大学では,英作文の授業が開講されている。中途半端になっていたライティング,この機会にどうにかしようと思って履修してみることにした。そして,数年ぶりにエッセイを書いてみた。数年前からの苦手意識を引きずったまま授業に臨み,与えられたお題について書き始めたわけだが,書いてみるとどうだろう,数年前より明らかにスムーズに書くことができていた。もちろん,エッセイの書き方は,イギリス人の先生からレクチャーされていたわけだけど,どういうわけか,あんなに昔悩んでいたbodyの部分がけっこうすんなり進んだのである。当時の私と今の私,何が一体違うのか。人生経験も積んだし,英語力も上がった。でもそれだけじゃなくて。当時の私は正しいこと,ちゃんとしたことを書こうとしすぎていたのではないのだろうか。おかしな理由づけだと言われないように…,その理由,穴だらけと言われないように…,しっかりしたものを書かなくちゃ…,などと気負い過ぎていたような気がする。私にはもともとそういうきらいがあるうえに,ライティングの本に載っているサンプルがあまりにも優等生な回答だったからなおさらビビっていたのだと思う。だから,そのお題について一般的に言われているようなことを書きがちになっていた。でもそれは自分の経験から生まれてきたものではないから,文章が続かなかったのだろう。
授業での私は,昔あれほど気にしていたことをさして気にすることなく,自分の経験と知識から自分の意見と主張を書いていた。案外するすると出てくるもので,自分でもけっこうびっくりした。あれ,私エッセイ苦手だったんじゃなかったっけ?と。先生はエッセイに「正しい答えはない」と言っていた。それはつまり,何を書いてもいいということ。自分の主張とその主張を持つにいたった経緯(そう主張する理由)が丁寧に書かれていたら,それでOKなのだ。もう少し練習したら,エッセイへの恐怖心はほぼなくなることだろう。