2017/03/13

顔は口ほどに名を語る?

APA(American psychological association)のリリースで面白いリサーチを見つけた。人は知らない人の顔を見ただけで,その人の名前を意外と正確に当てることができるらしい。
("Do you look like your name? People can match names to faces of strangers with surprising accuracy"      http://www.apa.org/news/press/releases/2017/02/look-like-name.aspx)

リリースによれば,研究者たちは,イスラエルとフランスで何百人もの被験者に対してある実験を行った。被験者に,人の顔写真と複数の名前候補(4~5つ)を提示し,その写真の人物の名前がどれだと思うか答えてもらうというものである。被験者たちは,偶然(20~25%)よりも高い確率(25~40%)で正しい名前を選ぶことができたらしい(統計的に有意な結果であり,被験者の属性は統計的に統制されている)。
この結果は何に起因するのだろうか?研究者たちは,それぞれの文化において名前に対するステレオタイプ的な観念があるのではないか,と考えている。この実験は先に述べたようにイスラエルとフランスで行われているのだが,イスラエルの被験者はイスラエル人の写真と名前に対して,フランスの被験者はフランス人の写真と名前に対して偶然よりも高い確率で正しい名前を当てているからである。
また研究者たちは,顔とそれに対応する名前をコンピューターに覚えさせ,人間と同様の実験を実施した。すると,94000の顔写真に対して,偶然(50%)よりも高い確率(54~64%)で名前当てに成功したらしい(統計的に有意)。

このリリースを読んで思い出したのが,心理学や言語学で取り上げられることの多い「ブーバとキキ」の話である(https://goo.gl/pAB9wG)。詳細はリンク先のwikiを見てもらえればと思うが,要は,2種類の図形と2種類の名前が提示された被験者の大多数において,図形と名前の組み合わせが一致するという話である。

この2つの知見から,どうやら人は,視覚情報に対してなんらかの音のイメージを持っているらしい,ということが言えそうだ。写真に対する名前当ても,名前は読む行為によって音の情報としても処理されるはずなので,ブーバとキキと同様,視覚と音で共感覚的なことが起こっていると思われる。ただ,写真に対する名前当ての場合には,音情報だけでなく,被験者の経験によって喚起される,その名前自体に関する知識や意味などの影響もあることだろう。

ところで私の名前は「ゆき」だが,多くの人は私の写真を見て,「ゆき」を含むいくつかの名前候補から「ゆき」を選ぶことができるんだろうか。自分で判断しようにも,いろんなバイアスが入るので私の顔が「ゆき」っぽいのかいまいち分からない。少なくとも,私がこれまでに会った私以外の「ゆき」さん(1人)とは顔も雰囲気も似つかなかったと記憶しているが…

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