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2020/02/13

本レビュー ターリ・シャーロット「事実はなぜ人の意見を変えられないのか 説得力と影響力の科学」

人を動かすための方策を練りたい方にはもってこいの本。それから,自分は特別!私は誰にも左右されないの!という思いを抱いている方にももってこいかもしれない。いずれにしても,この本からの学びは,脳の接近ー回避の法則はやはり強固。さらに,人の生存欲求というか自己保存欲求というか,それも強固。また,感情及び,意識の範疇外で起こっていることにもっと目を向けるべきだ。ということ。

「事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学」の原題は「The Influential Mind  What the Brain Reveals About Our Power to Change Others」。脳のあり方をふまえ,人が影響されているとき脳はどういう状態なのか,どうすれば人を動かせるか,いかに人が他者から影響されているか,を実際に行われたたくさんの実験や,エピソードを交えて丁寧に解説している。笑ってしまう話や,あ~そうだよね~,えっホントに!?など,自分の日常やこれまでそうだと思っていたことと照らし合わせて,いろいろな気持ちを味わいながら学ぶことができると思う。下記に述べるtipsだけを考えるとそれほど目新しいものではないかもしれないが,あちこちで言われている断片的なことを1冊にしてくれた感がある。また,脳の反応がエビデンスとして紹介されているので,ただのノウハウ本よりも信用がおける。

「事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学」の原題は「The Influential Mind  What the Brain Reveals About Our Power to Change Others」。脳のあり方をふまえ,人が影響されているとき脳はどういう状態なのか,どうすれば人を動かせるか,いかに人が他者から影響されているか,を実際に行われたたくさんの実験や,エピソードを交えて丁寧に解説している。笑ってしまう話や,あ~そうだよね~,えっホントに!?など,自分の日常やこれまでそうだと思っていたことと照らし合わせて,いろいろな気持ちを味わいながら学ぶことができると思う。下記に述べるtipsだけを考えるとそれほど目新しいものではないかもしれないが,あちこちで言われている断片的なことを1冊にしてくれた感がある。また,脳の反応がエビデンスとして紹介されているので,ただのノウハウ本よりも信用がおける。

本書で提示されていた人を動かすためのtipsは以下のとおり。これらのtipsを,人を動かしたい状況,相手などに合わせてどう具体的に表現していくか,が腕の見せどころか。
・人が「正しいと信じている信念」に対しては,決定的な反対証拠も役に立たない。拒絶されるたり,逆に,正しいと信じている信念がいかに正しいかを説得させられることになる。
・メッセージが相手に伝わるには,相手の感情に働きかけること。自分と相手の気持ちが共有されている状態に。
・罰や脅しなど,恐怖を喚起するものは説得にはマイナスに働く。むしろ,褒めや報酬など快を期待させることが行動を促す。
・喪失への不安は行動を止める。
・「自分がコントロールしている」という感覚は満足感を高め,人を行動へ向かわせる。コントロール感を阻害する注意や警告,管理は人を不安にさせる。
・情報を伝えるときは,相手の知識のギャップを示し,それを埋めるようにする。
・メッセージはポジティイブな観点から伝える。良いことが起こる可能性を強調したメッセージのほうが人の注意を引くことができる。人は自分が後で傷つくとしても,悪い知らせを避ける。
・相手の心の状態によって,メッセージの受け取られ方は変わる。ストレス下や恐怖下では,リスクを避け,無難な行動をとる。

本書後半は,人は(気づかないうちに)他者に影響されている,ということについて。人は生まれた日から周りを見て学習を始める。他人は自分が持っていない情報を持っていると思って,本能的に他人の選択をなぞってしまう。他人の意見によって,記憶の痕跡は物理的にも変化する。さらに,変化をもたらすにはたった一人の異端で十分,などが様々な実験とともに伝えられる。
さらには集合知についても言及している。たくさんの人の意見を集約して平均するとだいたい正しいと言われるが,お互いがお互いに影響を与えている社会でそれはいつも成り立たない。成り立つには工夫が必要である。まず第一に,たくさんの人がそれぞれできるだけ独立して意見を言っている必要がある。また,一人の意見でも時間を空けて出された複数の意見を集約したほうがいい。いずれにしても,誰がどんな状態で述べた意見なのか知らずに,みんなの意見の平均を鵜呑みにするのはよろしくないということである。多数派に走ってしまう本能を適宜抑えなくてはならない。

そんなわけで,私の備忘録も兼ねたくて全体を簡潔にまとめてみた。興味を持った方はぜひ手にとってみてください!

2020/01/29

シロイルカめぐり ―島根県立しまね海洋館アクアスに行ってきたよ!

シロイルカをめぐる旅もついに最後の1館に!遠路はるばる島根県に初上陸。シロイルカたちが作り出す3つのリングに感心しつつ,朗らかに泳ぐさまにほっこりしてきた。大きな水槽のそばに近づくと,シロイルカたちは興味津津に寄ってきたり,こちらを見ながら泳いだりしてくれる。本当に愛くるしい生き物だ。

しまね海洋館アクアスは,日本海に面した石見海浜公園内にある。水族館にもその地域色は表れていて,地元石見の海や磯に住む魚たちの展示(美味しそうに見える魚がちらほら)があったり,縁の深い日本の神話に登場するワニ(サメのことらしい)の種類が多いのが,他のこれまでに訪れた水族館とは違うところ。それから,哺乳類系の展示も少なめ。哺乳類は,シロイルカとアシカとアザラシくらいだ。

HPにでの事前予習によると,アクアスにいるシロイルカは,水中でのリング作りが得意とのこと。パフォーマンスではそれを見せてくれるらしい。今回パフォーマンスを見せてくれたのは,ケーリャ(♂)とその子,シーリャ(♂),ミーリャ(♀)の3頭だ。ケーリャはさすがお父さん,いちばん大きい。そして他の2頭に比べると,少し落ち着いている印象。ミーリャはまだ子どもなのかな,体の色がまだグレーがかっている。この3頭が見せてくれたのは,キャッチボールと,魚に空気を吹くパフォーマンスと,3種類のリング。キャッチボールは,水を入れた約8kgのボールを相手の口から口へと渡すというもの。器用に出して渡してを繰り返していた。魚に空気を吐くパフォーマンスでは,飼育員さんの持っていた魚をフーフー一生懸命吐いていた。けっこう地味だったが,魚が曲がっていたので,しっかり吐いていたのだと思う。そしてリングは,口から空気を出して前に向かって作られた丸い輪と,おでこの後ろ側にある耳から空気を出して上に向かって作られた丸い輪,さらには,耳から空気を出して前に向けて作った大きな輪。3つめのに関しては,その中を自分でくぐっていた。どの輪もとてもきれいな丸い円になっていて,発せられて数秒経って消える。一体どうしたらこんなにきれいな円が作れるのか,と感心するばかりだ。輪を作るパフォーマンスは,飼育員さんが,シロイルカが自分たちで勝手に遊んでいるときに発見し,それを洗練させたものらしい。シロイルカは好奇心旺盛で遊び好き。パフォーマンス外でも,水中にあるボールや縄のついた輪などを噛んだり運んだりして遊んでいた。
平日に訪れたこともあり,お客さんはだいぶ少なめ。パフォーマンスも前で見ることができたし,それ以外の時間も,シロイルカの水槽の前でしばし滞在しながらゆっくり見ることができた。別館には繁殖用のプールもあり,そちらでもシロイルカを数頭見ることができる。



アクアスにこの時期に行ってラッキーだったことは,ペンギンの子どもを見られたことだ。オウサマペンギンの子が夏頃生まれとのことで,だいぶ大きくなり,でも体はずんぐりむっくりでモフモフしている。オトナのオウサマペンギンより大きいのではないだろうか。よたよた歩くのがまた可愛い。親?と思われるオウサマペンギンがその子の毛づくろいをしている姿も見られた。来年の春頃には今のモフモフの毛はすっかり抜け,大人になるとのこと。
マゼランペンギンの餌やりパフォーマンスも見ることができたのだが,こちらは餌の取り合いが凄まじかった。飼育員さんの投げた魚を何匹かがくちばしで引っ張り合うから,魚がちぎれてそれぞれの口に入っていく。ちなみに,魚は頭
から飲み込むスタイル。器用にくちばしで頭を下にして飲み込んでいく。そのほうが,ヒレなどが体の中で引っかからずに今で届くからいいのだとか。

静かな,でも荒々しい日本海を見ることができるのもアクアスのいいところ。バス到着の出雲市駅から水族館最寄りの波子駅までの山陰本線に乗っているときにも日本海がときおり見えるが,水族館には展望台もあり,おもいっきり日本海が見渡せる。そういえば,山陰本線に乗っているときにふと思ったのが,赤茶色の瓦の家がやけに多いなということ。うちの地元では黒系の瓦の家が一般的で,茶色系はほとんどない。それに,一般的に瓦のイメージは黒だよな~と思いつつ,それが逆転しているから不思議に思って調べてみたところ,これは石州瓦というものらしいと分かった。石見地方で昔から作られている瓦とのこと。地域特産品との偶然の出会いだった。

今回,島根県へは夜行バスで向かった。行きも帰りもオリオンバス,しかも同じ乗務員のペア(男性1名,女性1名)だった。体力ありそうなかっこいい方々だったな。安全で心地いい運転,挨拶も爽やか。女性の方は気配りもしてくれて…遠出の際はよく夜行バスを利用するのだけど,これまで乗った中で一番だったかもしれない。

とりあえず,シロイルカめぐりの旅はここで一段落。とはいえ,名古屋港水族館とアクアスは他よりもシロイルカの飼育数が多く,また,名古屋港水族館ではかなり近くでシロイルカのトレーニング風景が見られるのでまた行きたい。八景島シーパラダイスでは,春夏期にシロイルカと泳げるので,それも参加したいし,鴨川シーワールドはシャチもいて海獣類が充実しているからここも再訪の価値あり。上越の水族館では,シロイルカのショーが新しくなったとのことで,こちらもまた行きたいな~。
ということで,時間を見つけてまたシロイルカたちに会いに行きたい。

2019/12/27

シロイルカめぐり ―名古屋港水族館に行ってきたよ!

シロイルカを好きになってから,シロイルカのいる水族館を訪問している。シロイルカのいる水族館は日本に5つ。そのうちの1つ,名古屋港水族館に先日行ってきた。おそらく,ここの水族館が日本で一番多くのシロイルカを飼育している。その数なんと6頭!そのうち2頭はここの水族館で生まれたらしい。おっきなプールで何頭ものスイスイ泳ぐ姿を見られるなんて至福の時間確定じゃないか…ということで,期待MAXで訪れた。

餌を待つウミガメ
シャチのアース
名古屋港水族館は北館と南館に分かれている。北館にいるのはシロイルカとイルカ,シャチ。南館には魚類を中心に,ペンギンやウミガメなどもいる。水族館の隣にウミガメの研究施設があるからか,ウミガメの種類も数もこれまで行ったどの水族館よりもいた。また,ここの水族館は,今まで行った水族館の中でいちばん教育・研究に力を入れているなという印象。北館には鯨類について,その系統分類や祖先,骨格,社会でどのように鯨類が扱われ,受け入れられているかの歴史資料の紹介などが展示されているけっこう広いエリアがあり,鯨類のことを学ぶことができる。また,鯨類の研究者による,最近の研究のポスターなども展示してあり,ここの水族館の生きものたちが学術的にも協力していることが伺える。

さてさてお待ちかねのシロイルカ!北館の入り口を入って左側にある大きな水槽で悠々と泳ぐ姿が目に入ってきた。この日この水槽にいたのは3頭だろうか。くるくる回ったり,人のほうに近づいてきたりしながら元気いっぱいに泳いでいた!

ここの水族館では,シロイルカのイベントとしてトレーニングの様子を公開している。1日に数回あり,私は2回ほど参加してみた。公開トレーニングでは,餌をもったトレーナーが,それぞれ1頭ずつトレーニングを行う。今回トレーニングをしていたのは,ニコ(♂),タアニャ(♀),ナナ(♀)の3頭。トレーナーは体や笛を使って何かしら合図を出し,それにシロイルカが応え,ヒレを振ったり,くるくる回ったり,水をピューと吹いたり,いろんな声で鳴いたり,ジャンプしたり,マイケル・ジャクソンさながら?のムーンウォーク的なものを見せてくれたりする。投げたボールを取りに行くトレーニングでは,ニコが自分のために投げられたボールだと思って勘違いして取ってきてしまい,もともとトレーニングされるはずだったタアニャがちょっと困った感じで周りをウロウロする,といった様子も見られた。体には脂肪がたくさんついていて,大きく重いからか基本すばしっこい動きやアクロバティックな動きはできない。もったり動いているのがなんとも言えず可愛い~~。そして,どのシロイルカも相変わらずのつぶらな瞳で人に懐いている様子がとても可愛い。特にナナ(まだ子ども。体がまだ少し灰色だ)はトレーナーのお兄さんが大好きな様子。べったり甘えているように見えた。ナナは頭の上から輪っかを出すエンジェルリングも作って見せてくれた。

今回のトレーニングでは,体温を測っている様子も見ることができた。トレーナーの合図でくるっとお腹を出して,肛門部分に長い管を入れられる。じっとしているところを見ると,痛みとかはないんだろうな。
トレーニングの後もしばらくプールで観察していると,ときおり顔を出してくれた。こっちを見てくれた。

今回もシロイルカの可愛さを満喫できる癒やしの時間だった…。シロイルカのいる水族館めぐり,まだ行っていないのは「しまね海洋館アクアス」のみとなった。近いうちに行きたいな。

かくれんぼ名人!
イルカのパフォ―マンス
温かいところでも平気なケープペンギン

深海のお仲間

2019/12/15

宝石に関する情報収集あれこれ

先日のブログ記事(https://yukiron.blogspot.com/2019/12/blog-post_4.html)にも書いたように,最近宝石を見るのが好きだ。それで,宝石関連の情報をいろいろと探っていたところ,ナイスタイミング!ちょうどテレビで宝石探しの番組やるし,ミネラルショーも開催される。しかも,書籍も調べてみると,宝石関連本は少ないながらもしっかりした内容のものがけっこうあり。そういうわけで,最近触れた宝石情報についてまとめておきたい。

まずは,NHKでやっている番組,世界はほしいモノにあふれてるの宝石回,「世界にひとつの宝石を探す旅 オーストラリア」https://www4.nhk.or.jp/sekahoshi/x/2019-11-14/21/2235/1942066/)。ジュエリーデザイナーの女性が,香港やオーストラリアに自分の作るジュエリーのための宝石を探しに行く回。香港は,翡翠が有名でたくさんの翡翠が売られている様子が出てきた。翡翠もいろいろな色がある。そういえば,もう10年以上も前に香港行きのパックツアーに参加した際,翡翠屋さんへ行くことが行程に含まれていたっけ…。オーストラリアでは,オパールの採掘現場に訪れ,採掘された様々なオパールを見ていた。私はこのときまでオパールをちゃんと見たことがなかったのだが,石自体の色も複数あるし,角度によっていろいろな色の光が見える。とても個性的な石だ。ブラックオパールはかっこよくもある。ジュエリーデザイナーの女性の方は,本当に真剣に石を選んでいたが,共感できる。一つも同じものがないから,こだわって選びたい。そして,実際に掘っている現場や研磨している現場の映像も見ることができて,どのようにして石がジュエリーとして私達の手元に届くのかを垣間見ることができた。

続いては,ミネラルショー。ミネラルショーは,鉱物の展示会だ。化石から宝石まで,国内外の鉱物関連会社が出展する。初日に訪れてみた。出店者も多いが,お客さんも多い。業者の方もいるのだろうが,個人で来ている人も多そうだ。多くの人が,お店の前に張り付き,石を熱心に観察して選んでいた。お気に入りの石を見つけた人の中には,それでオーダージュエリーをお願いしている人もいた。いろんな石が見れるかも!と思って行ってみたはいいものの,知識がなさすぎてあまり満喫できなかった…。ということでそんなに長居せずに退散。やはりこういうものは,知識や経験があるほうが断然楽しめるよね…。

ところで,宝石について少し知りたいなと思って目を通した本もある。一つは,阿依アヒマディの「アヒマディ博士の宝石学」。理学博士で宝石学が専門の博士が,宝石はどのように作られるかや,主な宝石の特徴・産地について解説する内容。キレイに研磨された宝石のほか、原石の写真も多数掲載している。同じ名前の宝石なのになぜ複数の色があるのかの疑問、本書を読んだら、ざっくりとではあるが解決した。つまるところ、その石に含まれる原子の量の差異である。Feが含まれるとこの色寄り、Mgが加わるとあの色寄り、みたいなのがあるようだ。でも、化学式は変わってないから、きっとホントに微妙な差異なのだろうな…。
そして、人工的に作られた合成ダイヤモンドや,宝石に熱処理が加わるとどうなるかなど,一見しただけでは絶対にわからないであろう違いについてもいろいろ教えてくれる。
また,博士が実際に訪れた採掘現場も写真付きで紹介。地元の人が手作業でやってるとこも結構あり、こんなところからホントに出るの!?みたいな雰囲気のところもあり、宝石を見つけるだけでも大変なのに、そりゃ質のいい宝石が出たら値が上がるよね…と実感です。
パイロープガーネットの指輪
個人的には、私の誕生石でもあるガーネットについて、概要を知れたのがよかった。一口にガーネットと言っても、いろんな色のものがある(化学式に少し違いがあり、種類が分かれています)。個人的には赤系統のパイロープと、オレンジ系統のスペサルティンが好きだな。
タンザナイトの青紫色の輝きもとても美しかった。


それから,こちらの本も忘れてはいけない!「宝石と鉱物の大図鑑」。 この本は,すごいです。こちらもフルカラーで,440ページの厚さ!約1万個の宝石を所蔵している米スミソニアン博物館でも知られるスミソニアン協会が監修だ。鉱物とは何か?から始まり,数多くの鉱物(元素鉱物,宝石,生体起源のもの,岩石も)がたくさんの写真とともに紹介され,世界的に有名なジュエリーの写真もある。そして,そのジュエリーにまつわる人物や歴史もともに紹介されている。こういうの,実は私は知りたかった。科学系の内容だけだと,私には辛いのだ…
とにかく,宝石・鉱物の基本はこの1冊で十分なのでは!と初心者の私にも思わせるほどの内容。この本は,太陽光の差し込む明るい部屋で,ゆったりと過ごせるときに閲覧するのがいいと感じる。そういう場所・ときでないと,この本は味わえないだろう。通っていた大学の図書館に戻りたい気分だ。

というわけで,宝石に興味を持ってから遭遇した,いろいろな宝石情報ソースについてまとめてみた。宝石は値が張るのでとても買えそうにないが,いろいろなソースのおかげで目で楽しむこと,読んで楽しむことはできるのだ!

2019/12/04

漫画記 二ノ宮知子「七つ屋志のぶの宝石匣」

最近,宝石に興味がある。いろいろな色で美しく輝く石たち。同じ名前の宝石でもいろいろな色があり,形があり,輝き方があり,ああ自然の中で作られたものなんだと実感する。見ていて飽きない。これまで宝石なんて全く興味がなかったのだが,二ノ宮知子さんの「七つ屋志のぶの宝石匣」を読んでいたら,宝石についてもっと知りたい欲がムクムクと湧き上がってきた。既刊は現在13巻,ストーリーは継続中だ。

この漫画は2つの話が並行して流れていく。舞台は銀座に店を構える老舗の質屋「倉田屋」。そこの孫娘である女子高生の志のぶは,宝石から気を感じることができる,という力を持っている。その力を使いながら,質屋にジュエリーを持ち込んだお客さんや志のぶの周りの人たちの間で起こるちょっとしたトラブルやいざこざを解決していく,というのが1つの話。宝石やジュエリーは,その持ち主の人生や日常と絡めて描かれる。濃いキャラクターや人間臭いキャラクターが多く,毎話ごと笑ってしまう。それに人情話も多く,読んでいて温かい気持ちになる。
もう1つは,志のぶの(一応)婚約者である顕ちゃんの消えた家族の謎を解いていく話。顕ちゃんは倉田屋の質流れ品なのだ。顕ちゃんの祖母は,子供の顕ちゃんを倉田屋に預け,その後一家は離散,家も焼けてしまった。顕ちゃんが覚えているのは,一族に繁栄をもたらしたという鳥の内包物のある赤い石。その石を探すため,高級ジュエリー店の社員になり,友人のジュエリーデザイナーの鷹さんや宝石バイヤーの虎徹とともに消えた家族の謎を追っている。この2つの話が絡み合ってストーリーを成している。そういうわけで,1話完結のコミカルな話としても楽しめるし,ちょっとシリアスなミステリーとしても読める。
また,合成ダイヤモンドや宝石鑑定,質屋業界の競り,押し買いの話など,宝石やジュエリーを取り巻く現実についても描かれており,門外漢だった私には,へ~の連続だった。

ストーリー中にはたくさんの宝石が登場する。モノクロだから漫画で見た目を楽しむ,ということはできないが,その宝石に関する歴史や特徴などがけっこう詳しく描かれているから,実際にそれを見てみたくなる。だから新しい宝石が出てきたとき,私はよく本やネットで検索している(笑)思えばこれは,二ノ宮さんの別の作品である「のだめカンタービレ」を読んでいるときもよくやっていた。登場するクラシック音楽がどういうものか聴いてみたくて,よくYouTubeで検索し聴いていた。それでますますクラシック音楽が好きになったものだ。また,漫画に登場するジュエリーデザイナーの鷹さんは,アンティークっぽいデザインのジュエリーが好みで,そういうのを作っているという設定で,このジュエリーは○○時代の~みたいな話がときどき出てくる。気になったものはやっぱりネットなどで調べるのだが,デザインの特徴や違いを知るのも楽しいし,宝石やジュエリーが歴史の中で,その時代の人や持ち主にどう絡んでいるのかを感じるのも面白い。

二ノ宮さんの作品は,のだめの他にも,好きな人のために農業を頑張る女の子が主人公の 「GREEN」も面白くて大好きなのだが,「七つ屋志のぶの宝石匣」の志のぶも「GREEN」のワコちゃんやのだめ同様,まっすぐ好きなことを貫く姿がいい。一本筋が通っているというか,他人に流されない何かを持っているというか,そういうところが好きだ。好きなものや好きなことは違うけど,そういう生き方に共感するし,読んでいて応援したくなる。

8巻あたりから,顕ちゃんの家族ミステリーのほうの話がけっこう騒がしくなってきていて,どんなふうに展開していくのか今後が楽しみ。そして,顕ちゃんと志のぶの関係がどうなっていくのかも気になるところ。

2019/11/26

本レビュー トッド・ローズ「ハーバードの個性学入門 平均思考は捨てなさい」

いろいろなことをカスタマイズできる時代になってきた。例えばウェブ広告。ユーザーがアクセスした履歴をもとに,そのユーザーが興味をもちそうなもの,購買につながりそうなものの広告を提示してくる。例えば飲み物。スターバックスやタピオカティー屋では,飲み物に好みのトッピングを加えたりして自分好みにできる。例えばパーソナル○○の類。利用者の体質や希望に合わせて痩せるプランを作り,二人三脚で支援してくれるトレーナーもいれば,利用者の好みや体型を考慮して服を選び貸してくれるサービスもある。そう,人はみんな違うのだ。そんな当たり前の事実をベースにしたサービスが増え,以前よりも多くの人が手軽に享受できる社会になってきた。

トッド・ローズ「ハーバードの個性学入門:平均思考は捨てなさい」は,平均主義から脱却し,それぞれの個の違いにもっと目を向けるよう促す本だ。19世紀に「平均」の考え方が生まれて以来,人はあらゆる場面で平均を使ってきた。平均的な体のサイズ,平均的な知能,ある年齢における平均的な行動,平均的な給与などなど。そして,平均から外れていると劣っていると判断されたり,何か問題が起こっているんじゃないかと感じてしまったり,はたまた平均に近づくべく努力したりと,人は「平均」という存在に踊らされてしまう。著者の専門は個性学。平均主義から解放され,個が個として評価され,判断され,個が自分の力を存分に発揮して充実した生活を送ることができる社会を求めている。

個性学は,バラツキの原理,コンテクストの原理,迂回路の原理,の3つの原理によって支えられているという。
バラツキの原理とは,人間の資質や能力にはバラツキがあるということ。体の大きさ,知性,走る速さなどあらゆる次元においてバラツキが認められる。コンテクストの原理とは,人の行動は特定の状況によって左右されるということ。人格的特性は人の行動の予測にほとんど役に立たない。だから,私は○○な性格だ,ではなく,私は○○の状況では○○に振る舞う傾向がある,などと考えるべきだ。また,人を評価するときにも,あの人は○○だ,ではなく,あの人は○○なときに○○のような行動をとる,といったデータをもとにすべきだ。迂回路の原理とは,どんなゴールを目指そうとも,そこにたどり着く道はいくつもあってどれも妥当であり,最適経路は個性によって決まるということ。スピードも順序も人によって異なる。

非常に共感できる内容だった。年を重ねるにつれてだいぶ落ち着いてきて,今となっては,「私は私だし」と開き直っているというか肝が据わってきた状態がもはやデフォルト,周りに煽られて不安になることもそうそうなくなってきたが,20代の頃は何年もの間,みんなと違うことの不安と恐怖が心の中でグルグルしていた。特に新卒で入った会社をやめてからはひどかった。また,周りで結婚が相次いだ時期,みんなの人生を素直に祝福するのが難しいこともあった。子どもの頃は,周囲の大人から特別扱いされるのがひどく嫌だった。どれもこれも,周り―といっても狭い範囲の知り合いや世間の常識などと比較して,自分のそこからの外れ具合を悲観したからである。
でも結局,自分が心から求めていることを達成したり手に入れたりすること,自分が好きなものを自由に愛でたり楽しんだりすること,あくまでも自分主体で自分の人生を作っていく,心地よいものにしていくことが私のすべきことだと今は思っている。そのために私は今日も努力する。