◇「図解コーチングスキル」鈴木義幸
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実際のコーチング場面で行われている手法の紹介本。筆者はコーチングを,「相手を育て,目標達成に導くためのコミュニケーションの技術」と言っている。部下が目標を達成しない,部下がいつも不平や不満ばかりいってくる,自分のグループの雰囲気が悪いなど,職場の部下のこんなことに困っている,というシチュエーションのもと,それに効く手法を41個提示しそれぞれ見開き1ページで簡潔に説明している。イラストもシンプル,で色もそれほど使っていないため,読みやすく理解しやすい。とはいえ,体系だって書かれていないので,バラバラした感は否めない。手法を読んでて感じたのは,相手に負荷がかからないコミュニケーションを提唱しているということ。例えば,なぜは問わずに何を問うこと。なぜは責任追求の響きがあるため,言われた方は防御に走ってしまう。何を問えば客観的に問題を捉えることが可能となる。例えば,相手がすぐに答えられる質問から始めること。会社をどうしていきたいと思っているのか,どういうビジョンを持っているのか,というのは,漠然としていて答えにくい。だから,お昼何食べた?などの答えやすい質問からスタートする。
◇「図解 コーチング流タイプ分けを知ってアプローチするとうまくいく<」伊藤守,鈴木義幸
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コーチングの世界でも,”人のタイプ分け”があるようだ。他者とのコミュニケーションスタイルによって4タイプ(コントローラー・プロモーター・サポーター・アナライザー)に分かれるらしい。この本には,タイプ判断の仕方,タイプごとの特徴,タイプ別のコミュニケーションのとり方が載っている。タイプを知るためには,いくつかの質問に答える必要がある。この本に載っているのは,簡易版のテスト。20問の質問に答え,その質問の答えを得点化し,その得点をもとに回答者がどのタイプかが決まる。早速やってみたところ,私はサポーターとアナライザーの得点が,コントローラーとプロモーターの得点に比べて高い傾向にあった。それぞれの特徴を自分に照らし合わせてみると,あぁ,そういうとこあるわーもありつつ,私こんなだっけ?というところもありで,正直あまり釈然としていない。しかも,この本にも書いてあるが,たいていの人は2つくらい強い要素が出てくるらしい。ちなみに私が得点の高かったサポーターとアナライザーは,記載の4象限にマッピングされた図によればそれぞれ,感情表出高い×自己主張弱い,と 感情表出弱い×自己主張弱い だったのだが,感情表出に関してはどっちやねんという感じ。とりあえず自己主張が弱いということは分かったが…。
質問からのタイプ分けはいまいち腑に落ちなかったものの,それぞれのタイプにどういうコミュニケーションをとると効果的か,についての内容は面白かった。重要なことは,同じ内容を伝えるにも伝え方は一つではないということではないか。相手が何を好み何に価値を置いているかを考慮し(この本でいうところのタイプともいえるが),それらを利用しながらコミュニケーションをとる。そうすることで無駄な勘違いや摩擦,ストレスが減っていくことだろう。
とはいえ,相手を知るということが一番難しいんだよな…
◇「図解 他人を動かすのが上手な人の「心理術」―明日からすぐに、そしてずっと役に立つ!」伊東明
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コミュニケーションにおいて主導権を握り,自分の意図したように相手に”快く”動いてもらうためのテクニックが載っている。具体的には,質問の仕方や,お願いの仕方,自分の話の聞かせ方などが,例を伴って書かれている。これらのテクニック,書かれている理屈は比較的理解しやすいように思う。が,実際にやるとなるとけっこうハードルが高い,というより一朝一夕でマスター!というものではない。その差をガツンと感じさせる。
この手のコミュニケーションを成功させるには,そもそも人を意図的に動かすことに対して心理的抵抗があっては難しい。そして,自分が相手に求めていることをはっきりさせること。さらには,相手の人となりを踏まえつつ,実際に相手との会話を繰り広げる前に,自分の頭の中で会話の全体像をデザインし,かつシミュレーションしておかないと,運任せの結果にしかならないだろう。
◇「図解!成功する人の「心と脳の習慣術」超実践セルフコーチングで生まれ変わる!」辻秀一
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スポーツ心理学をベースに,”揺らがず・とらわれず”状態の心を保つためにはどうしたらいいかを示している。人の心は,環境・経験・他人によってさまざまな影響を受ける。自分がどんなときにどんな影響をそれらから受けるかを把握し,自分の発する言葉,態度,表情,思考に注意を払って生活していきましょう,ってことが概要で,与えるをする,チャレンジする,リスペクトする,応援する,根拠なく自分を信じる,今に焦点を当てる,といった推奨行動も書かれている。本で知識を得て,実践して,シェアすることで身につけていきましょう,と言っている。印象に残った内容は2つ。1つは,チャレンジ精神とは,一生懸命やることではなく,自分の居心地のよい事と違ったことを,ちょっとの勇気を持って考えたり,行動したりすること,ということ。もう1つは,(結果や根拠に関係なく)まずは「信じる」と自分で決める ということ。
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