◇「ケーススタディで学ぶ 「コーチング」に強くなる本 現代の上司に必須のコミュニケーションスキル 」本間正人
上司と部下の会話を集めたケーススタディ集。 5つのテーマに関する会話が掲載されており,会話の中でコーチングがどう展開されているかが分かるようになっている。これまで読んできた本間さんの著書に掲載されているケーススタディと同様,人間臭い登場人物が出てくるため,親近感をもって読める。
◇「メンタル・コーチング~流れを変え、奇跡を生む方法~」織田淳太郎
本間さんの著書,結構読んできたが,いつもながら分かりやすくまとまっている。コーチングとは?に始まり,似て非なるものである,カウンセリングやコンサルティング,アドバイシング,ティーチング,メンタリング,マネージングとの違いの説明や,おなじみのGROWモデル,キャラクター設定や状況が把握しやすいプロットでのコーチング実践例を提示している。
これまでに私が読んだ本間さんの著書には記載がなかったと思われる内容の1つが,無限選択肢のスキルというもの。これまでのやり方にとらわれず,常に新しい選択肢を探し取り入れていきましょうというものだが,抜本的に新しいものにせずとも,これまでのやり方の一部を変えたり,逆発想で見直したり,先を見通したり,複数の方法を組み合わせたりすることで変えることができるのだ。
コーチングでは,答えはクライエントの中にあるとしているが,この答えは心の奥底に秘められているものであり,そう簡単には出てこないらしい。すぐ出てくる答えは,「常識的で平凡」。そして,自分から出した答えでないと人は動かない。これらを明示してくれたことが励みになった。
◇「4つのタイプ コーチングから生まれた熱いビジネスチームをつくる」鈴木義幸
コントローラー,プロモーター,サポーター,アナライザーの4タイプについて,それぞれがどういうタイプか,それぞれのタイプの上司・部下をもったとき,どのようにコミュニケーションをとればよいかを述べた本。自分がどのタイプかを診断できる簡易テストや,行動傾向からのタイプの割り出し方も記載している。
◇「究極の勝利 ULTIMATE CRUSH 最強の組織とリーダーシップ論」清宮克幸
早稲田大学ラグビー部監督としての5年間をまとめた話。 早稲田大学ラグビー部にどのような練習を取り入れ,どのように選手たちに接し,どのように強いチームに仕上げていったかをまとめている。また, 清宮さん自身が尊敬している監督たちとのエピソードにも触れられている。
監督をするうえで心構えやコーチングの手法がまとまっているわけではなく, ラグビー部での活動記録の色合いが強い。よって,ラグビーにあまり興味のない私は,途中で飽きてしまった。とはいえ,「スローガンは具体的な動きをイメージできるものでないと弱い。つまり,空念仏のようなものに終始してしまう」のくだりには響くものがあった。なぜなら,私自身が様々な言葉や話をインプットする中で,私を動かす言葉と動かさない言葉があるということを感じているからだ。動かさない言葉は,さっと通り過ぎていくだけ。そういうわけで,自分に対して,そして誰かに対してスローガン・目的・目標を掲げるとき,自分を,そして他者を動かすような言葉を紡ぎたい。
◇「最強のコーチング」清宮克幸
清宮さんの監督経験から導いたコーチングのtips,リーダーとしてのtipsを10個にまとめた本。こちらもラグビー部監督時代のエピソード(先の本とかぶる内容あり)を多数含む。第1章の清宮さんの人柄が示されていた部分が私はいちばん面白かった。自身が認めるアクの強さ,共創型リーダーとはかけ離れているが,自らが頭をとって周囲を巻き込んでいけること,要領重視なこと,など。リーダーの形はいろいろだ。
◇「今すぐ使える!コーチング プロコーチだけが知っているとっておきの方法 」播摩早苗