実で起こった出来事とそれに対する自分の反応を明確に区別することを推奨する。例えば自分が書いた文章について,上司から批判されたとする。その時,私には能力がないのかなとか,いつも自分は失敗ばかりしているとか,今度は一発 OK だと思ったのにとか,うるさい上司だとか思うのが反応の代表例である。その反応に捕らわれてしまうと,改善は起こらない。反応は反応としてその時生じた自分の感情を味わう。味わわないと,その感情に引っかかって行動の障害になり得る。そしてその一方で,感情から離れて,批判された文章を練り直す,という行動も行う。
また,何か新しいことを始めたり挑戦したりするとき,自分の中で抵抗が生じる。その抵抗に捕らわれてしまうとやはり行動はなされない。抵抗を脇に置いて,行動することにフォーカスする必要がある。
つまり,行動するために,自分の思い込みや感情から離れよ!ということだ。

◇「会話から始めるコーチング―最強のチームをつくるコミュニケーション力」伊藤守
上司・部下の関係においてどのように会話を進めたらいいかについて,コーチングの理論に基づいて書かれた本。上司が部下にしてしまいがちな質問や,上司の部下に対する悩み,なぜ部下がそのような行動をとるのか,について触れ,コーチングを取り入れた会話や,相手のタイプを考慮した接し方を通じて,お互いにとって良い関係を構築することを目指す。
見開きで1項目を扱い,左側のページでは,その項目に関するイラストを提示。平易で読みやすい。

◇「ラグビー日本代表ヘッドコーチ エディー・ジョーンズとの対話」生島淳
著者と,ラグビーのコーチであるエディー・ジョーンズ氏の対話をまとめた本。ジョーンズ氏がどのような思想をベースにコーチングを行っているかや,日本の選手と他国の選手の違い,スポーツにおける日本と世界のメディアの報道の仕方,各国のラグビーチームの戦略などがまとまっている。
ジョーンズ氏はコーチングをアートだという。「選手一人ひとりにとって何が必要なのか見極めるのがコーチングにおけるアート」,「選手個々の能力を引き出すためには,どのようなコミュニケーションを取るべきなのか,それこそ数限りないケースが考えられるわけで,その見極めにこそアートが生まれる余地がある」としている。また,ハードワークの中にも楽しむ要素や柔軟性があることを求め,最終的な到達点をイメージして,日々,判断・決断していく。日本社会や教育にも触れ,選手のマインドセットを変え,勝つチームを作っていく。
巻末には,読書家であるジョーンズ氏の推薦図書を15冊掲載。

◇「「聞き方」ひとつで人は育ち・人は動く―聞いて、理解して、やる気を引きだし、大きく育てる「実践コーチング」の技術! 」石川和夫・伊藤敦子
「聞くこと」に焦点を当て,聞くとはどういうことか,どう聞くか,聞くことの効用などについてまとめた本。人は相手に受け入れられることを求め,安心すると行動を起こせる。話を聞くということは,話を聞かれる側を安心させる行為そのものだ。聞くだけでスムーズにことがすすむこともある。聞くことは,相手との信頼関係を築く第1歩とも言えよう。
相手を励ますときには,ただ「頑張れ」と言うのではなく,過去の成功体験や強みに焦点を当てて,相手の視点を変えるよう促す……。それをするには,相手のことをよく見て,知っておく必要があるということだが,取り入れてみよう。そして,未来に向かっての問いかけもしてみよう。

◇「弱さを強さに変えるセルフコーチング 」辻秀一
スポーツ心理学とスポーツ医学をベースにコーチングを行う著者による,アドバイス本。自身が主催するスポーツ塾やチームに所属する子供たちから寄せられる質問に答える形でページが進んでいく。そして,子どもたちからの質問は,抽出化すると社会人がこぼす悩みや愚痴の内容と共通するものも多く,それらへの回答としても提示している。回答は,日本や世界で活躍するスポーツ選手の態度や言葉を取り入れつつまとめている。
著者は,スポーツにおいて勝利することは重要だが,それ以上に,当人たちが力を出し切ることを重視する。その思想の元,自身のスポーツ塾を主催している。子どもたちに一生懸命,楽しく堂々とスポーツさせる,大人はその価値観を受け入れ,子どもにそれを促していく。その中で,「勝ち」につながる思考パターンや行動を身につけさせようとしている。

◇「中学の部活から学ぶ わが子をグングン伸ばす方法 」大利実
中学校で部活を指導する8人の教師たちの指導法をまとめた本。生徒の技術向上のための指導法ではなく,いかに生徒と接するか,生徒に対してどのような思いを抱いているか,が全面に溢れている内容である。
どの教師も生徒の未来を想い指導しているのが印象的だった。社会人としてたくましく生きることができるように,自立して生きることができるように,あえて理不尽で厳しい指導もする。また,部員同士が互いに高め合っていけるような関係をつくれるよう,場を設計する。そして,いつも本気で生徒と向き合う。そんな姿勢が描かれていた。

83/122 読了