◇「見抜く力―夢を叶えるコーチング」平井伯昌
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2章途中あたりからグイグイ引き込まれる内容で、上がり気分で読み進めていた!水泳の北島康介選手や中村礼子選手をコーチしてきた著者による、自身の指導経験をまとめた本だ。タイトルは見抜く力とあるが、見抜く力に関して直接的に書かれていることはそう多くない。選手のことをより多く、正確に知っていないと適切な指導ができないから、そういう意味では見抜く力が彼の指導の根幹にある、だからこのタイトルなのか?という感じである。
何に引き込まれて上がり気分で読んでいたかというと、北島選手や中村選手が結果を残していくプロセスが丁寧に書かれていたことである。選手たちの性格、能力、身体、生かすべきところ、改善すべきところをそれこそ見抜き、カスタマイズされたトレーニングをどう使って結果を出すまで導くか、を垣間見ることが出来た。そして何より、北島選手のようにオリンピックでメダルをとったほどの選手でも、もっと上を目指すならば目指すことは可能である、つまり、伸ばすべきポイントや改善すべきところは尽きることなく見つかり、トレーニングしていけるというのを、読んでいて現実性を伴って感じたことだ。それが見つからないというのは、詰まるところ向上心の欠如と怠慢いうことなのだろう。
加えて、失敗時だけでなく成功したときの振り返りの必要性やその成功パターンに固執すべきではないこと、目標がプレッシャーになるのは、目標と気持ちにギャップがあるとき、といったことも心に残った内容である。
◇「図解 コーチングの「基本」が身につく本」 本間正人
ケーススタディでは,やる気満々のメンバーへのコーチング,反抗的なメンバーへのコーチング,年上で扱いにくいメンバーへのコーチング等,職場にいがちな部下向けのコーチング手法が記載されている。ケースごとに会話例を紹介し,goodポイントとbadポイントもまとめているのでとてもわかりやすい。
スキルUPの提案では,コーチングに関して自分が誰に何をどれだけ(時間)やったかを日々記録していく方法や,実際にプロのコーチングを受けてみる,というのがあった。記録をつけていくメリットは,私自身も日々感じることだ。私の場合はコーチングではなく,この企画やマインドフルネスに関して進捗を記録しているが,記録すること=可視化で成長してきた点や今後気をつける点が浮き彫りになるし,自分が「やっている,続けている」と自覚できるから自信にも多少貢献する。プロのコーチングを受けることも非常に勉強になるだろうなと思う。クライアント側の気持ちを体験することは,コーチとしてクライアントに関わっていく際に使える情報を得ることになるだろうし,よいコーチの真似をすることで体得できることも多いだろうから。
◇「EQコーチングのスキル」 上村光彌,松下信武
で,信頼感を構築するにはどうすればいいか?だが,端的にまとめれば,形から入るということではないか。著者は,擬似的信頼を信頼にしていく,という話をしている。相手に好意をもつ,明るくいきいきした表情,プロであることを示すこと,約束を守ること,ポジティブな感情を持ち続けること,そういうことの積み重ねで相手は好意を持ち始め,信頼を築いていくと。確かにそのとおりだろう。が,このときコーチ自身もクライアントに対して信頼をもつようになっていなければ(少なくとも,コーチがクライアンを信頼していないと思わせないようにしなければ)ならないのは当然のことである。ちなみに,相手を信じるためにはまず,自分の可能性を信じるようにと述べている。また,信頼関係を築けていない関係でコーチングをするときには,まずこれまでの対応について相手に誠実に謝罪することを求めている。
◇「図解 コーチングの「基本」が身につく本」 本間正人
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部下をもつ,チームリーダーやマネージャー向けに書かれた本。コーチングの基本方針やテクニック,GROWモデルほか,10個のケーススタディやコーチングスキルUPのための4つの提案が載っているのが特徴。ケーススタディでは,やる気満々のメンバーへのコーチング,反抗的なメンバーへのコーチング,年上で扱いにくいメンバーへのコーチング等,職場にいがちな部下向けのコーチング手法が記載されている。ケースごとに会話例を紹介し,goodポイントとbadポイントもまとめているのでとてもわかりやすい。
スキルUPの提案では,コーチングに関して自分が誰に何をどれだけ(時間)やったかを日々記録していく方法や,実際にプロのコーチングを受けてみる,というのがあった。記録をつけていくメリットは,私自身も日々感じることだ。私の場合はコーチングではなく,この企画やマインドフルネスに関して進捗を記録しているが,記録すること=可視化で成長してきた点や今後気をつける点が浮き彫りになるし,自分が「やっている,続けている」と自覚できるから自信にも多少貢献する。プロのコーチングを受けることも非常に勉強になるだろうなと思う。クライアント側の気持ちを体験することは,コーチとしてクライアントに関わっていく際に使える情報を得ることになるだろうし,よいコーチの真似をすることで体得できることも多いだろうから。
◇「EQコーチングのスキル」 上村光彌,松下信武
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コーチングというと,傾聴や質問のテクニックに走りがち…そんな状況に喝を入れる本である。テクニックがあっても土台がしっかりしてなきゃ意味ないでしょ,と。土台とは,コーチングする側とされる側間に信頼があることである。全くそのとおりである。そもそも信用してない相手に,なぜ心を開いて自分のことを話さなくてはいけないのか。そういう相手には話す理由も話すこともない。そういうわけで,この本では信頼感を構築することを含めたコーチング手法を論じている。で,信頼感を構築するにはどうすればいいか?だが,端的にまとめれば,形から入るということではないか。著者は,擬似的信頼を信頼にしていく,という話をしている。相手に好意をもつ,明るくいきいきした表情,プロであることを示すこと,約束を守ること,ポジティブな感情を持ち続けること,そういうことの積み重ねで相手は好意を持ち始め,信頼を築いていくと。確かにそのとおりだろう。が,このときコーチ自身もクライアントに対して信頼をもつようになっていなければ(少なくとも,コーチがクライアンを信頼していないと思わせないようにしなければ)ならないのは当然のことである。ちなみに,相手を信じるためにはまず,自分の可能性を信じるようにと述べている。また,信頼関係を築けていない関係でコーチングをするときには,まずこれまでの対応について相手に誠実に謝罪することを求めている。
信頼に関してのほか,コーチの自身の感情との関わり方についても書いてあり、感情がコーチングにとって避けられない対象であることを感じた。
ところで,「話を聞かないことは最大の侮辱」という見出しには,頭をガツンと打たれました。
◇「コーチングのプロが教える リーダーの対話力 ベストアンサー」島村剛,渡邊有貴
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著者たちの基本思想は,「答えは自分の中にある」ということ。これはコーチングの基本思想でもある。それをいかに引き出し,行動に結びつけていくか,ということを述べていく。そのプロセスはそんなに複雑ではない。まとめると,現状把握と考え方の転換がカギである。現状把握とは,自分が今どんな状態であるかを把握すること。感情面,身体面,自分の思考がどこに向かっているかなどだ。そして,ネガティブな感情や思考がポジティブなそれらよりも優勢だった場合,ポジティブな感情を誘発するような視点どりをすることで,ポジティブ優勢にしていくとする。(例えば,やりたくない仕事を前にしたら,その仕事の魅力は?その仕事が終わったらどんな気分になっている?その仕事に何を望んでいる?その仕事の可能性は?などの質問をしたり,今これをやったら将来役に立つかもしれない,自分が成長できるかもしれないといった考えにいくようにする)カウンセリングでいうところの,認知療法のやり方に近いと思われるが…。だが,これをデフォルトにするにはけっこうな努力が必要じゃなかろうか。やれって言ってすぐできればコーチングが必要な事態にはなっていないだろうし,リーダーがこういった質問をして習慣化していくにも,忍耐が必要。この辺りのことを考えていないリーダーや,部下の発言を受け止められないリーダーが部下と対話したところで違和感たっぷりな状況になるような…
というわけで,読了後の感想はうーん…という感じだった。
◇「お父さんのための子どもの心のコーチング」菅原裕子
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タイトル通り,お父さん向け子育て論。この著者の本は先週から読んでいるが,主張に大きな違いはない。だが,お父さん向けということで,子育てにおける父性の必要性を論じている。著者は父性を,「甘えを断ち切り,世間において一人の人間として,自立して暮らすために必要なことを伝える存在」「社会の規範や倫理的なもの,つまり人として何がよくて何が悪いかを教えるもの」としている。甘えを許して依存させ,子どもとの距離が近く,近視眼的な子育てをしがちな母性ではまかなえない部分を,父性が担うことで子どもの自立を促すのである。フロイトの去勢の話を思い出した。
この本には,実際に起った,子どもに対するお父さんとお母さんの対応の違いが書かれている。レストランに行くと,お母さんはいつも5歳の子どもに,おしぼりの袋を開けて渡してあげているのだが,あるとき,子どもが自分で袋をやぶいていたのを見たらしい。そこでお母さん,あらできるのね!と子どもに話しかけたら,お父さんと行くとお父さんはいつも私にやらせてくれる。お父さんは私ができること知ってるの!と答えたそう。ついつい子どもを助けたくなる母性と,子どもの課題は子どもに任せ責任を教える父性の例が興味深い。また,親同士の集まりの話も興味深い。母親同士が集まると自分の子のことに焦点をあてて話をしていくそうだが,父親同士が集まると,よりよい子育てのために地域にどう働きかけようか,といった話題になるそう。
父性と母性,子育てにはどっちも必要なのだろう。
※著者は、父性=父親,母性=母親としていないことを一応書いておく。
◇「おかあさまのためのコーチング」あべまさい
◇「おかあさまのためのコーチング」あべまさい
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プロコーチ兼母親の著者による,実体験話満載のコーチング本。母親向けと記載があるが,著者自身がクライアントして受けたコーチングの話や,著者が行った大人向けのコーチング経験の話も載っていて,母親以外が読んでも学びや発見があるように思う。全体を通して,誠実さと謙虚さがあふれていて,語りかけてくるような文章だと思った。読後は私の中に,優しい気持ちが漂った。
コーチが内側から強くなるためには……というテーマで書かれていた章がいちばん印象に残った。物事をすぐ二分化して判断してしまうことを自覚しつつそこから自由になること、全ての感情を味わうと決めることなどが書かれていた。そう、決めればいいのだ。そして決めたことをやればいいのだ。
◇「教師のための子どもが動く! コーチング50」神谷和宏
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小学校教諭,心理カウンセラー経験のある著者による,子ども(人間全般)の心理と,その心理特性を踏まえた上で,どう子どもを望ましい方向に導いていくか,を説いた本。タイトル通り,50個の方法が見開きで載っている。
子ども向けコーチングの本や子育て論の本を読んでいると,つくづく子供の頃にどんな考え方・習慣を身につけるかが大事だよなと思えてくる。もちろん,大人になってからでも身に着けられるものは多いが,子どもの頃に身につけられるものの多くは,その人自身の土台となるようなものが多いから,土台が違えばそのあとに得るものにも違いが出てくるわけで…。
「子どもはどんなときに意地悪になるのでしょう?」ー「その子のウィークポイントやコンプレックスを誰かが増強させ,ちょっとした痛みが走ったときです」。「ダメもとはあきらめを表しているのではなく,リラックスをしたらいいと訴えているのです」。というのを心に留めておこうと思った。
にしても,私も利用している作業興奮という現象,クレペリンが提唱していたとは!初めて知りました。
◇「バスケットボール選手のメンタルトレーニング」高妻容一,森億,小池一元,宍戸渉,梅嵜英毅
バスケットボール選手でなくても活かせる内容は多い。例えば,イメージトレーニング。イメージトレーニングをする際は,成功イメージを,五感をフル活用し,実際に身体を動かし,スローモーション,50%スピード,フルスピードで具体的にイメージする。集中力は,鼻から息を吸って口から吐く呼吸で。ポジティブな言葉によるセルフトークとコミュニケーションなど。これらを習慣化していくことで,メンタルはさまざまな状況下において安定していくこととなる。
◇「できる上司の部下指導はここが違う―これならわかるコーチング実例」古川英夫
個人的なびっくりポイントは,部下の気質を把握するとの項で,クレッチマーの3分類が出てきたことである。
◇「なぜ、だれも私の言うことを聞かないのか?」鈴木義幸,coach A
タイムリーにささったのは,「被害者」意識を捨てて,「創造者」になろうというtips。私自身,○○のせい,○○が悪いといった被害者意識>創造者で生きている自覚があるが,最近気づいたのは,被害者意識は一見楽な反応だがものすごくエネルギーを削られる,ということだ。被害者意識をずっと感じているととりあえず疲れるうえ,自分の無力感を感じざるを得なくなり,2重のダメージをくらう。負の連鎖が続くことは明らかだ。どうせ疲れるなら,「創造者」のがいい。創造の結果がどうであれ,創造することそれ自体で無力感から解放されるだろうから。
◇「コーチングの基本」鈴木義幸,coach A
29/122 読了
子ども向けコーチングの本や子育て論の本を読んでいると,つくづく子供の頃にどんな考え方・習慣を身につけるかが大事だよなと思えてくる。もちろん,大人になってからでも身に着けられるものは多いが,子どもの頃に身につけられるものの多くは,その人自身の土台となるようなものが多いから,土台が違えばそのあとに得るものにも違いが出てくるわけで…。
「子どもはどんなときに意地悪になるのでしょう?」ー「その子のウィークポイントやコンプレックスを誰かが増強させ,ちょっとした痛みが走ったときです」。「ダメもとはあきらめを表しているのではなく,リラックスをしたらいいと訴えているのです」。というのを心に留めておこうと思った。
にしても,私も利用している作業興奮という現象,クレペリンが提唱していたとは!初めて知りました。
◇「バスケットボール選手のメンタルトレーニング」高妻容一,森億,小池一元,宍戸渉,梅嵜英毅
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心技体,試合で勝つにはすべて重要。しかもアンケートをとってみると,心が最も重要と答える人が多いようだ。にもかかわらず,心に費やす練習はいちばん少ないのが現状。そういうわけで,バスケットボール選手がどうやって心を鍛えていくかのレクチャー本。主なトレーニングは,目標設定,セルフコントロールトレーニング,イメージトレーニング,集中トレーニング,プラス思考トレーニング。練習に,日常生活に組み込んで24時間メンタル鍛えていきましょう,という内容だ。バスケットボール選手でなくても活かせる内容は多い。例えば,イメージトレーニング。イメージトレーニングをする際は,成功イメージを,五感をフル活用し,実際に身体を動かし,スローモーション,50%スピード,フルスピードで具体的にイメージする。集中力は,鼻から息を吸って口から吐く呼吸で。ポジティブな言葉によるセルフトークとコミュニケーションなど。これらを習慣化していくことで,メンタルはさまざまな状況下において安定していくこととなる。
◇「できる上司の部下指導はここが違う―これならわかるコーチング実例」古川英夫
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コーチングの基本姿勢をベースにした,上司像を描いた本。こういう部下とはこんなコミュニケーションを,といったものから,上司はこういうことを知っておくべき,こういうことをするのがよい,といったことまで述べられている。銀行や経営コンサルティングの仕事を長年してきた著者による主張は明快,提案も明快。読みやすい。個人的なびっくりポイントは,部下の気質を把握するとの項で,クレッチマーの3分類が出てきたことである。
◇「なぜ、だれも私の言うことを聞かないのか?」鈴木義幸,coach A
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インパクトある本のタイトルだが,中身はとても穏やかに温かい雰囲気で進んでいく。組織の現場で実際に行われた会話を元に,ちょっとした解説をつけて,コミュニケーションのtipsを提示していく内容だ。タイムリーにささったのは,「被害者」意識を捨てて,「創造者」になろうというtips。私自身,○○のせい,○○が悪いといった被害者意識>創造者で生きている自覚があるが,最近気づいたのは,被害者意識は一見楽な反応だがものすごくエネルギーを削られる,ということだ。被害者意識をずっと感じているととりあえず疲れるうえ,自分の無力感を感じざるを得なくなり,2重のダメージをくらう。負の連鎖が続くことは明らかだ。どうせ疲れるなら,「創造者」のがいい。創造の結果がどうであれ,創造することそれ自体で無力感から解放されるだろうから。
◇「コーチングの基本」鈴木義幸,coach A
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その名のとおり,コーチングの教科書のようなもの。コーチングとは何かに始まり,基本的なスキル,コーチングプロセス,実際のコーチング例など盛りだくさんで,1冊読むだけでコーチングがけっこうイメージできる内容になっている。
今回初めて知った内容としては,コーチングの視点として,possession, behavior, presenceに注目するということ。中でもpresence(価値観,信念体系)は非常に重要と思う。おそらく,普段取り立てて意識することもないだろう。自分にすでに内在化している,つまり当然のものとして存在しているのだから。でも,何か問題が起こったときには表出するし,これらが自己成長を妨げていることは大いにありえる。
コーチングのプロセスには,目標の明確化と現状の明確化があり,それらがこれまで読んだ本よりも詳しく書かれていたように思う。著者は目標を3つに分けており,(憧れの目標,しなければならない目標,真に達成したい目標)コーチングの領域は,真に達成したい目標を達成するためのサポートである。とはいえ,これを把握できている人は多くなく,探し続けること,過去にある手がかりから導くことを勧めている。現状の明確化に関しては,自分を客観視することが基本。そのために自分自身を映像や音声に収めたり,周囲の人物,およびコーチからの評価を受けたり,もちろん自分で自分を振り返ることも必要。クライアントは,目標と現状を埋めていく行動をしていくわけである。
今回初めて知った内容としては,コーチングの視点として,possession, behavior, presenceに注目するということ。中でもpresence(価値観,信念体系)は非常に重要と思う。おそらく,普段取り立てて意識することもないだろう。自分にすでに内在化している,つまり当然のものとして存在しているのだから。でも,何か問題が起こったときには表出するし,これらが自己成長を妨げていることは大いにありえる。
コーチングのプロセスには,目標の明確化と現状の明確化があり,それらがこれまで読んだ本よりも詳しく書かれていたように思う。著者は目標を3つに分けており,(憧れの目標,しなければならない目標,真に達成したい目標)コーチングの領域は,真に達成したい目標を達成するためのサポートである。とはいえ,これを把握できている人は多くなく,探し続けること,過去にある手がかりから導くことを勧めている。現状の明確化に関しては,自分を客観視することが基本。そのために自分自身を映像や音声に収めたり,周囲の人物,およびコーチからの評価を受けたり,もちろん自分で自分を振り返ることも必要。クライアントは,目標と現状を埋めていく行動をしていくわけである。
29/122 読了