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2016/12/16

心理学実験やっています

今年に入ってから,学内で行われている心理学実験の実験者としての仕事をしている。自分の研究の実験ではなく,先生や院生の研究の実験を行う人として,参加者の人に実験内容の説明をしたり,実験手続きを遂行したりしている。現在関わっている実験は2つ。表象的慣性(動いているものが視界から消えたとき,それが実際に消えた位置からずれた位置で消えたと認識すること)に関する実験と,音楽の反復聴取と作業効率の関連についての実験だ。本日は,珍しくどちらの実験のシフトも入っていた。表象的慣性の実験については何度もやっているのでだいぶ慣れてきて,スムーズに終了。音楽の実験は今日が3回目。1回目2回目とトラブルが発生してひやひやものだったので,今日のは無事に終えることができてほっとしている。自分の研究の実験ならまだしも,他人の研究の実験なので,結果に影響を及ぼすようなミスはしたくない。

実験を実施して感じることは,まず,「参加者のみなさん,ありがとう」ということだ。上で述べた表象的慣性の実験については,2回私もテスト参加者として参加しており,音楽の実験については,現在行われている実験の予備調査のときに参加者として参加している。どちらの実験も,参加者にとってはけっこう負担が大きいように思う。表象的慣性の実験は,全体で2~3時間を要し,比較的単純なことを繰り返す課題をやってもらう。音楽の実験のほうは,1.5時間くらいを要し,こちらも同じく比較的単純な作業を繰り返してもらう。長時間単純作業を繰り返すことほど眠気や疲れ,イライラが募るものがあるだろうか。私はこれ以外にも,学内で行われている心理学実験にいろいろ参加してきたが,この手の実験が終わった後の解放感は半端ない。どんなよい実験パラダイムが思い浮かんでもやってくれる人がいなければ何の意味もないわけで,実験に参加するために時間を作ってくれる参加者がいるということは,ありがたいなと思う。

実験をしながら考えていたことがもう1つある。上で述べたような実験は,実験室実験と呼ばれている。現象の因果関係を導くために,原因となる変数以外の変数の影響が最小限にするべくコントロールされた状況で行うからだ。しかし,私たちが生きている現実は,いろいろな変数が絡み合って何らかの現象を起こしている。とすると,実験室実験の結果は,日常生活で起こっている現象をどれくらい反映するのだろうか。もう1つ実験室実験で気になることがある。それは参加者の人たちの取り組みだ。私も自分が実験の参加者であるときはそうするのだが,自ら実験に参加すると名乗りでてくれる人たちは,実験にとてもコミットしてくれる。実験者としてはそれはとてもありがたいことではあるが,そのコミットメントの強さが結果に影響を及ぼすことがある。やはり日常でのふるまいをどれくらい反映するのかが気になるところだ。

2016/12/15

研究をまとめ直してみたら

午前中から取り掛かっていたレポートが一段落ついた。大学での単位取得のため,今年の3月に発表した研究を,レポートとしてまとめなければならなかったのだ。発表時にある程度まとめていたのだが,改めて見直してみると,そのまとめ方が恣意的かつずぼらであった。こりゃまずい,と整理し直して文章化。元のものより分かりやすくなったと思う。が,しかし,やっぱりこの研究,客観的に見てあまり面白くないなと再認識してしまった。この研究の続きを進めてまた来年の3月に発表しないかと誘われているが,どうしたものか。

この研究については一度,ブログ内で言及したことがあった(http://yukiron.blogspot.jp/2016/03/1.html)。かなり付け焼刃な状態でエイッと進めてしまった。だから,興味を持ったテーマがぼんやりとある状態から,実験や調査可能なテーマへと絞り込んで,実験や調査の方法を選定するというプロセスをおざなりにしてしまった。たぶんそのせいだろう。なんとも薄っぺらい感じが否めない。実験やデータ分析自体は問題なく行えたため,結果もしっかり出ている。しかし,「私この時本当にこれ知りたかったんだっけ?」という思いがむくむく湧いてきた。

以前,面白い研究についての記事も書いたことがあった(http://yukiron.blogspot.jp/2016/09/blog-post_29.html)が,私面白いと感じた研究は,日常生活でなんとなく感じていることや目にしているものについて,「え,そんなことする必要が?」というくらいしつこく食いついた結果得られた新たな発見,という感じであった。なんというか,目の前で起こっている現実をベースに一つ一つ積み上げていくイメージである。では,私の研究はどうだろう。私が研究テーマを選んだとき,私も日常生活での気になることからスタートした。しかし,次のステップで先を急いだように思う。その気になることについていろいろ考えをめぐらす前に,すでに心理学の世界にある概念や手法を援用して,実験や調査を組み立てたのだから。それでは,薄っぺらい研究になってしまっても仕方がない。

なんとも後味が悪い。

2016/12/14

プロジェクト4日目の雑感

ブログを毎日書こうプロジェクト4日目になった。2日目の月曜日,3日目の火曜日,そして今日,と3日連続でいつもより少し早く起きてブログにとりかかるようにしている。朝の時間だけでブログを書き終えることはできていないが,1日を通して振り返ってみると,前よりも余裕のある1日を過ごせているような気がする。やることは増えているのに,他のことが,ブログを書くということを筆頭に組織されて,収まるべきところに収まっている,という感じである。

この変化は何に由来するのだろう。とりあえずまだ4日目なので推測の域を出ないのだが,考えなければならないということと,リミットを設けていることが効いているように思う。当たり前だが,ブログを書くには考えなければならないのである。それも,朝早く起きてブログのための時間を設けているので,朝から何かしら考え始めている。私はもともと朝の時間を,ストレッチやマインドフルネス,オンライン英会話などをする時間にあてていて,あまりぼんやり過ごしていない気でいたが,思えばどれも,それほど考えなくてもできることである。いや,オンライン英会話においては考えなければできない。でもブログを書くほうが考える量が多く,深度が深い。何を書くかは一日の細切れの時間で考えていることが多いが,決まるまでは頭のどこかにそれがあって,今その場で経験していることもブログ記事に昇華させられるかを考えていたりするので,ただなんとなく時間を過ごしているということが減っていっているように感じる。また,ネタが決まりさぁ書こうとなって書き始めてからも,時間は待ってくれないからなんとなくパソコンの前に座っているわけにいかない。頭の中で思っていたぼんやりしたことをより明確に文章で表現すべく,集中することが求められる。とはいえ,一気に最後まで書き上げられないから,これを1日に何度か繰り返すことになる。

つまりは,1日1つ記事を書くというゴールに向けて思考が動く→考えるという行為により,その時間を凝縮された時間として経験する→結果的にメリハリができて,余裕を感じる,ということではなかろうか。

どこまで私は続けることができるのだろうか。とりあえずがんばってみよう。

2016/12/13

長期増強と長期抑制

来週,認知神経科学のテストがある。そこで,テスト勉強がてら講義で学んだことを少しまとめておこうと思う。まずは長期増強(LTP: long term potentiation)と長期抑制(LDP: long term depression)について。「ヘッブ則」という,神経科学分野においては基本かつ重要概念も一緒にまとめる。このヘッブ則,昨年別の講義でも習い,よくわからなくて先生に聞いたのだが,それでもいまいち理解できなかった。しかし,先生が変われば説明も変わるわけで,今回の講義で理解がすすんだ。

長期増強と長期抑制は,学習に関わる概念である。心理学における学習とは,経験によって比較的永続的な行動の変化をもたらす操作,およびその過程を指す。一般的に学習と聞いて思い浮かべる概念とは隔たりがある。さて,では経験によってなぜ行動が変化するのか。神経科学によるその答えは,経験は,ニューロンのシナプス形成や刈り込み,強度変化などをもたらし,神経回路を変化させるからである。端的にいうと,経験は脳内の情報伝達ネットワークを変化させ,それによってそれまでとは異なる行動が生まれるというわけである。

可塑性があるため,経験によって神経回路の形成が変わるわけだが,神経回路はそもそもどのようにできていくのだろうか。まずニューロンは,脳内の脳室の表面の脳室帯で発生することが知られている。神経幹細胞は発生後上に上っていき,辺縁帯と呼ばれるところに到着すると,核の情報を2倍にし,脳室帯へと下がっていく。そしてそこで細胞分裂を起こす。垂直分裂を細胞からは新たな神経幹細胞が生まれ,また辺縁帯へと上がっていき,細胞の生成に寄与する。一方で水平分裂をした神経幹細胞からは,新たな神経幹細胞のほか,ニューロンやグリア細胞へと変化する細胞が生まれる。細胞が増えるにつれて脳の容量を上に上に増やしていく。その際,新しくできたニューロンたちは,遊走しながら適切な他のニューロンを引き付けて,自らの役割を定めていく。どこにあるニューロンがどこにあるニューロンを引き付けるかは決まっている(化学親和性仮説)ものの,神経回路には可塑性がある。だから伝達される活動電位が少ないニューロン間の結びつきは離れ,伝達される活動電位が多いニューロン間での回路が構築されていくのである。

「ヘッブ則」というのは,まさにこの活動電位の伝達と神経回路に関する法則である。あるニューロンが活動電位を生じ,それによって他のニューロンにも活動電位を生じさせたとき,そのニューロン同士の結びつきが強くなる,という法則だ。この結びつきが強くなるときにニューロンで起こっていることは,シナプスの構造の変化である。活動電位は,あるニューロンの軸索から他のニューロンの樹状突起へと伝わる。あるニューロンの軸索と他のニューロンの樹状突起は,くっついているわけではなく,シナプス間隙と呼ばれる隙間がある。あるニューロンで生じた活動電位は,軸索の先まで来ると化学物質(グルタミン酸)を放出するのだが,その放出された物質をほかのニューロンの樹状突起にある受容体(NMDA受容体,AMPA受容体など)が受け取ることで,そのニューロンに活動電位が伝わるのである。この現象が2つのニューロン間で繰り返し起こると,活動電位を受け取る側のニューロンが,樹状突起のAMPA受容体の数を増やすということが起こる。それによって,よりたくさんのグルタミン酸を受け取れることとなり,そのニューロン間の結びつきが強くなるのである。

長期増強と長期抑制は,このヘッブ則を元に成り立っている現象である。長期増強とは,活動電位を伝えられるほうのニューロンが高頻度で発火していたり,また発火しているときに,そのニューロンと結びつきのあるニューロンが同期して活動すると,そこの結びつきが強まるという現象だ。活動電位は,活動電位を発しているニューロンの軸索を通じて他のニューロンに活動電位を発生させるだけでなく,樹状突起から他のニューロンの軸索へと逆行して伝達されるため,同期した活動が生じる。一方,長期抑制は,長期増強と反対の現象である。つまり,活動電位を伝えられるほうのニューロンが低頻度で発火していたり,また発火していないときに,そのニューロンと結びつきのあるニューロンが同期して活動すると,そこの結びつきが弱まるという現象である。長期抑制のときには,活動電位を受け取る側のニューロンの樹状突起のAMPA受容体の数は減る,という構造変化が生じている。


参考資料
認知神経科学講義資料
中島義明ら編「心理学辞典」

2016/12/12

ゲームで鍛えられること

「ポケモンGO」をプレイしながら最近感じたこと,それは,ゲームで忍耐力や自制心を鍛えることできるのかもしれないな,ということである。

私は「ポケモンGO」をリリース直後の今年の7月後半から始めた。途中数週間放置していたこともあったが,再開し,今は,歩いているときにはアプリを起動して地味に続けている。目的地―駅間でのプレイが中心だ。そんな調子でやっているから,なかなかポケモン図鑑がコンプリートできない。一日に歩く時間なんて数分×数回だし,ポケモン探しに遠出もしない。それに課金もしない。ネット情報によれば,一定のエリアにしか生息しないポケモンがいるらしいので,それらを捕獲することは保留にしたとしても,比較的広範囲に出現するポケモンや,今持っているポケモンを進化させればいいポケモンについてはコンプリートを狙いたい。だが,進化させるには,プレイ時間を増やさざるをえない。さっさと全部集めたいが,「ポケモンGO」を優先させる生活はしたくない。そうすると結果的に,コンプリートまでにはまだまだかかることとなり,私の忍耐力と自制心が試されている気がしてくる。

道を歩いていて,ポッポやコラッタ,ズバットなど,いつも目にするポケモンばかり出てくると,かなりイラッとする。しかし,それでもたまにレアなポケモンが出てくることがあるし,とりあえず歩けばタマゴを孵化させてポケモンをゲットしたり,進化に必要なアメがもらえたりするので,起動する。レアなポケモンに遭遇しても,簡単にとれときばかりではない。今のところ捕獲率のが逃す率よりも高いが,逃すとけっこ悔しい。あぁ,コンプリートが遠ざかったと…。あとは,例えば駅について次の電車が来るまでに時間があるときには,駅の周りを散策したりする。そうすると,たまに新しいポケモンに出会ったりして,気分がとても良くなる。そんなこんなで,イライラしたり,悔しい思いをしたりしながら,日々の他の様々なことと折り合いをつけつつ地味に続けている。

結果として,図鑑にいるポケモンの数は徐々に増えてきた。本日現在,115/149種類を手に入れている。純粋に嬉しい。まさか「ポケモンGO」で長期間続けることのメリットを感じるとは思わなかったが。

もうひとつプレイしているゲームに「イケメン戦国 時をかける恋」という恋愛シミュレーションゲームがある。私は課金をしないでこれまた地味にプレイしているのだが,これも非常に忍耐力と自制心が試されているゲームである。課金をすることのメリットはいろいろあるのだが,私が最大のメリットだと感じているのは課金することでしか読めない特別ストーリーがあるということだ。「もっと甘いストーリー」だそうで。好きなキャラについてはとても読みたいのだが,課金はせぬという固い決心のもと,衝動を飼い馴らしている。

楽しむために始めたゲームだが,それ以外の使いみちもありそうだ。

2016/12/11

ブログを毎日書くために

ちょっといろいろあって,今日からブログを毎日更新することに決めた。とりあえず3ヵ月間,毎日更新を死守するつもりでいる。今これを書いている私の頭の中では,「え,ほんとにやるの?」「あんたほんとにできるの?」という声ばかりがこだましている。というか,それが私の本音だと思う。そういう状況の中,今まで何かをやろうとしたことはほとんどない。でもとりあえずがんばってみようと思う。今までの経験上,気負い過ぎるとダメになるので,気軽な気持ちで,でも適当にはせずに。とにかくやってみようと思う。

毎日ブログを更新するということは,当たり前のことだが,毎日何かを書くということである。そのためには挫折の要因になるような問題をできるだけ取り除いておかなければならない。今思いつくのは,「え,何書くの?」問題と「え,いつ書くの?」問題である。

まず,「え,何書くの?」問題について。このブログは一応,2014年8月の開設当初から日々の生活で感じたことや考えたこと,学んだことを書くということで運営している。この方針,開設時に特にこれといって書きたいテーマがあったわけでもなかったのでなんとなくそう決めたのだが,今改めて考えてみると,自由度がとても高い。私は自由度が高いとかえってやりづらいと感じるタイプの人間だ,と自分のことを感じている。しかし,日々生活する中で何かしら,たとえ小さなことであっても,感じたり考えたり学んだりしていることは確かだと思う。なら,書けること(ネタ)はいろいろあるはずだ。ということで,今後も今の方針を踏襲し,日々感じたこと,考えたこと,学んだことを書いていこうと思う。書けることはいろいろあっても,それをブログに文章という形で落とし込む,となると一気にハードルが上がるように思える。実際,ブログを開設した当初~ちょっと前までは,ちゃんとしたものを書かなくちゃとか,人に見られているんだ,という見えないプレッシャーを感じてなかなか書きづらく,かなり窮屈な思いを抱えながらなんとか記事としてまとめ,アップしていたものだ。とりあえず最低月1回は更新したいという気持ちもあったので,それに背中を押されてなんとか書いていたところもある。今だって,ブログを書くという行為は私にとっては自然にできることではない。でも,少しだけ前よりハードルが下がったような気がしている。書くときの窮屈さが少しとれて,前よりも記事を書きやすくなった。だから,その変化をばねに書き続けてみようと思う。

次に,「え,いつ書くの?」問題である。これまでの経験からいえば,私はブログの記事を1つ書くのに1時間以上,考えがまとまらないときには数時間を要している。現行の毎日のスケジュールでは毎日そんなに時間を割くことはできない。というわけで,現行の毎日のスケジュールを変えつつ,ブログを短時間で書くにはどうすべきかを考えなくてはならない。とりあえず,明日からブログは朝取り掛かろうと思っている。なぜなら,習慣化するためには,毎日固定でこの時間はこれをする,としたほうがやりやすいからである。とすると,私が毎日固定で自由に使える時間帯は朝学校などに出かける前と,夜家に帰ってきてからしかない。夜はそんなに早く帰ってこないし,基本疲れているし,眠くなるし,お酒飲んだりもあるだろうしで,挫折するための潜在的要因が多すぎる。朝にも起きられないというリスクはありそうだが,たとえ寝坊したとしても,その日はまだ昼と夜があるわけで,朝の失敗を埋め合わせることは可能だと思われる。とはいえ,早寝して,朝に書くようにしよう。そして,書き上げる時間の目標は30分~1時間とする。そんなに早く起きられないし,出かけなきゃいけないのにそんなにちんたら書いている余裕はないからである。では,短時間で記事を書くためにどうするか。単純に書く量を減らせばよいだろう。つまり,無理に記事を長くすることはない。それから今思いつくのは,常に考えていなさい,ということだろうか。先程も述べたように,記事になりうるようなネタはいろいろあるはずなので,感じたことや考えたことが流れていってしまう前に,それについて考えをすすめたりまとめたり,ということを意識的にやるようにしていく,それを心がけていけば早く書けるようになるんではないだろうか。言うは易し,行うは難しだが。時間についても,この心がけについても最初は難しいかもしれないが,徐々にできるようになれたらと思う。

ということで,1日目を終えようと思う。このやり方がうまく機能しない場合は,他のやり方を考えるまでである。