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2018/11/27

コーチング関連本を読んでるよ Week 3

コーチング関連本,122冊読了しよう企画をやっております。

◇「ドントウォーリー! ビーハッピー!! 松岡修造の生き方コーチング」松岡修造
ピンクの表紙と,ピンクのセーターを着た松岡さんのインパクト大!な本書。ネットに寄せられた女性からのお悩みにアドバイスするという流れで進んでいく。といっても,一つ一つのお悩みに丁寧に答えていく,のではなく,女性から寄せられた具体的なお悩みはいくつかのカテゴリーに分類され(将来が不安,人間関係がうまくいかない,結婚について悩んでいる,等)そのお悩みカテゴリーに対して松岡さんが持論を述べる,という感じ。なので,お悩みの分類がおざなりなせいか,お悩み主が聞いていることとはずれたアドバイス・持論が載っているところ数箇所あった。
女性からのお悩みはいろいろあったよ。共感できるものもあるし,なんでそれ悩む?ってのもあるし。松岡さんのアドバイスは,「自分らしく生きる,自立する」というのが根底にあるように感じた。本書に登場する筆文字による松岡さんの一言アドバイスは,自筆だそうで…見ると引き締まる思いがしました。

◇「コーチング以前の上司の常識 「教え方」の教科書」古川裕倫
部下をどうやって働かせるか,どうやって一人前にしていくか,を考えたとき,コーチングよりもまずはティーチングを…そんな考えをもとに書かれた本。商社や芸能事務所での経験がある著者の提案・文章は明快だ。
コーチングとは,クライアントに質問しながら答えを導き出させることを主とするが,そもそも答えを導き出せるだけの,知識・経験なりのストックがなければ,導き出すことはできないのである。まぁ,クライアント自身の人生等に関することならそれでもいいだろう。だが,ビジネス場面となると話は別。仕事は待ってくれないし,基本的なやり方,常識,共通認識がある。それらがわかっていない人に考えさせたところで,周りの負担が増えるうえに,本人にとって仕事しづらい状況になってしまうのである。だから,著者はまず教えよというのだ。だからといって,命令だけせよとも言っていない。教え方の基本を提示しつつ,部下の癖や性格に合わせてた教え方や,部下への承認の必要性も述べている。つまり,コーチング場面におけるコーチの姿勢も組み込まれている。
私は著者の意見に賛成。目先の利益,自分にとっての利益ではなく,部下の○○年後を見据えて指導しようというスタイル,教育にとって外せないことだと思う。

◇「キッズコーチング」後藤英郎
子ども向け研修を行っている著者による,子育て本。子育てにおいて,親がしたほうがよいこと,しないほうがよいことがたくさん書かれている。それぞれ簡潔にまとまっているのでわかりやすいが,若干杓子定規感を感じる印象。子育ての基本方針のようなものの記載がないので,それぞれの提案は若干バラバラした感じがあるが,著者によれば,ありがとうと言える,挨拶のできる,靴を揃えられる,親に感謝できる,自分の良いところをたくさん知って自分のことが好き,の5つが子どもの心に根付いていると,大人になってからも人から愛され,人間関係の良い人になる,とのこと。
tipsで印象にのこったのは2つ。まず,子どもにお金について教えること。私自身,親からお金に関して,さらには社会の仕組みに関して教わった記憶がなく,数年前,このあたりのことをちゃんと教育されたかったなと思ったことがあった。学校生活など人生の1/4程度。残りの時間は教わるよりも自ら考え,何かを作り出し,社会の中で自立して生きていく。であるなら,3/4の時間に役に立つことを小さいうちから教えてほしい。もう1つは,学校の勉強が何の役に立つの?の答えに勉強する習慣を身につけることが大切,と返すこと。質問に正しく答えていないような気もするが,あぁそういう答え方もあるのか…と思ったよ。

◇「人を育て、動かし、戦力にする実戦コーチング・マニュアル」伊東明
コーチング,とりあえずやってみましょう!と主張する内容。コーチング的な会話と,そうではない会話の比較や,コーチング的な会話で使えるフレーズ260個も掲載。コーチングに懐疑的な人から寄せられた質問への回答も掲載しているのは,この本の特徴の1つ。
著者は心理学者だ。心理学の理論を通してコーチングを見たとき,それがいかに目標の達成に向けて機能するかも述べている。例えば,リアクタンス。人は特定の行動をするよう圧力をかけられると,反発心を覚え,その行動をとらなくなる,もしくはいやいや行動するということが起こるが,コーチングは自らが答えを出すように導くのでリアクタンスは生じにくい。自己説得の理論もこの点に関係している。人は,他者から教えられたよりも自らがその行動の意味を見出した場合のほうが動く。さらには,最初は小さな要求をし,受け入れたっら要求を釣り上げるfoot in the doorという説得理論。コーチングの過程で自分ができることを答えたり,してみたりすると,そこから抜け出さなくなり,それ以上のこともついついしてしまう人間の心理にもかなっているというわけだ。

◇「教師のための「続ける力」コーチング」
 神谷和宏
つまるところ,成功する人は続けることができた人,そして続かない原因は,その人の意志や精神力だけのせいではない…そう主張する著者による,何かを続けるためのコツの提案本。コーチングをベースとした,何かを続ける子どもにするためのコツは,もちろん大人である私たち自身のためにも使える。
この本で一番印象に残っているのは,「おわりに」に書かれていた内容。「誰でもできることを,誰もできないくらい続ける」特別なことや,難しいことをするのは難しい。でも誰でもできることをする。そしてそれを続ける…これができたとき,成功へ近づくのだ。これをエジソンのエピソードを交えて述べていた。
ちなみに,誰でもできることをするには,掲げた目標(具体的な目標)を達成するまでの目標,それを達成するまでの目標,またそれを達成するまでの目標…というように負担を感じないくらいまで(日々実行可能な程度にまで)目標・やることを分割していくのがよい。そしてそれをひたするら実行していくのだ。そうすると行動グセがついていく。途中,あせってしまったら落ち着くまで待ち,気持ちをはやらせることなく平常心で,やることに押しつぶされそうになっても丁寧に取り組む…そうやって続けていくと,いつか目標を達成できるのかもしれない。
著者は,続かない人は好奇心が旺盛だからと述べていた。続かない=飽きっぽいと考えている人が多いと思うが(私もだ!),好奇心旺盛で興味が他に移っていくととらえている。なるほど!と感じた発想の転換であった。

◇「松下幸之助とEQコーチング―時代を超えて生きる「信・認・任」の知恵」本間正人,高橋仁
「松下幸之助はコーチングの達人だった」らしい。彼は,コーチングの手法,言葉が日本に浸透するずっと以前に,もうすでにそのエッセンスを実行していたようだ。本書では,現在でいうところのコーチングスキルがふんだんに含まれた,彼の元部下や松下政経塾の元塾生への接し方をエピソード付きでまとめている。
松下幸之助のコーチングで発揮された彼の特に重要な素養は,本書によれば,楽観性(未来の明るい面を見て,前向きにとらえる),ストレス対処(ピンチをチャンスと受け止める),柔軟性(我を譲り,相手のペースに合わせて話を聴く),状況モニタリング(場の空気を読み,人の行動パターンを的確に察知する),共感的理解(相手の気持ちが分かる)であった。これらの素養が,本書でいうところのコーチングの基本,「信・認・任」(人の無限の可能性を信じ,一人ひとりの多様な持ち味,成長を認め,人を活かす)で十分に発揮されていたようだ。
本書には,たくさんの松下幸之助とその元部下や元塾生とのやりとりが載っている。松下幸之助の発言の深さ,ユニークさはさることながら,それを聞いた元部下や元塾生の行間を読む力,解釈力も(私的には)半端ないと思った。松下幸之助の意図を正確に汲み取れるって…おそらく,松下幸之助という人を知り,信頼し,常に考えているからこそできるのだろうな。そして,松下幸之助自身も,相手のことを知り,信頼し,常に考えているからこそそういう発言を普通にできるのだろうな。表面的ではない,踏み込んだ人間関係が築かれている。一方から一方ではなく,双方の相手に対する想い,感情がなければこんな関係は築くことができない,というのをまざまざと感じた。

◇「顧客サービスはコーチングで変わる!―一流の接客プロフェッショナルを育てる法<」ロン・ゼンケ,クリスティン・アンダーソン
接客サービスに携わるスタッフに対して,リーダーやマネージャーはどうコーチングしていくか,に特化した内容になっている。具体的な事例もたくさん登場するし,マニュアルのような詳細さで,状況ごとにどう対処するのがいいか説明している。情報量が多いため,読むのがなかなか大変だった。
でも事例が面白い。スタッフとリーダー・マネージャーとの会話調になっているのだけど,原著がアメリカというのも関係しているんだろうか。ストレートな物言いがたくさんあってよい。また,著者はたまにユーモアも飛ばしてくる。これまでに読んだ日本人の書いた書籍は,事例がどこかリアルさに欠けていたり,ややかしこまった感があったので,この本は新鮮に感じた。

◇「パフォーマンス・コーチング―会社が変わる・組織が活きる」石川洋
通常のコーチングでは,組織全体で高い成果を出すには足りないと考えている著者。そこで,コーチング+メンタリングでパフォーマンスを向上させることを説く。
メンタリングとは,古代ギリシア時代の賢人メントールが行っていた指導法・支援法をもとに欧米で確立・普及した「人間力を重視したリーダーシップ手法の集大成」らしい。メンタリングにおいて,メンタリングする側のメンターに求められるのは,課題・問題解決の支援者であること,メンティー(メンタリングされる側)の悩み相談役であること,メンティーのキャリア意識を高める指南役であること,過去の貴重な体験や将来イメージの語り役であること,人脈ネットワークの道案内人であること,だそう。なんというか,相手の自立・成長を促すために,あらゆる方向から支援を提供する人とでも言おうか…。
本書も情報量は多め。図表もたくさんあるものの,正直読みにくい。図表にも情報量が多いことと,図表と本文がちょうどよく配置されっていないの問題だと思う。本文を読もうとするとページをめくらねばならない,図表が本文を先取りしていて図表を見てもなんの話かわからない,というのが多々あった。

◇「コーチングの教科書」伊藤守
タイトル通り,コーチングの基本事項,要点がまとまっている。初学者にも使えるが,コーチング実践者がコーチングで困ったとき,基本に立ち返りたいときに見返すのにも使える。コーチング関連本をたくさん書いている著者の本。
コーチングでは傾聴が超基本だが,なぜ傾聴が大切なのかをここまではっきりと書いているのは,これまで読んだ中で本書が初めて。人が新しく行動を起こそうとするとき,具体的なイメージを持つことで行動がより起こしやすくなる。具体的なイメージは,情報量を増やすことで持てる。それにはコミュニケーションを増やすことが必要。というのも,情報量を増やすには,情報を外から取り入れるだけでなく,自分自身の内側の情報をアウトプットすることで初めて自分の中にある情報を認識することができるから。よって,アウトプットする機会を与えるためにも傾聴が求められるというわけだ。
「オープン・シークレット」という言葉も本書で初めて知った。誰もが知っているような当たり前のことなのに普段忘れられていること。自分に非があるときは謝ること,一人ひとりはその人の人生の主役であること等。オープン・シークレットが多い場では信頼関係は築きにくいだろう。

◇「サッカーコーチングレポート 超一流の監督分析 【特別対談】岡田武史」小野剛
サッカーチームの超一流の監督とはどんな人物でどんな特徴を持った人なのかに迫る本。著者はJFAによるサッカー指導者の最高ランクである公認S級コーチの講習会のインストラクター経験もあり,その講習会の中身や,監督・コーチの養成,という視点での話もしている。そして,最後には岡田監督との対談も収録されている。
超一流コーチがもつ資質は,著者によれば,サッカーへの情熱と進歩への向上心・テクニシャンでありマネージャーでありリーダーであること,勝っても負けても次を考えられるメンタリティとのこと。これらの資質が,各監督の持つ固有のパーソナリティや価値観と融合し,個性豊かな唯一無二の監督・コーチになるのだ。
対談も興味深い。「監督の手法に万能レシピはない」ということ。サッカーは相手との関係で常に流れが変わるため,要素分解からの分析はあまり使えず,全体を見ることが必要で,そこには必ず勝てる方程式は存在しない,だから常に変え続けなければいけない。そして「リーダーで一番大事なのは登るべき山を持つこと」で,「自分の山に必死に登っている姿を見せること」。リーダーのそういう姿に人はついていく,と岡田監督は語っている。

39/122 読了