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2018/11/13

コーチング関連本を読んでるよ Week 1

コーチング関連本,122冊読了しよう企画をやっております。

◇「子どもの心のコーチング―一人で考え、一人でできる子の育て方」菅原裕子
30年超にわたって人材育成,人材教育分野で働いている女性が,自分の仕事経験や子育て経験を生かし提案する,幼児期~児童期あたりの子どもに対する子育て論。自立した子にするために,子どもをどう育て関わっていくのがいいかが書かれている。内容はシンプルでわかりやすく,具体的なエピソードもたくさん盛り込まれており,すっと理解できた。
この本の中で彼女が示す子どもに教えたい3つの力は,愛すること・責任・人の役に立つ喜び。それぞれの概要を述べると,親が子を愛することで子に自己肯定感が生まれ,他人も愛するようになる。また,過剰なヘルプは子に与えないが,子が甘えてきたら受け入れる。自分が巻き起こしたことによって生じた結果を子に認識させ,受け入れるように誘導する。子がしてくれたことに対して,嬉しさや感謝を正直に伝える。といったこと。このほかにもしつけの仕方や子どもとのコミュニケーションの仕方についても書かれている。
独断でまとめると,彼女の子育て論の基本姿勢は,子どもを1人の独立した人間とみなし,誠実に接していくことではなかろうか。
この手の本を読むと,未だに自分の親との関わりが自然に思い起こされてしまい,ふつふつ吹き出てくる感情やら言葉があるよ。あぁ私の未完了案件よ…

◇「コーチング・バイブル―人がよりよく生きるための新しいコミュニケーション手法」ローラ・ウィットワース,ヘンリー・キムジーハウス,フィル・サンダール
コーチング・バイブルというだけあって,コーチングの教科書のような内容。コーチングの基礎,コーチングに使用されるスキル(傾聴,直感,好奇心,行動と学習,自己管理),どこに焦点を当てながらコーチングするか(フルフィルメント,バランス,プロセス),クライアントが陥りがちな心理状態,実際のセッションの進め方と使用できるツールなどが盛り込まれている。読みやすい文章で,理解もしやすい。
この本では,”グレムリン”という言葉がたくさん出てくる。グレムリンとは,変化しよう,上昇しようという気持ちをくじく,心の声のようなもの。こいつは経験や他人を持ち出して,あたかも自分が正しいかのように理屈をこねて当人の心を砕いていく。しかも奴は賢い。コーチは,クライアントのグレムリンを受け流し,振り回されないようにし,クライアントがグレムリンに囚われないように導きサポートしていくことが求められる。と同時に,コーチ自身も自分のグレムリンと戦い,凌駕し続けていく必要がある。
またこの本を読んで感じたのは,自分を知ることから始めて変化を起こしていくということ。表層的な自分ではなく,もっと深く自分を知るということである。そのため,コーチング場面では,コーチはクライアント自身が自分を知ることができるよう,根気強く導いていく(自分を知るということはそう簡単にできるものではないため。)。コーチ自身も,もちろん自分を知らなくてはいけない。

◇「吉井理人 コーチング論: 教えないから若手が育つ」吉井理人
コーチングといえばスポーツ!と遅ればせながら最近気づいた。スポーツ関連のコーチング本を読むのは初めてである。
日ハム投手コーチによる,自身の経験と大学院での学び,研究をふまえて書かれた内容になっている。彼の基本姿勢は,”自分で問題を解決できる力”を選手に身につけてもらうこと。そのためにコミュニケーションを工夫しながら選手たちと接していく。彼は選手をとてもよく観察しているし,その観察結果をもとに,杓子定規をせず,考えながら選手と関わっているのが伝わってくる。
この本で面白かったのは,野球選手たちと吉井コーチとの具体的なやりとりが知れたこと。野球選手といえば,私にとってはメディアに映る姿しか知らない遠い遠い存在である。そしてメディアに映すのは彼らのかっこいい姿。でも,メディア外の彼らも,悩んだり,混乱したり,困ったりしながら日々を過ごしている。その姿が本で垣間見えて,心がちょっと温かくなったし,安心もした。

◇「アスリート・コーチングBOOK―日本一の指導者に聞いたコーチング術」高畑好秀(監修)
総勢14人のスポーツコーチが,自身の育てている選手との関わり方を語る1冊。現場で実際に起こったエピソードも盛り込んであって,興味を引かれる内容だった。
今回コーチングを学ぶためにコーチング本をいろいろ読んでいるわけだが,自分自身へのセルフコーチングにも活かせるtipsがいろいろ書かれていて,そっちに意識が持っていかれた。例えば,シンクロの井村コーチの主張 ”理屈ばかりが先に立つ選手は,ついて来られなくなります。言葉から入って,身体に動きを教えて,それから言葉と音楽と合わせて…という段階を経ないと実行できない選手は伸びません。反対に,指示を聞きながらイメージすることを覚えて,頭を高速回転させながら練習できる選手は,必ず伸びていきます。” ”いい演技ができているとおもったときの筋肉の感じや感覚がわかったからといって,いつも調子のいいときの自分に当てはめようとするのは,非常に苦しいものだからです。いつもの真っ直ぐじゃ,こんな風になっているけれど,今日は違うから微調整することで…修正する手立てを覚えるようにアドバイスします。” 例えば,水泳鈴木コーチの主張 ”結果以前にレースをきちんと組み立て,どうやったら自分の力が最高に発揮できるかということを,選手自身に考えさせなければ駄目だということを痛感しました。” サッカー岡田監督の主張 ”一番良いところはどこなのか,自分の売りはどこなのかをわきまえろ。” などなど。

◇「10代の子どもの心のコーチング―思春期の子をもつ親がすべきこと」菅原裕子
先日upした「子どもの心のコーチング」の著者による,思春期の子に対しての子育て論。「子どもの心のコーチング」に書かれていたことと基本方針は変わらない。愛すること,責任を教えること,人の役に立つ喜びを体験させること,の3本柱が中心だ。だが,それらに加えて思春期の子には,これまで以上に”真摯に向き合うこと”を主張している。なぜなら子どもは,親の適当さ,一貫性のなさ,気持ちの入っていない言葉などを簡単に見抜く。ましてや思春期は,心身ともに子どもにとっても振れ幅が大きくなる時期。だからそういう親の態度は子どもの自立に影響を与えかねない。また著者は,親が子に気持ちを伝えることも強く勧めている。好き,嬉しい,助かった,ありがとう…それらの言葉と想いは子どもたちの力になっていく。大人だってそうだもんね。

◇「ポケット図解 コーチングのツボがわかる本[第2版]」土岐優美
タイトルどおり,コーチングの基本とされていることがまとまっている。見開き1ページで1つのお題。イラストも多く,薄いので比較的短時間で読み終えられる。
この本にはいくつかの例題が載っているのだけど,あまりにもうまくことが運びすぎている会話例というか,不自然というか,現実味が低いように感じるというか,そんな感じで読んでいるときに少ししらけてしまった。
一方,興味深かったお題は「見せかけの質問」。「何度言ったらわかるの?」「やる気あるの?」等,問題を起こした人を非難するような質問の大半は,自分の立場や役割を守るため,自分の満足や納得のためのものとのこと。相手からの答えを望んで,相手を知りたくて,相手のためになると思ってする質問ではないからだ。

◇「コーチングで子どもが伸びる!」デーヴィッド・へメリー
元オリンピックメダリストによる,コーチングを取り入れた子育て論。叱り方,責任感と自立心の育て方,やる気を出させるための接し方などが書いてある。質問例も豊富に記載。
子どもの気持ちや意見を具体的に知るには,質問の仕方を変える必要があるし,また,子どもの一言や行動ですべて分かった気になってはいけない,ということを心に留めたい。相手を知るために質問を掘り下げていくことは,質問者次第でいかようにもできそうだ。筆者は例えば,こどもが泣き言を言ったときに,「1-10のレベルでどのくらい困っているの?」と問いかけることを勧めている。質問することで,子どもは(困っている状態を)親に認めてもらえていると感じるし,自分自身を客観的にみれるようになるとのこと。

◇「サムライ審判「白熱教室」―世界の舞台で見たハイクラスコミュニケーション」平林岳
日本とアメリカ双方で野球の審判経験がある著者による,日米の野球に対する考え方の違いがメインの内容。コーチングの話もちょっと出てくるが,コーチングの基本精神と情熱を伴ったコミュニケーションの重要性を語っている。また,松井選手とイチロー選手のすごさも語っている。
日米の野球観の違いは初めて知ることばかりだった。アメリカでは,審判が絶対。たとえ審判がミスをしてもそれも含めて選手や観客は楽しもうとし,たとえミスを抗議したとしても,判定は絶対に覆らないことを知っているから,審判,監督がそれぞれの立場を互いに理解した上での抗議になるとのこと。日本では,審判のミスは,選手や監督,観客から厳しく追求されるらしい。また,アメリカでは,選手個々がそれぞれに力を発揮し,楽しんで野球をすることに焦点があたっており,自分のプレイがどうすればよくなるか,考えさせることが主流。指導者はミスには前向きな声がけをし,攻めの野球が行われる。日本では,チームの勝利に焦点が当たっており,手取り足取り教えることが主流。ミスは叱責される傾向にあり,守りの野球をしがち。らしい。
ミスを責められることが刷り込まれていると,萎縮しちゃうよねというのは,経験上私自身も感じること。ミスしても大丈夫,ミスのあとはどうするか,そういうふうに思考を持っていけるように学習させることが必要なんだろうな。

◇「子どもの能力を引き出す親と教師のためのやさしいコーチング」大石良子
小学生向けのコーチング本。元小学校教諭が書いていることもあって,教室でできるコーチングを取り入れたコミュニケーションや,実際に筆者と児童,親との間に生じたやりとり(児童に問題発生,筆者が介入し,改善へと導くまで)が複数紹介されていて,ケーススタディが可能である。
教室でできるコミュニケーションはとてもシンプルなものだ。4-5人くらいのグループに分けて,何して遊びたいかや,こんなものあったらいいな,とか子どもにとって身近で話しやすい話題をテーマに話し合いをさせる。そのときの肝が,一人ひとり同じ時間,順番に話をさせること,それ以外の子どもは相槌やうなずきをしながら聞くこと,そしてその人が話し終わってから質問をすることである。話す側にとっても聞く側にとっても,余裕をもってコミュニケーションができるし,話すことに自信が生まれ,聞く習慣をつけるのにも効果的だろう。このやり方は,もちろん家庭で家族の間でもやることができる。
ケーススタディは,けっこう新鮮だった。普段小学生と接する機会はないし,自分が小学校のときは自分のことで精一杯で他の子がどんな状況でいるかなんて気にも留めたことがなかったから,こういう子もいるのか…と感じながら読み進めた。筆者の観察力,直感,適材適所なコミュニケーションはさすがであった。

◇「合格力コーチング」江藤真規
現役コーチとして働く著者による,子どもにどう接していくべきかを自分の経験も踏まえつつ書いている本。中学受験の子を持つ親からの要望で書かれた本のようで,対象は中学受験をする親子がメインだが,中学受験とは無縁の親子も活用可。自分で自分の人生を考える子にするために,親は子とどのようにコミュニケーションをとるか,子に何をやらせるか,をコーチングで用いられるスキルや理論をベースにして語っている。親の気持ちを汲みつつ,代弁しつつ,丁寧な言葉で話を進めていっているのが印象的だった。また,コーチングを学び,子どもに対する接し方をを変化させていく中で,著者本人の考え方や生き方にも変化が訪れたらしく,そのあたりもけっこう書かれている。

◇「子どもが伸びる!魔法のコーチング」東ちひろ
教員、教育カウンセラー経験のある著者による、対子どもに、コーチングを取り入れたコミュニケーションをどうやるかが書かれている。褒め・聞く・伝えるを中心に、様々なケースを紹介しながらまとめている。
また、この本では、スキンシップの重要性も書かれていた。手をつなぐ、頭をなでる、体を拭いてあげる等、スキンシップは子どもの心を安心させる。

◇「部下を伸ばす技術 コーチング」宍戸由希子
人材育成に関わる著者による,組織で使えるコーチング。アメリカ人の著者によるコーチング関連本を翻訳したこともあるとのことで,コーチングの手法を取り入れたアメリカ企業の事例を複数取り上げている。また,コーチングを「相手の自己実現をサポートする考え方・手法」とし,自己実現は「自分の個性通りに生きる」と定義している。著者が提示するコーチングのスキルは、モデル・ガイダンス・フィードバックである。コーチはクライアントに、自らをモデルとして見せ、質問を通して、クライアントの目標や気持ち、現状を把握、かつ、自分で行動を決められるよう導き、クライアントの変化に対するポジティブフィードバックを行うのだ。
また本書には、セルフコーチングのやり方と、ワークシートが載っている。目標の立て方や、目標達成をイメージするメンタル・プラクティス、自分にとってのモチベーションややりがいを掘り下げるときに使えるシート、思考チェックなどが含まれる。
人のコーチをする前に、まずは己を整えよと…まったくそのとおりだよね…


◇「質問で学ぶシンプルコーチング」マツダミヒロ
コーチングに関するキーワード31個を,短い会話と解説,4つの質問で紹介している。4つの質問は,それぞれのキーワードを理解したり,自分について考えるためのものでワーク式になっている。たしかにシンプルイラストもたくさんでわかりやすい雰囲気だが,説明不足感が否めない印象。流し読みなら流せるが,じっくり読もうとすると,なぜこの言葉を使うのだ?という箇所があったりして(ex. 自然体:どちらにも傾いていない→ニュートラルな立ち振舞い と言っているが…),いまいち理解できないところもあった。記載されているキーワードがコーチング場面で役に立つことは確かだと思うが,どういう状況で/どういう文脈でそれらを用いるかに触れられていないので,具体的にこんな感じで使うというイメージがわきにくい。

◇「子どもの「やる気」のコーチング」菅原裕子
菅原さんの著作,今週3冊目。今回はタイトル通り,子どもにやる気を出させるための土台作りとコミュニケーションに焦点を当てている。土台は,自己肯定感と有能感と人の役に立つ喜び。子どもの話を聞いて受け止め,子どもを信じて仕事/活動を任せ,子どもが親にしてくれたことに対して感謝や嬉しさを伝えることである。
子どもに任せることの重要性は,納得のいくものばかりだった。子に任せず親がなんでも子に代わってやってしまうと,子は自分で何かをしようという機会も,自分はできるんだと思える機会も奪われる。また,失敗から学ぶことや,責任を学ぶ機会も奪われる。結果,人任せで責任感のない子が誕生する。そんな子に大きくなってから,なんでこれができないんだ?,なんでこれをやらないんだ?と言ったところで,子どもが酷である。
心理学分野でよく登場するモチベーション関連の知見(SDT理論や,内発的動機づけにおける褒めの影響)もベースにしている。
親は子の話を聞いていると思っているが,実際のところ聞いていない。親がしているのは,親が聞きたいことを聞いているだけである。このあたりのことが,具体的な会話例を元に書かれているのがわかりやすかった。子どもが何かを話し始める。親は自分のフィルターを通してその話を聞き,解釈し,反応する。しかし,その解釈は往々にして子が期待していた解釈ではなく,子に質問するにも,自分が得たい情報についての質問で終わる。結果,子は伝えたかったことが伝えられず,場合によっては詰問となり,メンタルが削られていくという…これは,親子間にかかわらず,大人同士でもよくあることだろう。「聴く」ために,著者は,異文化の人と接すると思って子と接するように勧めている。
本書の最後には,簡易エニグラムテストと,9つのタイプそれぞれに関して,概要,親の特徴,子の特徴がまとめてある。

18/122 読了