自己紹介

自分の写真
オンラインで英語個別指導します https://yokawayuki.com/service

2018/11/13

コーチング関連本を読んでるよ Week 1

コーチング関連本,122冊読了しよう企画をやっております。

◇「子どもの心のコーチング―一人で考え、一人でできる子の育て方」菅原裕子
30年超にわたって人材育成,人材教育分野で働いている女性が,自分の仕事経験や子育て経験を生かし提案する,幼児期~児童期あたりの子どもに対する子育て論。自立した子にするために,子どもをどう育て関わっていくのがいいかが書かれている。内容はシンプルでわかりやすく,具体的なエピソードもたくさん盛り込まれており,すっと理解できた。
この本の中で彼女が示す子どもに教えたい3つの力は,愛すること・責任・人の役に立つ喜び。それぞれの概要を述べると,親が子を愛することで子に自己肯定感が生まれ,他人も愛するようになる。また,過剰なヘルプは子に与えないが,子が甘えてきたら受け入れる。自分が巻き起こしたことによって生じた結果を子に認識させ,受け入れるように誘導する。子がしてくれたことに対して,嬉しさや感謝を正直に伝える。といったこと。このほかにもしつけの仕方や子どもとのコミュニケーションの仕方についても書かれている。
独断でまとめると,彼女の子育て論の基本姿勢は,子どもを1人の独立した人間とみなし,誠実に接していくことではなかろうか。
この手の本を読むと,未だに自分の親との関わりが自然に思い起こされてしまい,ふつふつ吹き出てくる感情やら言葉があるよ。あぁ私の未完了案件よ…

◇「コーチング・バイブル―人がよりよく生きるための新しいコミュニケーション手法」ローラ・ウィットワース,ヘンリー・キムジーハウス,フィル・サンダール
コーチング・バイブルというだけあって,コーチングの教科書のような内容。コーチングの基礎,コーチングに使用されるスキル(傾聴,直感,好奇心,行動と学習,自己管理),どこに焦点を当てながらコーチングするか(フルフィルメント,バランス,プロセス),クライアントが陥りがちな心理状態,実際のセッションの進め方と使用できるツールなどが盛り込まれている。読みやすい文章で,理解もしやすい。
この本では,”グレムリン”という言葉がたくさん出てくる。グレムリンとは,変化しよう,上昇しようという気持ちをくじく,心の声のようなもの。こいつは経験や他人を持ち出して,あたかも自分が正しいかのように理屈をこねて当人の心を砕いていく。しかも奴は賢い。コーチは,クライアントのグレムリンを受け流し,振り回されないようにし,クライアントがグレムリンに囚われないように導きサポートしていくことが求められる。と同時に,コーチ自身も自分のグレムリンと戦い,凌駕し続けていく必要がある。
またこの本を読んで感じたのは,自分を知ることから始めて変化を起こしていくということ。表層的な自分ではなく,もっと深く自分を知るということである。そのため,コーチング場面では,コーチはクライアント自身が自分を知ることができるよう,根気強く導いていく(自分を知るということはそう簡単にできるものではないため。)。コーチ自身も,もちろん自分を知らなくてはいけない。

◇「吉井理人 コーチング論: 教えないから若手が育つ」吉井理人
コーチングといえばスポーツ!と遅ればせながら最近気づいた。スポーツ関連のコーチング本を読むのは初めてである。
日ハム投手コーチによる,自身の経験と大学院での学び,研究をふまえて書かれた内容になっている。彼の基本姿勢は,”自分で問題を解決できる力”を選手に身につけてもらうこと。そのためにコミュニケーションを工夫しながら選手たちと接していく。彼は選手をとてもよく観察しているし,その観察結果をもとに,杓子定規をせず,考えながら選手と関わっているのが伝わってくる。
この本で面白かったのは,野球選手たちと吉井コーチとの具体的なやりとりが知れたこと。野球選手といえば,私にとってはメディアに映る姿しか知らない遠い遠い存在である。そしてメディアに映すのは彼らのかっこいい姿。でも,メディア外の彼らも,悩んだり,混乱したり,困ったりしながら日々を過ごしている。その姿が本で垣間見えて,心がちょっと温かくなったし,安心もした。

◇「アスリート・コーチングBOOK―日本一の指導者に聞いたコーチング術」高畑好秀(監修)
総勢14人のスポーツコーチが,自身の育てている選手との関わり方を語る1冊。現場で実際に起こったエピソードも盛り込んであって,興味を引かれる内容だった。
今回コーチングを学ぶためにコーチング本をいろいろ読んでいるわけだが,自分自身へのセルフコーチングにも活かせるtipsがいろいろ書かれていて,そっちに意識が持っていかれた。例えば,シンクロの井村コーチの主張 ”理屈ばかりが先に立つ選手は,ついて来られなくなります。言葉から入って,身体に動きを教えて,それから言葉と音楽と合わせて…という段階を経ないと実行できない選手は伸びません。反対に,指示を聞きながらイメージすることを覚えて,頭を高速回転させながら練習できる選手は,必ず伸びていきます。” ”いい演技ができているとおもったときの筋肉の感じや感覚がわかったからといって,いつも調子のいいときの自分に当てはめようとするのは,非常に苦しいものだからです。いつもの真っ直ぐじゃ,こんな風になっているけれど,今日は違うから微調整することで…修正する手立てを覚えるようにアドバイスします。” 例えば,水泳鈴木コーチの主張 ”結果以前にレースをきちんと組み立て,どうやったら自分の力が最高に発揮できるかということを,選手自身に考えさせなければ駄目だということを痛感しました。” サッカー岡田監督の主張 ”一番良いところはどこなのか,自分の売りはどこなのかをわきまえろ。” などなど。

◇「10代の子どもの心のコーチング―思春期の子をもつ親がすべきこと」菅原裕子
先日upした「子どもの心のコーチング」の著者による,思春期の子に対しての子育て論。「子どもの心のコーチング」に書かれていたことと基本方針は変わらない。愛すること,責任を教えること,人の役に立つ喜びを体験させること,の3本柱が中心だ。だが,それらに加えて思春期の子には,これまで以上に”真摯に向き合うこと”を主張している。なぜなら子どもは,親の適当さ,一貫性のなさ,気持ちの入っていない言葉などを簡単に見抜く。ましてや思春期は,心身ともに子どもにとっても振れ幅が大きくなる時期。だからそういう親の態度は子どもの自立に影響を与えかねない。また著者は,親が子に気持ちを伝えることも強く勧めている。好き,嬉しい,助かった,ありがとう…それらの言葉と想いは子どもたちの力になっていく。大人だってそうだもんね。

◇「ポケット図解 コーチングのツボがわかる本[第2版]」土岐優美
タイトルどおり,コーチングの基本とされていることがまとまっている。見開き1ページで1つのお題。イラストも多く,薄いので比較的短時間で読み終えられる。
この本にはいくつかの例題が載っているのだけど,あまりにもうまくことが運びすぎている会話例というか,不自然というか,現実味が低いように感じるというか,そんな感じで読んでいるときに少ししらけてしまった。
一方,興味深かったお題は「見せかけの質問」。「何度言ったらわかるの?」「やる気あるの?」等,問題を起こした人を非難するような質問の大半は,自分の立場や役割を守るため,自分の満足や納得のためのものとのこと。相手からの答えを望んで,相手を知りたくて,相手のためになると思ってする質問ではないからだ。

◇「コーチングで子どもが伸びる!」デーヴィッド・へメリー
元オリンピックメダリストによる,コーチングを取り入れた子育て論。叱り方,責任感と自立心の育て方,やる気を出させるための接し方などが書いてある。質問例も豊富に記載。
子どもの気持ちや意見を具体的に知るには,質問の仕方を変える必要があるし,また,子どもの一言や行動ですべて分かった気になってはいけない,ということを心に留めたい。相手を知るために質問を掘り下げていくことは,質問者次第でいかようにもできそうだ。筆者は例えば,こどもが泣き言を言ったときに,「1-10のレベルでどのくらい困っているの?」と問いかけることを勧めている。質問することで,子どもは(困っている状態を)親に認めてもらえていると感じるし,自分自身を客観的にみれるようになるとのこと。

◇「サムライ審判「白熱教室」―世界の舞台で見たハイクラスコミュニケーション」平林岳
日本とアメリカ双方で野球の審判経験がある著者による,日米の野球に対する考え方の違いがメインの内容。コーチングの話もちょっと出てくるが,コーチングの基本精神と情熱を伴ったコミュニケーションの重要性を語っている。また,松井選手とイチロー選手のすごさも語っている。
日米の野球観の違いは初めて知ることばかりだった。アメリカでは,審判が絶対。たとえ審判がミスをしてもそれも含めて選手や観客は楽しもうとし,たとえミスを抗議したとしても,判定は絶対に覆らないことを知っているから,審判,監督がそれぞれの立場を互いに理解した上での抗議になるとのこと。日本では,審判のミスは,選手や監督,観客から厳しく追求されるらしい。また,アメリカでは,選手個々がそれぞれに力を発揮し,楽しんで野球をすることに焦点があたっており,自分のプレイがどうすればよくなるか,考えさせることが主流。指導者はミスには前向きな声がけをし,攻めの野球が行われる。日本では,チームの勝利に焦点が当たっており,手取り足取り教えることが主流。ミスは叱責される傾向にあり,守りの野球をしがち。らしい。
ミスを責められることが刷り込まれていると,萎縮しちゃうよねというのは,経験上私自身も感じること。ミスしても大丈夫,ミスのあとはどうするか,そういうふうに思考を持っていけるように学習させることが必要なんだろうな。

◇「子どもの能力を引き出す親と教師のためのやさしいコーチング」大石良子
小学生向けのコーチング本。元小学校教諭が書いていることもあって,教室でできるコーチングを取り入れたコミュニケーションや,実際に筆者と児童,親との間に生じたやりとり(児童に問題発生,筆者が介入し,改善へと導くまで)が複数紹介されていて,ケーススタディが可能である。
教室でできるコミュニケーションはとてもシンプルなものだ。4-5人くらいのグループに分けて,何して遊びたいかや,こんなものあったらいいな,とか子どもにとって身近で話しやすい話題をテーマに話し合いをさせる。そのときの肝が,一人ひとり同じ時間,順番に話をさせること,それ以外の子どもは相槌やうなずきをしながら聞くこと,そしてその人が話し終わってから質問をすることである。話す側にとっても聞く側にとっても,余裕をもってコミュニケーションができるし,話すことに自信が生まれ,聞く習慣をつけるのにも効果的だろう。このやり方は,もちろん家庭で家族の間でもやることができる。
ケーススタディは,けっこう新鮮だった。普段小学生と接する機会はないし,自分が小学校のときは自分のことで精一杯で他の子がどんな状況でいるかなんて気にも留めたことがなかったから,こういう子もいるのか…と感じながら読み進めた。筆者の観察力,直感,適材適所なコミュニケーションはさすがであった。

◇「合格力コーチング」江藤真規
現役コーチとして働く著者による,子どもにどう接していくべきかを自分の経験も踏まえつつ書いている本。中学受験の子を持つ親からの要望で書かれた本のようで,対象は中学受験をする親子がメインだが,中学受験とは無縁の親子も活用可。自分で自分の人生を考える子にするために,親は子とどのようにコミュニケーションをとるか,子に何をやらせるか,をコーチングで用いられるスキルや理論をベースにして語っている。親の気持ちを汲みつつ,代弁しつつ,丁寧な言葉で話を進めていっているのが印象的だった。また,コーチングを学び,子どもに対する接し方をを変化させていく中で,著者本人の考え方や生き方にも変化が訪れたらしく,そのあたりもけっこう書かれている。

◇「子どもが伸びる!魔法のコーチング」東ちひろ
教員、教育カウンセラー経験のある著者による、対子どもに、コーチングを取り入れたコミュニケーションをどうやるかが書かれている。褒め・聞く・伝えるを中心に、様々なケースを紹介しながらまとめている。
また、この本では、スキンシップの重要性も書かれていた。手をつなぐ、頭をなでる、体を拭いてあげる等、スキンシップは子どもの心を安心させる。

◇「部下を伸ばす技術 コーチング」宍戸由希子
人材育成に関わる著者による,組織で使えるコーチング。アメリカ人の著者によるコーチング関連本を翻訳したこともあるとのことで,コーチングの手法を取り入れたアメリカ企業の事例を複数取り上げている。また,コーチングを「相手の自己実現をサポートする考え方・手法」とし,自己実現は「自分の個性通りに生きる」と定義している。著者が提示するコーチングのスキルは、モデル・ガイダンス・フィードバックである。コーチはクライアントに、自らをモデルとして見せ、質問を通して、クライアントの目標や気持ち、現状を把握、かつ、自分で行動を決められるよう導き、クライアントの変化に対するポジティブフィードバックを行うのだ。
また本書には、セルフコーチングのやり方と、ワークシートが載っている。目標の立て方や、目標達成をイメージするメンタル・プラクティス、自分にとってのモチベーションややりがいを掘り下げるときに使えるシート、思考チェックなどが含まれる。
人のコーチをする前に、まずは己を整えよと…まったくそのとおりだよね…


◇「質問で学ぶシンプルコーチング」マツダミヒロ
コーチングに関するキーワード31個を,短い会話と解説,4つの質問で紹介している。4つの質問は,それぞれのキーワードを理解したり,自分について考えるためのものでワーク式になっている。たしかにシンプルイラストもたくさんでわかりやすい雰囲気だが,説明不足感が否めない印象。流し読みなら流せるが,じっくり読もうとすると,なぜこの言葉を使うのだ?という箇所があったりして(ex. 自然体:どちらにも傾いていない→ニュートラルな立ち振舞い と言っているが…),いまいち理解できないところもあった。記載されているキーワードがコーチング場面で役に立つことは確かだと思うが,どういう状況で/どういう文脈でそれらを用いるかに触れられていないので,具体的にこんな感じで使うというイメージがわきにくい。

◇「子どもの「やる気」のコーチング」菅原裕子
菅原さんの著作,今週3冊目。今回はタイトル通り,子どもにやる気を出させるための土台作りとコミュニケーションに焦点を当てている。土台は,自己肯定感と有能感と人の役に立つ喜び。子どもの話を聞いて受け止め,子どもを信じて仕事/活動を任せ,子どもが親にしてくれたことに対して感謝や嬉しさを伝えることである。
子どもに任せることの重要性は,納得のいくものばかりだった。子に任せず親がなんでも子に代わってやってしまうと,子は自分で何かをしようという機会も,自分はできるんだと思える機会も奪われる。また,失敗から学ぶことや,責任を学ぶ機会も奪われる。結果,人任せで責任感のない子が誕生する。そんな子に大きくなってから,なんでこれができないんだ?,なんでこれをやらないんだ?と言ったところで,子どもが酷である。
心理学分野でよく登場するモチベーション関連の知見(SDT理論や,内発的動機づけにおける褒めの影響)もベースにしている。
親は子の話を聞いていると思っているが,実際のところ聞いていない。親がしているのは,親が聞きたいことを聞いているだけである。このあたりのことが,具体的な会話例を元に書かれているのがわかりやすかった。子どもが何かを話し始める。親は自分のフィルターを通してその話を聞き,解釈し,反応する。しかし,その解釈は往々にして子が期待していた解釈ではなく,子に質問するにも,自分が得たい情報についての質問で終わる。結果,子は伝えたかったことが伝えられず,場合によっては詰問となり,メンタルが削られていくという…これは,親子間にかかわらず,大人同士でもよくあることだろう。「聴く」ために,著者は,異文化の人と接すると思って子と接するように勧めている。
本書の最後には,簡易エニグラムテストと,9つのタイプそれぞれに関して,概要,親の特徴,子の特徴がまとめてある。

18/122 読了

2018/11/06

コーチング関連本を読んでるよ Week 0

コーチング関連本,122冊読了しよう企画をやっております。

◇「図解コーチングスキル」鈴木義幸
実際のコーチング場面で行われている手法の紹介本。筆者はコーチングを,「相手を育て,目標達成に導くためのコミュニケーションの技術」と言っている。部下が目標を達成しない,部下がいつも不平や不満ばかりいってくる,自分のグループの雰囲気が悪いなど,職場の部下のこんなことに困っている,というシチュエーションのもと,それに効く手法を41個提示しそれぞれ見開き1ページで簡潔に説明している。イラストもシンプル,で色もそれほど使っていないため,読みやすく理解しやすい。とはいえ,体系だって書かれていないので,バラバラした感は否めない。
手法を読んでて感じたのは,相手に負荷がかからないコミュニケーションを提唱しているということ。例えば,なぜは問わずに何を問うこと。なぜは責任追求の響きがあるため,言われた方は防御に走ってしまう。何を問えば客観的に問題を捉えることが可能となる。例えば,相手がすぐに答えられる質問から始めること。会社をどうしていきたいと思っているのか,どういうビジョンを持っているのか,というのは,漠然としていて答えにくい。だから,お昼何食べた?などの答えやすい質問からスタートする。

◇「図解 コーチング流タイプ分けを知ってアプローチするとうまくいく<」伊藤守,鈴木義幸
コーチングの世界でも,”人のタイプ分け”があるようだ。他者とのコミュニケーションスタイルによって4タイプ(コントローラー・プロモーター・サポーター・アナライザー)に分かれるらしい。この本には,タイプ判断の仕方,タイプごとの特徴,タイプ別のコミュニケーションのとり方が載っている。
タイプを知るためには,いくつかの質問に答える必要がある。この本に載っているのは,簡易版のテスト。20問の質問に答え,その質問の答えを得点化し,その得点をもとに回答者がどのタイプかが決まる。早速やってみたところ,私はサポーターとアナライザーの得点が,コントローラーとプロモーターの得点に比べて高い傾向にあった。それぞれの特徴を自分に照らし合わせてみると,あぁ,そういうとこあるわーもありつつ,私こんなだっけ?というところもありで,正直あまり釈然としていない。しかも,この本にも書いてあるが,たいていの人は2つくらい強い要素が出てくるらしい。ちなみに私が得点の高かったサポーターとアナライザーは,記載の4象限にマッピングされた図によればそれぞれ,感情表出高い×自己主張弱い,と 感情表出弱い×自己主張弱い だったのだが,感情表出に関してはどっちやねんという感じ。とりあえず自己主張が弱いということは分かったが…。
質問からのタイプ分けはいまいち腑に落ちなかったものの,それぞれのタイプにどういうコミュニケーションをとると効果的か,についての内容は面白かった。重要なことは,同じ内容を伝えるにも伝え方は一つではないということではないか。相手が何を好み何に価値を置いているかを考慮し(この本でいうところのタイプともいえるが),それらを利用しながらコミュニケーションをとる。そうすることで無駄な勘違いや摩擦,ストレスが減っていくことだろう。
とはいえ,相手を知るということが一番難しいんだよな…

◇「図解 他人を動かすのが上手な人の「心理術」―明日からすぐに、そしてずっと役に立つ!」伊東明
コミュニケーションにおいて主導権を握り,自分の意図したように相手に”快く”動いてもらうためのテクニックが載っている。具体的には,質問の仕方や,お願いの仕方,自分の話の聞かせ方などが,例を伴って書かれている。
これらのテクニック,書かれている理屈は比較的理解しやすいように思う。が,実際にやるとなるとけっこうハードルが高い,というより一朝一夕でマスター!というものではない。その差をガツンと感じさせる。
この手のコミュニケーションを成功させるには,そもそも人を意図的に動かすことに対して心理的抵抗があっては難しい。そして,自分が相手に求めていることをはっきりさせること。さらには,相手の人となりを踏まえつつ,実際に相手との会話を繰り広げる前に,自分の頭の中で会話の全体像をデザインし,かつシミュレーションしておかないと,運任せの結果にしかならないだろう。

◇「図解!成功する人の「心と脳の習慣術」超実践セルフコーチングで生まれ変わる!」辻秀一 
スポーツ心理学をベースに,”揺らがず・とらわれず”状態の心を保つためにはどうしたらいいかを示している。人の心は,環境・経験・他人によってさまざまな影響を受ける。自分がどんなときにどんな影響をそれらから受けるかを把握し,自分の発する言葉,態度,表情,思考に注意を払って生活していきましょう,ってことが概要で,与えるをする,チャレンジする,リスペクトする,応援する,根拠なく自分を信じる,今に焦点を当てる,といった推奨行動も書かれている。本で知識を得て,実践して,シェアすることで身につけていきましょう,と言っている。
印象に残った内容は2つ。1つは,チャレンジ精神とは,一生懸命やることではなく,自分の居心地のよい事と違ったことを,ちょっとの勇気を持って考えたり,行動したりすること,ということ。もう1つは,(結果や根拠に関係なく)まずは「信じる」と自分で決める ということ。

4/122 読了

2018/05/26

漫画記 花田陵「デビルズライン」

「デビルズライン」がめっちゃ面白い。ここ数ヶ月,はまってます。もうこの漫画は,何度も読み返したい漫画ランキング(私基準)トップ3に入る。なぜなら,読み返すたびに感情が動くし,何かしら発見やら思うところが出てくるから…。読み応え大の漫画です。既刊は現在11巻,雑誌はモーニング・ツーで連載中。続きがめちゃくちゃ楽しみだー!

私は漫画が好きでよく読んでいるのだが,好きになる漫画に傾向があることが分かってきた。ざっくり分けると2つ。からっと笑える恋愛漫画と,人間関係,人の気持ち,感情についてどこまでも考えさせられる漫画である。「デビルズライン」は,完全に後者。ストーリーに深みがあると思う。世の中で常識とされていることに「そうなの?」って問いかけてくるような感覚。最初の1話はけっこうなスピード感と衝撃を伴って話が展開し,その後数話は,主人公とヒロインの恋愛話が進んでいくのかなーと思いつつ読んでいると,登場人物がどんどん増えてきて,しかもその登場人物たちはそれぞれの背景のもと,社会を変えようと行動を起こし,人との関係をそれぞれのやり方で築いていこうとする…。割り切れるような答えじみたものはなく,複雑に話が進んでいきます。それに登場人物たちの心情描写がとても丁寧(個人的にはココ重要!)。彼・彼女たちが,今何を考えていてどういう気持ちでいるのかがリアルに伝わってくる。それは,それぞれが発する言葉(登場人物同士での会話もそうだし,それぞれのモノローグもそう)からはもちろんだし,表情からも伝わってくる。作者の花田さん,切ない気持ちを抱える男性の表情を描く天才なんじゃなかろうか…。けっこう多い主要メンバーのキャラ設定,作り込まれていると思います。

好きな漫画には好きなキャラが必ず存在するよね!ということで,「デビルズライン」に関しては,私は,主人公の安斎さんがとても好きです。彼は少し不器用ですが,本質的にはまっすぐで優しい。それに外見もイケメンですし…。それに設定上,電柱から電柱へ跳べるのですが,それもかっこよくないですか!

興味を持った方!ぜひぜひ試し読みを。講談社の公式サイトで3話分読むことができるほか,http://morning.moae.jp/lineup/151 LINEマンガでも公開中。こちらは,1話を2つに分けて公開しているので,17話分無料で読めます。https://manga.line.me/product/periodic?id=0000auem
ちなみに現在,アニメも放送中。http://devilsline.jp/ アニメも面白いし,主要人物の声がキャラと合っていていいですね!個人的には,李さんの声(CV:木村良平さん)がとても好きだ…。でも,原作よりも話の進み方が早く,はしょっている場面も多いので,個人的には漫画を読んでいただきたい!

2018/05/11

愛おしきモブたち in ウォーリーをさがせ!

先日まで銀座松屋で開催されていた「ウォーリーをさがせ!展」(http://wally30.jp/)がめっちゃ楽しかった!ウォーリー誕生から30年間…代表的なウォーリー作品と,作者マーティン・ハンドフォードが若い頃に描いた作品,合わせて150点の作品が展示されていた。彼の作品を観るのはなぜこうも楽しく興奮するのか!


私は子どもの頃からウォーリー作品が大好きだ。今でもはっきり覚えている。小学生のとき,子どもの手には少し大きめのウォーリーの本を開いて,隅から隅まで必死で眺めて,ウォーリーとその仲間たち(ウェンダ,ウーフ,しろひげ,オドロー)を探していた。さらには彼らの落とし物(鍵,カメラ,骨,巻物,双眼鏡)や巻末のリストに難易度高なものまで探していた…。そして私のウォーリー探しは,本の中だけにとどまらなかった…!数年前,スマホアプリ「Wald & Friends」(https://www.playstoresales.com/app/waldo-and-friends/)をダウンロード,こちらでもウォーリー探しに勤しんだ。その結果,公開分は全てクリア。さらに,今年のエイプリルフールあたりに,Googleマップで展開されていたウォーリーとその仲間たち探しももちろん全部クリア。「どんだけウォーリー探してんだ,我!」と自分にツッコミを入れたくなってくる。

さて,なんで私がこんなにウォーリー作品が好きなのかといえば,もちろんウォーリーたちを探すのも楽しいのだけれど,モブたちを観るのがすごく楽しい,というのも理由の1つ。珍奇な格好してる人や、何かと何かを組み合わせたような不思議な生き物、言葉遊びをベースにしたモノなど、よくぞこんなに思いつくな!というくらい,作者の想像力が弾けてるイラストがたくさん載っているのだ。

そこで今回,少々前置きが長くなったが,そんな愛おしきモブたちを少し紹介しようと思う。だいぶ多いが,これでも絞っている(汗)写真は,展示会で購入した図録に掲載されていたイラストを撮ったものだ。ここで紹介するにあたり,図録に掲載されているイラストをじっくり眺めたが,ウォーリー作品は「観る度に新しい発見が必ずある!」といっても過言ではないほどに細かく凝って描かれている。なので,見逃してしまった愛おしきモブもいるかも…とういう少しの不安を抱えたまま紹介する。写真をクリックすると拡大されるので,ぜひご覧ください!それぞれの写真には、イラストのタイトルと渾身の(?)一言を添えました。お楽しみあれ!!

In Town Again!
牛さんとライオンさんの驚愕の表情!

In Town
この人のヴァイオリンはひどいものなのだろう。
草で首がしまっている子が…!
Once Upon a Saturday Morning
人が熊をつかまえ,熊が人をつかまえる…
Airport
時計隠しすぎ!

A Sporting Life
卓球(table tennis)にかけてる!
絵画組,算数組の傍らで虫?たちも参加…
The Riddle of the Pyramids
ミルクをゴクゴク。
ミイラさん,生きてるの!?
逆さのピラミッドもいいよねー!
The Future
乗り心地最高!な惑星。ポセイドンもご満悦。
ミルクが並んでいるのは,milky wayにかけているそうで。

The Railway Station
両手の荷物からいろいろ出ていますよ!
指一本でかばんを持ち上げる強者も!
Safari Park
シマウマがしましまの横断歩道を渡る。
角自慢の動物たちも!
The nasty Nasties
魔女さんたち,ドラキュラさんの交通整理に従ってます。
ほうきだけ飛んでいってしまった魔女さんも。
岩の男性,目にほうきが刺さってイテててて…
The nasty Nasties
ボウリング,楽しいよね!
On Tour with the Vikings
この舟,先に進まないよね… 
The Land of Wallies
靴が脱げて,しましまの靴下が!
この作品中の本物のウォーリーです。
A Great Moment of Romance
ドットのお洋服ウォーリー!
Being a Pirate
僕たち,前掛けかけてお食事を待ってます!
The Wonderful Portrait Puzzle
髪の毛がおヒゲに,おヒゲが髪の毛に…
Horseplay in Troy
盾は,ルールを示すのにも使えます。
Horseplay in Troy
笑い声の盾の隣で,苦悶の表情を見せながら落ちる人と盾。

Museum
スタイルいい人にお客さんをとられてしまって,なんか可哀相…
Museum
寄りかかったら崩れるほど脆い柱。
力こぶがでないよー!
あれ,本物が絵の中に?


The Deep-sea Divers
手型のさんごと,親タコに睨まれる狩猟者たち。

The Deep-sea Divers
塩をまく人魚にお魚アート!
ノコギリザメや,あしか(sea lion),なまず(catfish),ツノザメ(dogfish)…




The Monster Masterpiece
さ,お着替えお着替え…

The Monster Masterpiece
怪物だって恋します。皆に見守られながら…

The Monster Masterpiece
あの娘の夢を…人でも怪物に恋します。




2018/04/23

言葉のお話

「言葉」にはいつも困らされる。「この言葉の意味ってなんだ?」「この言葉ってこういうとき使えるんだっけ?」「どの言葉を使えば言いたいことを的確に伝えられるんだ?」「どの言葉を使ったら相手に理解してもらえるんだ?」「どういう文章にすればおさまりがいいんだ?」「こういうふうに言ったら/書いたら面白いと思ってもらえるかな?」…とまぁこんな具合に,挙げだすとキリがない。私はちょくちょく「言葉」に悩まされ,ときにイライラし,たまには喜びも得ている。

そのせいなのかもしれない。私が「言葉」に関心があるのは。以前のエントリで書いたこと「言葉」という便利で不都合な存在にも少々関連するが,コミュニケーションの場では,言葉自体の性質と,言葉に対する自分と相手の認識のズレによって,摩擦が生じやすい。だからこそ,使う言葉を丁寧に選び的確に使わなくてはならない。そうすれば,多少なりとも摩擦は減らせる。最近はそんなことを意識させられる毎日である。

そんな日々を送る矢先,ある講演を聞く機会に恵まれた。三省堂で国語辞典を作っている,飯間浩明氏による「ことばが変化するってどういうこと?~国語辞典をつくる視点から~」いう講演だ。非常に分かりやすい内容の講演だった。主な内容は,ことばの意味の変化とそれによって起こりがちなコミュニケーショントラブル。それに私たちはどう対処していくのがよいか,また,それに辞書はどういう解決策を提示するか,であった。飯間さん,本当に言葉を一つ一つ吟味しながら話していたように思う。ゆっくり考えながら,落ち着いたトーンで終始お話されていて,言葉を選んでいるというのがよく伝わってきた。

 飯間さんが挙げていたコミュニケーショントラブルの例で思わず食いついてしまったのが,「おもむろに」と「せいぜい」いう言葉にまつわるもの。どちらの言葉も,世代によって認識している意味が違うらしい。「おもむろに」は,年配者はその漢字「徐に」の通り「ゆっくり」と認識しており,若者は逆に「突然,急に」の意味で認識している。ちなみに私は例に漏れず後者の意味しか知らなかった。「せいぜい」については,年配者では主に「精一杯」と認識しており,若い人では「(どうせたいしたことはできないだろうけど)」というニュアンスを出したいときに使っている。こちらも私は後者の使い方しか知らなかった。そういうわけで,同じ言葉の意味を異なって認識している人同士が会話をすると意思疎通が図れなかったり,トラブルが生じたりするわけである。そういう状況に陥ると,人は相手の認識に対する批判に走りやすい。そこで飯間さんは,「新しい意味や使い方があるという可能性を考えましょう」というようなことを提案していた。また,そのような言葉の意味の変化に対して,辞典では,意味の正誤を書くのではなく,いつ頃から,またはどのような集団の中で使われる意味なのか,を明記するようにしている,ということを話されていた。

辞典づくりの話は,三浦しをんの「舟を編む」(http://yukiron.blogspot.jp/2018/02/blog-post.html)で少し学んでいたから,その大変さはなんとなく理解してたつもりでいたけど,今回飯間さんの話を聞いて,本当に本当に大変な作業だということがリアルに伝わってきた。いつ頃から,どのような集団の中で使われる意味なのか…それについての信憑性・妥当性のある答えを導くために,一体どんだけのことを調べなくてはならないか…。想像しただけで気が遠くなる。

ところで,なぜ言葉の意味は変わるのだろう。「おもむろに」はなぜ「突然,急に」の意味でも使われるようになったのか。「せいぜい」はなぜ,マイナスのニュアンスが伴うようになったのか。おざっぱに言ってしまえば,誰かが何かのきっかけで使い出して,それが別の人からも認知されるようになり,そう使うのかということでどんどん広まっていった,というのが定番のルートだと思われるが,その詳細なプロセスが気になる。講演後の質問の時間が短くて,飯間さんに聞くことはできなかった。でも,これこそ調べて答えが出てくるのか難しいところである。結局,言葉の意味の変化というのは,気づいたときにはもう変わっているのだ。つまり,紆余曲折を経たあと。しかも,言葉が変化する場は複雑な人間社会。複雑な人間社会での紆余曲折をどうやって辿るというのか…。これもまた気の遠くなる話である。

ところで今回の講演は,町田市民文学館ことばらんどで開催された。少し前,ここでは本の装丁展をやっていて,それも観てきたのだがとても興味深かった。明治〜戦前に出版された本‥夏目漱石とか、谷崎潤一郎とか、近代を代表する日本文学の面々の本に,竹久夢二とか、棟方志功とか、東郷青児とか、これまた日本美術を代表する面々による装丁が施されている。今の時代の装丁は、カバーのデザインが凝っていて本の表紙は質素,というのをよく見るが、当時カバーはなく、表紙に直接デザインされていた。

「本は、書かれた中身だけでなく、装丁も含んで1つの作品」といったことが,誰かの言葉として展示してあったけれど、本当にそんな感じであった。表紙からでもいろいろなことが伝わってくる。面白いなと思ったのは、齋藤昌三の「げて装本」シリーズ。白樺の樹皮や、新聞紙型、酒袋、竹の皮など、紙以外の素材で表紙を作っている。書物としては扱いにくそう‥でもコレクションには楽しいし、なんといってもアイディアがステキだ。

2018/04/06

無料だよ! 本郷・御茶ノ水散策

都内で美味しいラーメン屋探しをしていたときのこと(http://yukiron.blogspot.jp/2018/03/blog-post_19.html),本郷にある瀬佐味亭に行ってみることを決めたので,ついでにあのあたりを散策してみようと思いついた。本郷はなかなか行かないエリアなので,せっかくだからいろいろ見てみようと思ったのだ。それであのあたりを調べてみたら,なんと無料で見られる博物館が3つもある…!というわけで,3つの博物館をはしごしてきた。

東京都水道歴史館http://www.suidorekishi.jp/
江戸の上水システム
今回訪れた3つの博物館の中で,個人的に一番良かったのはココ!特に2階の,江戸時代,江戸の人々がどうやって水を手に入れ,使っていたかを知れる展示の数々がツボだった。水をひくって,本当に大掛かりな工事だ。しかもただ工事すればいいって話ではない。土壌や高度,人口分布など土地のことも考えなくてはいけない。現在でさえそうなんだから,400年前の江戸時代なんてもっと大変だったに違いない。それを人力と知恵をフル活用して,江戸の町に水を持ってくるという…。本当にすごいことだよ。
江戸時代の水道管は,木で作られていて木樋と呼ばれている。その木樋は,もちろんでかい!そして,1本の木樋の端っこには記号がついている。これは,その木樋にどの木樋をつなぐかを示すものだ。そして,つなぎ目には,檜や杉の内皮で作った繊維を詰めて,水漏れを防ぐ。当時の人々の創意工夫を感じられる。
記号を使って木樋をつなぐ
木樋
木樋
江戸時代の上水井戸
家庭では主に,上水井戸から汲み上げて水を使っていたようだ。上水井戸は数軒に1つ。飲料として,台所で,洗濯に,お風呂にみんなで使う。といっても潤沢に水があるわけではないので,無駄使いはできない。蛇口をひねれば水が出てくる生活をしている私が,もし江戸時代にとばされたら,思い通りに水を使えなくてイライラするに違いない。
発掘された上水跡
敷地内にある神田上水の復元
1階には,明治時代以降の東京の水道についての展示が並んでいる。今の都庁のところにあった,淀橋浄水場の写真や,水道管の変遷,戦時中の水の使用に関する注意記事,奥多摩にある小河内ダム,水をひくネットワークのことなど。江戸時代では単に「町に水をひく」だった。それだけでもすごいことだった。でも技術が発展して,知識も増えた現在は,「安全でおいしい水を絶やすことなくひく」ことができるようになった。改めて考えてみると,それって本当に幸せなことだ。そしてそれまでにはたくさんの人の力が必要だったのだ。1階ではその過程を知ることができる。
展示をすべて見終わったところで,東京の水道水の試飲の案内を発見した。東京の水のこと,こんだけ学んだら飲んで帰らずにはいられない!と思って,早速受付の人にお願いしてみた。すると,冷たくて透き通った,コップ1杯の水を出してくれた。味わうようにゆっくり飲んだ。これは美味しい…。東京では蛇口ひねるとこの味が出てくるのか…。私の住む某政令指定都市の水道水より断然うまくてびっくりした。


東京大学総合研究博物館http://www.um.u-tokyo.ac.jp/exhibition/UMUTopenlab.html
本郷といえば東大だよね!東大になんか面白いものはないかと調べていたら,博物館が併設されているではないか。ってことで行ってみた。ここの博物館のいちばんの見所は,入り口入ったところにあるコレクションボックスではなかろうか。撮影不可のため,ここで写真を紹介できないのが残念だが,約100弱の展示物‥蝶の標本,動物や人の骨,埴輪や土器,装飾具などの出土品,日本の鉱物,被爆瓦などが,大きなガラスケースの中に収まっている。学者の作った蝶の標本の実物を見たのは初めてだったのだけれど,身体のどこかが微妙に違うたくさんの蝶が大量に並んでいるビジュアルは圧巻だった。
掘り出された土偶,道具など
人骨
コレクションボックスの外にもたくさんの展示があった。「総合研究博物館」の名にふさわしく,動植物の標本や剥製,鉱物,化石などいろんなものが並んでいる。展示の一つに,アイスランドガイの標本があった。ラベルの説明に目を通すと,人間より長生きな長寿の二枚貝とな…!何歳くらい生きるのか気になって,ささっとネットで調べてみたら,なんと507歳のアイスランドガイについて書かれた記事を発見…。500年前って,日本じゃ戦国乱世じゃないか。すごいな,おい…。
年代測定装置(AMS)
それからこの博物館には,放射性炭素年代測定ができる装置が置いてあります。モノに含まれている炭素の量で,それがどれくらいの年代のものなのか高い精度で分かるって話は聞いたことがあったのだけど,装置を見たのは初めて!ちょっと興奮した。


明治大学博物館https://www.meiji.ac.jp/museum/index.html
本郷と御茶ノ水は目と鼻の先だったのですね…!ということで,前から気になっていた明治大学に併設されている博物館にも行ってきた。私はその昔,明大生だったのだけど,在学中は博物館になんて行こうとも思わなかった。でも卒業後,博物館に行った友達の,「あそこギロチンがあるよ」との一言を聞いてから,いつか行ってみようと思って延ばし延ばしになっていたのだ。
ここの博物館は,「商品」「刑事」「考古」の3テーマで構成されていて,花形の展示は「刑事」。ギロチンありました。レプリカですが。それ以外にも,ヨーロッパ,中国,日本で使われていた拷問器具のレプリカや使用方法などを示した絵,記録が展示してある。個人的には,江戸時代の拷問の展示が興味深かった。テレビで見る歴史ドラマや時代劇では拷問シーンは出てこないし,そういう本も読んだことがない。だからとても新鮮だった。よくまぁこんなにたくさんの種類の拷問(罰)を考えたなと思いつつ,実際に拷問器具を使っているところの絵を見ていたらだいぶ怖くなった(汗)拷問だから当たり前ですが,あれやられたら絶対痛いし絶対辛い。いろんな拷問があることからも分かるように,江戸時代の刑罰はけっこう複雑なようだ。ところで,島流しは死刑の次に重い刑だと聞いたことがある。個人的にはあの拷問器具で拷問されるよりも島流しのほうがいいのだが…,島流しってそんな軽く考えていいものではないんだろうか…。
ところで明治大学といえば,旧日本陸軍の登戸研究所の跡地に生田キャンパスがあることでも知られている。登戸研究所に関する資料は,生田キャンパスの「明治大学平和教育登戸研究所資料館」(https://www.meiji.ac.jp/noborito/index.html)に展示してあるのだが,こちらも興味深い。旧日本陸軍が,敵に対してどんなことを仕掛けようとしていたかを知ることができる。正直,原爆と比べたら雲泥の差なのだけれども…。あまり公には報道されない情報がつまっているから,訪問して損はないと思う。ちなみにこちらも無料です。

紹介した博物館はどこも規模が小さめ。ゆっくりめに観覧しても2時間くらいで全部見終わるんじゃないだろうか。近くにお出かけの際は,ぜひ立ち寄ってみてください~!